パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

海街diary ★★★★.5

2015年06月17日 | アクション映画ーア行
ベストセラーを誇る吉田秋生のコミックを実写化したドラマ。鎌倉に暮らす3姉妹と父親がほかの女性ともうけた異母妹が共同生活を送る中、さまざまな出来事を経て家族の絆を深めていく姿を追う。メガホンを取るのは、『そして父になる』などの是枝裕和。テレビドラマ「八重の桜」などの綾瀬はるか、『潔く柔く きよくやわく』などの長澤まさみのほか、夏帆や広瀬すずらが共演。実力派女優たちが繰り出す妙演はもちろん、舞台となる鎌倉の美しい四季の風景も見どころ。

あらすじ:鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……。

<感想>鎌倉を舞台に、3姉妹と腹違いの妹が家族の絆を紡いでいく姿を描いた、吉田秋生の人気コミックを実写化したもの。「そして父になる」の是枝裕和が、鎌倉の美しい四季の移ろいを交えて、心の機微を丹念に映し出しています。
まるで、現代版の「細雪」の4姉妹のような、外国版では「若草物語」のような、長女の役から順に、幸の綾瀬はるか、二女の長澤まさみ、三女の夏帆に四女のすずには広瀬すずが、みずみずしい演技が光って期待の新人ですよね。

長女の幸はしっかりもので妹たちにとっては母親のような存在。看護師として働き、同じ病院の医師と不倫関係を続けている。腹違いの妹すずを引き取ることに決めたのは、自分も奥さんのいる男と不倫をしていて、結婚という未来が見えてこない毎日に不安を覚えている。不倫相手の医師には堤真一が。

街の行きつけの食堂のおばさんに風吹ジュンが、その風吹ジュンに恋心を抱いている喫茶店の主人には、リリー・フランキーが、是枝裕和監督の作品に出演していた常連さんたちが色をそえている。

二女の佳乃は、自由奔放な性格で恋多き女だが、男を見る目がなくて今作では年下の男を養っているような。フラレては酒に走り対照的な性格の長女とよく喧嘩をする。地元の銀行に勤めている。上司には加瀬亮が。

三女の千佳は、マイペースののんびりさんで、ファッションも個性的で、スポーツ店で働いている。そこの店長と恋仲のようでもある。
これは四姉妹ものの変形で、父と母に捨てられた三姉妹と、父の遺した母違いの妹の物語になっている。つまりは、父親の不倫をきっかけに、四姉妹の人間関係が炙り出されてゆく向田邦子の「阿修羅のごとく」のようにも思えた。ハードさは控えめだが、そもそも原作の漫画からして向田テイストが濃厚なのだ。

本作では、テレビドラマ版で四女役だった風吹ジュンがキーパーソンとして登場して、森田芳光監督の映画版「阿修羅のごとく」(03)で長女役だった大竹しのぶが母親役を演じている。

父親が家を出て仙台で女と一緒に暮らし、すずが生まれる。その後、すずの母親は病気で亡くなり、山形の旅館で働きながらすずを連れて、女と暮らし、その後病死するわけ。鎌倉の三姉妹の母親は、その後、北海道へと行き再婚して、札幌で暮らしている。残された三姉妹は、鎌倉の祖母の家で育てられ暮らしてきたのだ。
それでも、是枝裕和監督の歩いても歩いても」(08)の四姉妹編って趣きで中々よくできた作品となっている。特に食事のシーンが印象的に残っていて、美味しそうな生しらす丼ぶりに、竹輪の入ったカレーライス、蕎麦に野菜の天ぷら、それぞれの品物に人物のキャラが乗っかっているのが良かったです。だから食事シーンが効率的に、物語を動かしていっているように見えました。

注目すべきは、この姉妹たちは、4人でいる時は何処か自分を押し殺しているように見えて、誰かと二人っきりになると思わず本音がこぼれるという、姉妹でも気づかいがあるんですね。
すずが鎌倉に越してきて、学校でもサッカー部に入り友達も出来て、どう見ても学校では虐められているようには見えない。
だが、父親の49日の法要の席で、大叔母の樹木希林から、「あんたたちの家庭を壊した人の娘なんだから」と忠告されるし、祖母の七回忌に姉妹を捨てた母親の大竹しのぶが現れ、亡き夫の浮気を非難する。そこで、長女として、三姉妹を祖母に押し付けて出て行った母親に向かってキツイ言葉を投げ返す。

それを聞いたすずは、自分の母の不倫を悔やみ「奥さんのいる人を好きになって、母親が悪いと」長女に謝るのだが、自分も不倫中の幸は夜惑いを隠せない。
さらには、母親が鎌倉の家を売ろうと言い出したことで、長女の怒りは頂点に達して、母親を追い出してしまう。

姉妹の間に不穏な空気が流れ始めるが、それでも、しっかりものの長女がこの家を守っていけば、四姉妹も血の繋がりなのか次第に馴染んでいき、夏の浴衣姿での花火をするシーンや、縁側から入る爽やかな風を浴びながらの御昼寝など、桜咲く美しい坂道、海辺に散歩に出る四姉妹、四季折々の情景がとても美しくスクリーンに映えて、これからも四姉妹が家族として、仲良く暮らしていくのを見守っていきたいです。
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