パピとママ映画のblog

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エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に★★★・5

2016年12月15日 | アクション映画ーア行
「ビフォア・ミッドナイト」「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター監督が、夏休みを迎えた高校生たちの混沌の一夜を活写した93年のカルト作「バッド・チューニング」の“精神的な続編”との位置づけで撮り上げた青春グラフィティ。大学への入学を目前に野球部の寮に入った主人公が、先輩たちの手荒い洗礼に晒される入学直前3日間に体験する酒とパーティと下ネタ三昧のバカ騒ぎの行方を、音楽やファッションをはじめ80年代カルチャーを前面に押し出したノスタルジック・テイスト満載に描き出す。主演はTV「Glee」のブレイク・ジェナー、共演に「ヴァンパイア・アカデミー」のゾーイ・ドゥイッチ。
あらすじ:1980年9月。野球推薦で大学に入学する新入生のジェイクは、期待と不安を胸に野球部の寮へとやって来た。すると、さっそく先輩たちの手荒い歓迎が待っていた。彼らは揃いも揃って野球エリートとは思えない変人ばかりで、すっかり圧倒されるジェイク。そんな中、面倒見の良いフィネガンのガイドで女子寮へと女の子の品定めに向い、同じ新入生のビバリーに一目惚れするジェイクだったが…。

<感想>この映画のタイトルが、ヴァン・ヘイレンのヒット曲からとられていることに気づいたのが、映画を観た後だった。冒頭にかかるナックの「マイ・シャローナ」、劇中に流れる70年代、80年代の煌びやかなヒット曲にのって、車の中で合唱するのが「ラッパーズ・ディライト」なのだ。

車と女の子と、ご機嫌な大学生活を描いた本作では、今の学生にこそ観て欲しいと思った。一見して、ただ能天気なだけに見えて、ここには生きるための教訓が詰まっているからなのだ。何よりもカリフォルニアらしい明るさと爽快さが、観る者を照らしてくれるからだ。
大学の新学期が始まるまでの3日間、新入生のジェイクは、寮に着くなり野球部の先輩たちの洗礼を受けつつ、大学生活を楽しむ奥義とやらを教えてもらう。

「死ぬときに後悔するのはやったことじゃない、やり残したことだ」との言葉に従い、アルコールと女子禁制の掟も無視してパーティ三昧。テキサスの大学野球部選手たちの話なのに、中々野球のシーンにならない。

女の子を口説くことに、酒を飲むこと、遊ぶことしかやってない。ていうか、基本、文科系のノリなのが可笑しいのだ。

もっとも、彼らはこのお気楽な状態が、今だけの特権であることを十分に自覚しているからだ。ちょっぴり先に目を向ければ、将来の不安や大人としての責任がのしかかってくることも。だからこそ、学生時代の甘酸っぱい恋も、今を謳歌するのだ。

時間に取り憑かれた映画作家のリンクレイターの絶妙なセンスが、ある時代のすでに失われた雰囲気を見事に再現しているのもいい。無名俳優たちのにぎやかなアンサンブルも眩しくて良かった。

ちなみにジェイクの姿には、野球からシフトチェンジして映画監督になったリチャード・リンクレイター自身が投影されているのだから。この上なく純粋で、スィートな青春謳歌を楽しんでいるようだ。
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