静脈内鎮静法で親知らずを抜いた話

静脈内鎮静法で親知らずを抜いた話

抜歯当日のこと。私にとっての地獄その1。

2021-01-09 23:45:40 | 日記
私は痛みに弱々な事、長時間口を開けていられない事、抜歯中に何かやっているのががわかるのが怖い事から、静脈内鎮静法での抜歯を選びました。

私がお世話になった病院では、静脈内鎮静法を行う場合は患者の安全面を考慮して入院をするとのこと。
入院当日に抜歯だったので、自分の中ではなかなかにタイトなスケジュールでした。

10:00に入院。
病室に通されて、手術の時間を聞く。
手術の時間は13:30ごろで、それまでに点滴をつけます。と言うことで
点滴をつける前に売店に行った。
飲み物や抜歯後に食べたいヨーグルトとかを買った。
ヨーグルトは甘いだけのプレーンにした。
ブルーベリーが入ったのがよかったけど、粒が抜歯した部分に入りそう…と思ったので、やめておいた。

売店から戻ったら、すぐに点滴をつけた。
なかなか血管が見つからなくて、3回点滴をさしなおした…
デブなので肉がつき過ぎて血管が分かりにくいんですかね?とスタッフさんに聞いたときに苦笑いされていたので、私の場合は太り過ぎが原因で血管が分かりにくい事を察した。

体質的に体型に関係なく血管が分かりにくい方がいますが
標準より明らかにデブっている場合は、少し肉を落としてから入院した方がいいかもです。
参考までに。私は普段全く運動をしない、当然筋肉は生きるために最低限必要な量しかついていない85キロのデブです。
血管が分かりにくい体質と言われた事はありません…

点滴をさしなおす際、針をさした場所から全く出血しない事にはただただ驚いた。

こちらの病院では抜歯3時間前には飲食が出来ない為、慌てて水分補給だけした。

抜歯の時間までやることが無いので、不安を紛らわせるのにテレビをつける。
普通のテレビ番組を見るには有料のテレビカードが必要で、その日は特にみたい番組もなかったので
病院の入院案内をつけたままにしていた。
励ましでも何でもない、無機質な入院案内でも、人の声を聞くだけで不安は和らいだ。

それから、何名かのスタッフさんが手術の説明をしに来た。
ご時世的に大変な時期だろうに、手厚いケアをしていただけるのだな。と
ありがたいのと同時に、ちょっと申し訳なくも思った。


13:30。
抜歯をする為に口腔外科の診察室へ移動。
全身麻酔ではないので、診察室での手術です。
診察室にはスタッフさんが8名くらいはいらっしゃったと思う。
スタッフさんの数で少し恐怖感がわいてきたけど、静脈内鎮静法でこの恐怖も薄れるだろうと心の中で自分を励ます。

抜歯の際、神経を触るので術後に唇や抜歯した場所が痺れることがあると説明をうける。
長くても1ヶ月で痺れは解消するが、1000人に一人くらいの確率で後遺症として残る可能性があるとのこと。
こんなガチャの当たりは引きたくないな。と思えるくらいにこの時は余裕があった。

その説明を受けた直後に点滴に薬を投下していた。
多分これが静脈内鎮静のアレなのだろうな。と思って見ていた。
これで気がついたら抜歯は終わっていると安心した。
心電図と血圧の機器をつけた。

座席が倒れて、スタッフさんが「始めまーす」と言ったので「はーい」と返した。
そろそろさっき点滴に入れた薬が効いて来るかな。と思った。

顔にカバーのようなものが被される。
よく医療のドラマの手術の時に見るようなアレ。私が見たのは不織布っぽい素材だった。

口を閉じない為の器具を入れた。
少しチクッとします。とスタッフさん。
麻酔を何本か打った。
ドリルの音が聞こえてきて、手術が本格的に始まる。
意識はいつ頃ボヤけて来るのだろう?と思った。

左下の歯の辺りで何かをしているのはわかった。
始めに打っていた麻酔が効いていたので、痛みはあまり感じない。
スタッフさんのやり取りも普通に聞こえている。

そして唐突に何やら口の中に痛みが走る。
「痛いです」とアピールする。
「麻酔追加しますねー」とスタッフさん。

何か違う。と思った。
「ちょっと待ってください」
「痛いし辛いので、少し休憩したいです」
と私は麻酔が効いててうまく話せないながらもスタッフさんに訴えた。

「あと縫うだけですよー」とスタッフさん。
ちょっと待ってほしい…
私、意識がずっとしっかり有る状態だし。思ってたのと違う!

「全然意識ぼんやりしないです」と
私は言った。
「ちゃんと薬は入ってますからね…少し休憩しましょう」とスタッフさん。
何でぼんやりしてくるやつが効かない?どうして?と思えば思う程、気持ちが焦ってくる。

この状況を察したのか、少ししてスタッフさんが割と強制的に手術を再開。
意識はずっとハッキリしている。あとは患部を縫うだけ。
という状況でもう終わるし、ここまで来ていたら仕方がない。と自分でも理解はできて、決心もしているのに焦る気持ちがどんどん加速していく。

自分の意思に反して呼吸が荒くなってくる。
他のスタッフさんが「大丈夫ですよ!」と手を握ったり体をさすったりしてくれた。
「鼻で大きく呼吸して」と言われるが、うまく出来ない。
手足が痺れて動かなくなってきた。
この間も意識はしっかりしているのだけど、意思に反して荒ぶる呼吸のおかげで自分でもよくわからない状況になっていた。

患部を縫い終わって抜歯の手術自体は終わったものの、呼吸がずっと荒ぶっていてスタッフさん達が声をかけ続けてくれていた。
鼻で大きく呼吸をしようとしても荒い呼吸に負けてしまってなかなかうまく出来ない。
「鼻で大きく息を吸って!」とスタッフさんに言われたが鼻から吸うのが難しかった。
ふいに、つい最近何かで過呼吸になると息を吸いすぎているのが原因の時があるから、大きく息を吐くといい。と見た事を思い出した。
息を吐く方は出来そうな気がしたので、試してみたら、徐々に鼻から息を吸えるようになって呼吸も落ち着いてきた。
息を何回かしっかり吐ききったら、手足の痺れが急に解消した。

呼吸が荒ぶっていた間、どうも血圧や心電図で計測が出来ない程だったようだ。
確かに、医療系ドラマで容態がヤバイときに良く聴く音がしていた。
血圧も心電図も正常に計測できた事を確認して手術は終わった。

「ずっと意識がハッキリしていて思ってたのと違ったです。」とグダグダ言っていると
スタッフさんは「最後までがんばれたのは薬のおかげかもしれませんね」と返してきた。
スタッフさんに頑張っていただいたから、こうして無事に終わったのだし。もういいや。と思って、これ以上意識があった事について言うのはやめた。

病室に戻る時は車椅子で戻ると言われていたけど、ベッドで横になって戻ることに。
意識があるのもだけど、足元も全然ふらついている感じがなかったので
「歩けます」と言ったのだけど、スタッフさんにはそれでも今回はベッドに横になった状態で戻って。と言われた。

ベッドに横になった状態でスタッフの皆さんにお礼を言って診察室を後にした。


私の場合ですが、静脈内鎮静法は効きませんでした。
たまにそういう体質の方もいるようです。
がん治療でモルヒネが効かなかった家族がいたので、遺伝でそういうのも受け継いでいるかもしれないです。

あとは過呼吸状態になったこと。
たまにくしゃみやせきをしたあとで、うまく息が吸えなくなることがあります。
過呼吸を起きたことのある方は、事前の問診の時にお話しておくといいかもです。

意識があったので抜歯をしているのが分かったこと、やはり痛みがあったこと。
過呼吸になったので、私の抜歯体験はなかなかの地獄でしたw


最新の画像もっと見る