ニコラス・ケイジが主演を務め、溺愛するブタを奪還するべく戦う男を描いたリベンジスリラー。
あらすじ:オレゴンの森の奥深くでひとり孤独に暮らす男ロブ。彼にとって唯一の友だちは忠実なトリュフ・ハンターのブタで、収穫した貴重なトリュフを取引相手の青年アミールに売った金で生計を立てていた。そんなある日、ロブはライバルのハンターから襲撃を受けて負傷し、ブタを連れ去られてしまう。愛するブタを奪い返すため犯人の行方を追うロブだったが……。
共演は「ジュマンジ」シリーズのアレックス・ウルフ。本作が長編デビューのマイケル・サルノスキが監督を務めた。新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2022/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2022」(2022年7月15日~8月11日)で上映され好評だったことから、22年10月に単独劇場公開。
<感想>ニコラス・ケイジ演じるロブが愛でる"豚"は、トリュフを嗅ぎ当てるという才能があり盗まれてしまうのですが、トリュフバイヤーのアミールと共に情報を集めブタを探す物語。近年ニコラス・ケイジの映画がたくさん上映されてますが、この映画は暗い、地味な内容でよほどニコケイファンじゃなければと思いきや、ミニシアターでしか上映していなかったので、結構満員御礼の状態でしたね。
今までの映画では、ニコケイが大切にしていた豚を盗まれた後は、軽快な音楽に乗って出陣して、無事に復讐を遂げるというものであった。今回ばかりは、アクションはなく盗んだ悪党にコテンパンにやられ放題で、愛豚の捜索には、彼の故郷であるポートランドで、自身の壮絶なる過去と向き合うことになるのです。つまり、昔は、名前を知られた腕利きの、有名な料理人シェフでありました。温帯雨林が存在するオレゴン州ポートランドは、キノコの産地として有名で、食文化に対する意識が非常に高い土地柄だということ。
だから暖かな橙色(オレンジ色)系の光に照らされて、調理に勤しむシーンも、血みどろのアクションが繰り返されるレストランの中央のテーブルで、黙って対峙する男たちの姿も、どこか可笑しみがあるように見えた。まとめると、もっといい話で良かったのかも、豚と人間の愛の物語が比喩となる凡庸さを除けば、惜しい仕上がりの優れた逸品になっていたのかもしれませんね。
まぁそれでも物語は地味目でしたが、いつもアクションスターとしての映画ばかりでなく、こういう展開の意外性な作品も彼には必要なのかもしれません。トリュフバイヤーのアミールには、「ヘレディタリー継承」のアレックス・ウルフが、彼の父親に「セッションズ」のアダム・アーキン。
そうそう、一流シェフとしての名前を馳せたボブが、料理をするシーンがあるのですが、それには喧嘩ばかりしていたアミールの両親が、二人で食事に行くのだが、何故かいつも口論しながら帰宅したというアミールの両親が、唯一満足げだったという日の料理をロブが再現するシーンがあります。ロブが用意したワインと料理を口にしたアミールの父親に、「その晩餐」が蘇ってくる様は見ていて心が和みました。
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