パピとママ映画のblog

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ブラッド・ファーザー★★★★

2017年07月05日 | アクション映画ーハ行
メル・ギブソンがギャングに追われる愛娘を守るため、アウトロー時代の知識とテクニックを駆使して決死のサバイバルを繰り広げる元犯罪者の父を演じるサスペンス・アクション。共演はエリン・モリアーティ、ディエゴ・ルナ、ウィリアム・H・メイシー。監督は「アサルト13 要塞警察」「ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男」のジャン=フランソワ・リシェ。

あらすじ:長らく刑務所生活を送り、今はボロボロのトレーラーハウスでアル中のリハビリをしながら細々と暮らしているジョン・リンク。ある日、何年も行方不明だった一人娘のリディアから助けを求める電話が入る。誤ってギャングの恋人ジョナを撃ってしまい、ギャングと警察の両方から追われているというのだ。そこで愛娘を守るため、かつてアウトロー時代に培った禁断のサバイバル術を駆使して彼らに対抗する決意を固めるジョンだったが…。

<感想>メル・ギブソン主演のサスペンス・アクション。世間では干されたなんだのと言われていたが、本年になって、10年ぶりの監督作「ハクソー・リッジ」がアカデミー賞にノミネートされて監督としても復活したメル・ギブソン。
そもそも、トレーラーハウス暮らしという設定はギブソンの代表作「リーサル・ウェポン」で演じたマーティン・リッグス刑事と同じ設定。1度目は、娘のリディアのギャング仲間が、トレーラーハウスにやってきて、住処を悪党たちによってハチの巣にされ、さらに横転させられるさまが描かれる。このシーンを思い出させる「リーサル・ウェポン2 炎の約束」での襲撃シーンだ。続く2度目では、「マッドマックス」シリーズを意識したシーンが登場しますから。

メルが大型バイクにまたがり、娘のリディアと共に猛スピードで疾走するジョンは、追っ手からの追撃にショットガンの片手撃ちで対抗する。そこで、追っ手のバイクがトラックと正面衝突するというクラッシュシーンも登場するなど、スカット爽やかな映像が演出されているのだ。

3度目では、敵にわざと捕まったメルが、腕を縛られているにもかかわらず頭にかみつき、圧倒するさまが描かれる。こちらの“敵にかみつく”戦法は、「リーサル・ウェポン」シリーズでたびたび登場するリッグスの特徴となるわけ。つまりは、本作でも水を得た魚のごとく、ワルどもを蹴散らしまくる「メルギブ版96時間」の登場ですからね。

娘のためなら自分の命もいらないとばかりに、身体を張って敵と戦うスキルは、海兵隊仕込みですかね。違うんですね、ギブソン演じる主人公ジョンが清廉潔白な正義のヒーローではなく、過去に凶悪犯罪を行っていた元アウトローであるという点。誰もが恐れた裏社会のならず者として培ってきた「超・極悪スキル」を駆使して、麻薬組織の面々を上回る暴力と謀略、そしてすごみで、「悪で悪を制する」戦いを繰り広げるのだ。

タトゥーの腕前と膨大な知識は超一級! アウトロー時代に身につけた技で今を生きる。タトゥーの技術と知識はハンパではなく、タトゥーのモチーフやデザインによって、入れている者の出身地や所属グループまで見抜けてしまうのだ。娘リディアを追ってきた者の正体も、タトゥーから凶悪なメキシコ麻薬カルテルと看破する。かつての犯罪スキルや犯罪人脈を活用しつつ、娘のリディアを助けるために逃避行する。

現在の娘は、麻薬とセックスに溺れ、犯罪に染まった荒んだ生活をしている。父親として、せめて生きている内に娘に愛情を注ぎたいと思っているのだ。メル・ギブソンの娘役のエリン・モリアーティ、勝気な性格でも父親は大好きなのだ。彼女は、「はじまりへの旅」に出ていたらしいが、気が付かなかった。

ジョンの娘が付き合っていた男で、ギブソンと真っ向から勝負するのは、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」で、フェリシティ・ジョーンズ扮するヒロインとともに、決死のミッションを遂行するキャラクター役で鮮烈な印象を残したディエゴ・ルナ。って、全然知らなかったぞ。

その他にもウィリアム・H・メイシーが、メルの親友のカービー役で出演している。それに、義理に熱いジョンの生きざまにほれた裏社会の“現役”たちが、塀の中からサポート。娘の恋人だった男が、凶悪なメキシコ麻薬カルテル団と知り、その情報の源は、なんと刑務所の中にいる囚人たちなのだ。無精ひげを剃りびしっとスーツを着て、刑務所へ面会に行く相手は?・・・。

ジョンは元々、凶悪バイカー軍団の一員で、幹部にまで上り詰めた男。知略と戦闘能力に長けているのはもちろん、大型バイクを駆る技術も天下一品なのだった。リディアを後ろに乗せ、ノーヘル&サングラス姿でビッグ・バイクを手足のように操り、追いかけてくる殺し屋のバイクたちと壮絶なチェイスを展開。「誰も俺の前を走らせねぇぜ!」銃器、爆薬なんでも使える爺さんなんて言っちゃあダメですからね。

敵に銃を突きつけられても、逆に闘争心が燃え上がる極悪アウトローとしてのスキルを、見せつけるジョンだが、もちろん銃器の扱いも完璧であり、拳銃を片手で連射するほか、二連ショットガンまで片手打ち。

一目で「この男、あらゆる武器を使いこなしている!」と分かる銃さばきを披露する。そして爆薬の扱いもプロフェッショナル。手榴弾をぼんぼん投げ飛ばして、敵の目をあざむく爆破トラップには注目ですから。

トレーラー・パークから、モーテル、メキシコの麻薬組織、ヘルス・エンジェルスの慣れの果てみたいなバイク軍団など、それぞれの場所に巣喰う者に、それぞれの実存的な悲しみがあり、アクション化して爆発する。過去にどんな絆があろうと、裏切るものは裏切るという哲学のある物語で、大型バイクにまたがって、荒野を疾走するメル・ギブソンが、まだまだかっこいい。
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