おれんじてんき

サークル天気予報「てんき」のブログ
きまま日記や、サークル活動を書き込みます。

お祝い!お誕生日

2010年07月04日 | 小説
最近雨が降ったり、暑かったりと
じわじわ~と湿度の高い日が続いているー
だるるる~~~~

私の職場は、冷房があったりなかったりの環境なので
夏バテしそうだよ

さて、
7月1日は貴志くんの誕生日
おめでとー♪
で、貴志くんのお誕生日小説など
書いてみました

そんな余裕がワシのどこにあったのか?
愛とは、凄いよ

よかったら読んでみてください↓
【夏目の欲しかったもの】

薄暗い川辺に座り
流れる水のせせらぎを聞いている

俺の肩に感じる温もりは
触れ合う相手の肩の温もり

夏目は俺の肩に触れる程近くに座り
ずっと黙っている

暗くて見えぬ川を見詰めていると
時たま
小さな光がスーと流れては消える

この川辺に生息している
蛍の光だろう

小さな光が
光っては消える度に
夏目は悲しそうな眼差しでその光を追う

夏目には
蛍の光に思い入れがあるようだ

そう言えば
ここにくることになったのも
夏目に頼まれてだった

一週間前の放課後
学校の帰り道で
夏目が言い難そうに言った

「今度の木曜の夜。田沼は予定がある?」

もちろん、この日は夏目の誕生日であることを
知っていた

「特にない。あいてるよ」
「僕に、田沼の時間をくれる」
「なんだよ改まって。もちろんいいよ」

何かをねだったり、頼み事すらしたことのない夏目が
初めてした頼み事
俺は何でも叶えてあげたいと思った


ふと気づくと
夏目の指が光ってる
蛍が夏目の指に留まっていた

「夏目。指を見てごらん。蛍が留まってる」
「え?」

夏目は驚いた顔をして、光ってる指を見た
夏目は留まってる蛍を驚かさないように
そっと、光ってる指を目の高さまであげる
「螢」
と指に留まってる蛍にささやきかける

蛍はスーっと夏目の指を離れ、飛んで消えてしまった

「螢であるわけないか」

夏目が悲しそうな顔で、一人言を言った

「どうした。蛍になにかあるのか?」
「う、うん。まあ」
「妖関係か?」

夏目は何も答えずに
また、飛ぶ蛍の光を目で追い始める

夏目が関わった妖のことで
夏目には悲しい思い出があるのだと、俺は悟った

俺は、横に座る夏目の顔を見つめる
泣いているわけではないのに
夏目が涙を流しているように見えた

俺は、夏目の肩に手をまわすと
そっと抱き寄せた
夏目は俺に寄り掛かり、目を閉じる

「田沼の肩はあたたかい」

夏目が、ほっとしたように囁いた

妖が見えてしまうせいで
夏目はたくさんの妖と出会い
たくさんの別れを経験してる

俺は、恋人になったからと言って
それを無理矢理聞き出そうと
しないようにしてる

夏目が話したくなったら、話せばいいし
夏目が話したくないのなら、そのままでいい

俺は、夏目が心地よく、自然でいられる場所で
あればいいと思う

「田沼。ありがとう」
「落ち着いたか?」
「うん」

夏目は、肩にまわした俺の手を解くと
横になり、薄く微笑んで、手を伸ばしてくる

「田沼。きて」

俺は横になった夏目に覆い被さると
夏目の頬に手をのせ
さっき感じた涙のあとをなぞってみた

「どうしたの?」
夏目がクスリと笑いながら聞いてくる

「夏目が泣いてるように見えたから、その涙のあとを拭いてる」
「田沼には何も隠せないね」

やはり、夏目は心の中で泣いていた

頬の上にある俺の手に、手を重ね
夏目は言う
「田沼の手は、あたたかい」
「螢の手は、冷たかったのに」
「螢か?」

夏目は頬の上にある俺の手を握りしめる
「田沼。聞いてくれる?」
「ああ」

「前に、螢と言う名の妖に出会ったんだ。
螢は人と恋に落ち、その人に触れるために
永遠である妖の命を引き替えにした
僕には螢の声も、人の声も聞こえていたのに
何もしてあげられなかった
ここはね。その妖『螢』と出会った場所なんだ」
「そうか」

「こうして、僕の目の前にいる田沼を見てると螢を思い出すよ。
最後に見た螢は、寝ている僕の顔を上から覗いていた」
「俺の顔が螢に見えるかい?」
「違うよ」
「そうか。よかった」
「それに、螢の手はとても冷たかったけど
田沼の手は、あたたかい」
「ああ。俺は温かいよ。夏目に触れてると特に温かくなる」
「なに、それ」
「こう言う、こと」

俺は夏目に下半身を密着させた

俺は螢と違う。
熱い熱が通う、人であると
夏目に知らせるために

「ここでするの?」
完全に膨らんだ俺の股間に気づいた夏目が言う
「嫌かい?」
「答えられない。蛍達が見てるし」

俺は目を閉じ、夏目の顔に顔を落とした
触れた唇に、深く口づけをする
舌を差し込み、夏目の口腔をむさぼる
「う・・ん」

深く口づけた後、唇を離して俺は言った
「俺は消えないから。ずっと夏目と一緒にいるから」
「ありがとう」

夏目が目を閉じると、
今度は本当に、涙が夏目の頬を流れる

「僕は、言葉にするのが下手だから
上手に話せないかもしれない
でも、今回のように妖のこと。
聞いてもらえると、嬉しい」
「俺ならいつでも聞くから、
夏目が話したくなった時に、話してくれ」
「僕はね、妖とたくさんの出会いと別れを繰り返してきたんだ
でもそれは、辛いこともあったけど
全部大切な、キラキラとした出会いだったんだ」

夏目の欲しかったもの
それは、夏目がしてきた
たくさんの妖との出会いと別れ
それを、誰かと共有すること

俺は、その相手に選ばれたことを嬉しく思う

そして、夏目と出会った
たくさんの妖達に感謝した

たくさんの妖との出会いと別れがあったから
今の夏目がいる
その夏目に俺は恋をしたのだから