ブロック注射とは、神経伝導路(道すじ)に局所麻酔剤を注入し、
痛みの伝達を止め(ブロックする)血流を良くし、筋肉の緊張を緩める。
局所麻酔薬は作用は一時的なものですが、ブロックを行うと薬剤の作用時間が消失したと思われるにもかかわらず、
それより長い時間痛みが止まることが多くみられます。
これは数時間しか効果のない局所麻酔薬でのブロックでも、この数時間の間に痛みの刺激を遮断し、
症外部の筋攣縮や血管収縮を除き、生体のホメオスタシスを改善することにより、神経遮断作用が消失したあとも、
すでにブロックが行われる前とは異なった状態に回復させると考えられています。
また、この注射が効果的であるかどうかで、異常が起きている場所をある程度、推定することもできます。
ブロック注射には、硬膜外ブロック、神経根ブロックなどが外来治療ではよく行われます。
腰痛、下肢痛におこなわれる硬膜外ブロックは局所麻酔薬により、知覚神経、運動神経、交感神経をブロックすることにより、
それぞれ疼痛の緩和(知覚神経)、筋弛緩作用(運動神経)、血行改善(交感神経)を期待する。
硬膜外ブロックには、
①仙骨部硬膜外ブロック
②腰部硬膜外ブロックがある。
①仙骨部硬膜外ブロック: 腰椎椎間板ヘルニアのほとんどは下位腰椎のものなので、まずこのブロックを通常のヘルニアに対して行う。
尾てい骨部から行う仙骨というお尻の骨の最下部に硬膜外腔につながった穴があり、仙骨裂孔とよばれますが、そこから局所麻酔薬を注入します。
②腰部硬膜外ブロック :上位腰椎の椎間板へルニアであったり、仙骨部硬膜外ブロックが効かなかった場合に行います。
背骨と背骨の間、具体的には腰椎の棘突起の間からブロック針を刺入し、膜(硬膜)の手前まで針をすすめ、
薬液(局所麻酔薬、時にステロイド剤)を注入し、腫れた神経の治癒を促進する。
神経根ブロック(ルートブロック)は、 レントゲン透視下で行われ、神経根に直接針を刺して痛み止めを注入するのが神経根ブロック。
多くは神経根造影(X線透視)で神経根の圧迫や走行異常を観察しながら行われる。