スタイリッシュな英国紳士が過激なアクションを繰り広げる人気スパイアクション「キングスマン」シリーズの3作目。
あらすじ:第1次世界大戦を背景に、世界最強のスパイ組織「キングスマン」誕生の秘話を描く。表向きは高級紳士服テーラーだが実は世界最強のスパイ組織という「キングスマン」。国家に属さない秘密結社である彼らの最初の任務は、世界大戦を終わらせることだった。1914年、世界大戦を裏でひそかに操る闇の組織に対し、英国貴族のオックスフォード公と息子のコンラッドが立ち向かう。人類破滅へのカウントダウンが迫るなか、彼らは仲間たちとともに闇の組織を打倒し、戦争を止めるために奔走する。「ハリー・ポッター」シリーズでも知られる英国の名優レイフ・ファインズがオックスフォード公、「マレフィセント2」「ブルックリンの片隅で」の新鋭ハリス・ディキンソンが息子のコンラッドを演じた。彼らの前に立ちふさがる敵でもある怪僧ラスプーチンには個性派俳優のリス・エバンスが扮した。監督、脚本、製作はシリーズ全作を手がけるマシュー・ボーン。
<感想>世界最強のスパイ機関の始まりを描く超過激スタイリッシュ・アクションである。「キングスマン」といえば、世界を股に掛けたスケール感あふれるミッションが大きな魅力ですよね。今回描かれるのはなんと、第一次世界大戦の背後で暗躍する闇の組織が目論む計画を阻止せよ!
世界を大混乱に突き落とそうとする闇の組織に、平和を愛する貴族とその息子、強いきずなで結ばれた使用人たちが挑む激アツなストーリーが展開する物語。ロンドンに拠点を置く独立スパイ組織キングスマン。一見、折り目正しい英国紳士だが、闘いだすとメチャクチャに強い、そんなエージェントたちの活躍を描いたシリーズの第3弾。
それは、キングスマンのルーツを描く本作には「こう来たか」と驚くような、そして嬉しくなるような“つながり”が、冒頭からクライマックスまで無数に仕掛けられている。ちょっとしたセリフや設定に至るまで、まさに“はじまりの物語”にふさわしい内容なのです。ただし、これまでのシリーズを観ていなくても心ゆくまで楽しめる。
「キングスマン」シリーズらしく遊び心に溢れており、なおかつスリリングであり、ロシアの怪僧侶のラスプーチンや、ドイツの魔術師ハヌッセンなど、歴史上の人物をヴィランに設定している点も面白い。
冒頭での赤十字の人道支援活動で、家族でアフリカの戦地へに飛んだ英国貴族オックスフォード公は、戦火に巻き込まれ負傷したばかりか、幼い息子コンラッドの目の前で愛妻を亡くしてしまう。
1914年、オックスフォード公と青年に成長したコンラッドは、サラエボでオーストリア大公の暗殺現場に遭遇する。それは戦争を起こして欧州を混乱に陥れようとする闇の凶団の仕業。謎の首領はロシアやドイツにも配下を送り込んでおり、その思惑どうり世界大戦を誘発させるのだった。
オックスフォード公は、自身が主導する極秘諜報活動に息子のコンラッドを迎え入れ、調査を開始する。しかし、その間にも戦火は激しくなり、愛国心の強い息子のコンラッドは、出征を望むようになる。妻の最期の言葉、「あの子にこれ以上戦争を見せないで」と、父親のオックスフォード公は、一刻も戦争を終わらせようと決死の作戦に打って出るのです。
それには、ロシア皇帝に深く取り入っている悪名高き怪僧ラスプーチンと、オックスフォード親子チームの激闘のアクションシーン。ところが、妖術使いのラスプーチンが、オックスフォード公の膝の怪我を視て、治してしまうのだ。だから、親子でラスプーチンに闘いを挑んでも、運動神経の優れた大きな体で、ワルツでも踊るように軽やかに攻撃を仕掛けてくる。このシーンではアクションのミュージカルというべきか、ユーモラスな見せ場になっていた。
そして、息子のコンラッドは、父親の願いもきかずにヨーロッパの最前線に歩兵として行く。塹壕で敵とにらみ合う緊張感が伝わってくる。こんなお人よしのお坊ちゃんコンラッド、そこで戦場をかけ走る伝令兵を見つける。最前線で伝令兵は倒れ、この伝令を回収するために連合国軍は、敵に目を逃れやすい深夜に回収作戦を遂行。伝令に志願したコンラッドら6名は、息を殺して最前線に近づくが、敵の兵隊と遭遇し、銃撃戦から肉弾戦へと発展する。
連合軍としては、この伝令を何が何でも手に入れなければならない重要な書類。このシーンでもコンラッドの伝令を回収しようとする奔走から目が離せません。戦地で敵の銃撃に倒れるコンラッド。父親の悲しむ姿に涙が零れ落ちる。
断崖絶壁にある敵のアジトへ、飛行機で、パラシュートで降りる初めての仕事をやり遂げるオックスフォード公の勇敢さに拍手。クライマックスでは、危機一髪なまさにスリリングな、手に汗を握るシークエンスの連続に驚く。ダイナミックなスタントはもちろんのこと、さらにその先では、意外な黒幕の正体が明らかになり、初代キングスマンによる歴史的な大仕事に拍手、拍手ですから。今後の「キングスマン」に期待せずにはいられない。
2022年劇場公開、鑑賞作品・・・2 アクション・アドベンチャーランキング