パピとママ映画のblog

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シェフ 三ツ星フードトラック始めました★★★.5

2015年03月14日 | アクション映画ーサ行
『アイアンマン』シリーズなどの監督で俳優のジョン・ファヴローがメガホンを取り、究極のサンドイッチを売る旅をする元一流レストランのシェフを演じるドラマ。店を辞め、偶然キューバサンドイッチと出会ったシェフが、フードトラックでサンドイッチを売りながら人生を取り戻していくプロセスを映す。共演には、ダスティン・ホフマン、ロバート・ダウニー・Jr、スカーレット・ヨハンソンといった豪華キャストが集結。人生と料理をテーマにした温かいストーリーに、爽快な感動を味わえる。
あらすじ:気鋭の料理人として鳴らしたカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、その腕を買われてロサンゼルスの一流レストランを取りしきる総料理長として働いていたが、人気の定番メニューに固執する頑固なオーナー(ダスティン・ホフマン)のやり方に不満を抱えていた。そんな折、レストランに有名料理評論家が来店するが、オーナーに言われるがままに定番メニューを振る舞ってしまったためにこっぴどく叩かれてしまう。
店の古いやり方に嫌気がさしてオーナーと対立し店を辞めたはいいが、料理を罵倒した評論家とのケンカがSNSを通じて世間に拡散し、働き口はどこにもないというピンチに。

<感想>製作、脚本、監督、主演を兼任した『アイアンマン』シリーズなどの監督ジョン・ファヴローが描くロード・ムービー。正に彼の人生と重なるようなコメディ映画になっていた。役者としても味があり、喜劇のセンスに優れた監督ですね。
一流のシェフなのに、オーナーと喧嘩をしてクビになり、地位を失ったバツイチの中年男が、サンドイッチ屋台で北米大陸横断の旅に出て、料理への情熱と息子との絆を取り戻していくという物語。
ジョン・ファヴローが、「アイアンマン3」の監督オファーを蹴ってまで取り組んだ自身の原点というべき、インディーズ映画で、西海岸のフードトラック・ブームの火付け役となった実在のシェフが、料理指導で協力。目にも美味しい料理が次々と登場するのも見どころの一つですね。

料理評論家のラムジーの酷評に憤慨したカールは、初めて使うツイッターでラムジーを罵倒する。呼び出しに応じて来店した彼に毒づき、さらにはオーナーのダスティン・ホフマンにも楯突き店をクビになってしまう。その醜態がネットで拡散するわけ。
しかしだ、仮にも料理人なのに、作った料理を手でもみくちゃにして、ひどい仕打ちもする。そのあたりの未熟さとか、タバコや葉巻をプカプカ吸うのには参った。どうにも不衛生だし、味みをするのにタバコを吸っているのはダメです。
常に仕事優先だったカールは、「厨房は大人の仕事場だから入っちゃダメだ」と厳しく言ってしまう。息子との距離も離れてしまい、イネズと同居する息子のパーシーとの接し方が判らない。
だが、ラムジーとの騒動の中で息子からSNSについて教わったり、カールが息子に料理を教えるうちに、2人の距離は近づいていく。息子役のエムジェイ・アンソニーの演技の巧さに驚く。

次の職場が決まらず、元妻のイネズのお供で行ったマイアミで食べた絶品のキューバサンドに触発され、カールは軽食の移動販売を開業することに。夏休みということで、息子のパーシーと友人のマーティンと共にLAに帰る道すがら、寄る先々で格別な味を提供して客の人気を集めていく。そんな中でも、息子の焼いたキューバサンドが焦げていたのを出そうとするのを見て、客の笑顔が観たいから始めた屋台だから、美味しく作ったものしか出してはダメだと厳しく叱るのだ。
脇役で、「アイアンマン」シリーズで組んだロバート・ダウニー・Jrが、元妻イネズの最初の夫という役で、変人キャラを嬉々として演じているし、スカーレット・ヨハンソンは、主人公のカールに思いを寄せる同僚役で、相変わらずのスタイルの良さと、監督の手作りパスタを美味しそうに食べるのがいい。

元妻のイネズ、ソフィア・ベルガラも、まだカールに愛情があり元サヤに戻ってもいいのではないかという展開も無きにしもあらず。
人生のやり直しを描いたありがちとも言える話ではあるが、新進気鋭のフュージョン料理よりも、美味しい定食屋に結局は足しげに通うのと同じで、優れた素材の選択とそれを丁寧にぐつぐつ煮込んだ、手間による完成度が高ければ、やはり面白いのだ。

もちろん料理長のジョン・ファヴロー以下、演技過剰を恐れない大らかさと音楽、ラテンの雰囲気たっぷりに、見る者をゴキゲンにする音楽も聞き逃せない。マイアミからロサンゼルスへの道中で、レゲエ、スカ、サルサ、ブルース、ファンク、エレクトロなどなど、ダンサブルなナンバーが物語を彩る。グラミー賞も受賞したブルース・ロックのゲイリー・クラーク・ジュニア、マイアミのクラブで熱唱するペリーコ・エルナンデスらミュージシャンも出演。マイアミでは「ラテン音楽+キューバサンドイッチ」、オースティンでは「ブルース+バーベキュー」と、ご当地音楽&グルメのコラボレーションも見逃せない。

それに、息子との絆回復にツイッターが使われるなど、映画で使うと何故か古びて見えることが多いSNSも、完璧なスパイスとして効いていると思う。
監督はインディー出身だが、見せ場を心得ていてツボを外さない職人芸の持ち主だと思う。売れっ子なのに、あえて小予算で自分の企画を監督、主演で撮る心意気に、何やら主人公のシェフに似ているから面白い。
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