『ある愛の風景』『アフター・ウェディング』で知られるデンマークの鬼才、スサンネ・ビアによるラブストーリー。妻の死を乗り越えることができない男と夫の浮気を知ってしまった女が、それぞれの子どもの結婚式で出会ったのを機に惹(ひ)かれ合っていく姿を描く。『007』シリーズのピアース・ブロスナンとデンマークが誇る実力派女優である『未来を生きる君たちへ』などのトリーヌ・ディルホムが、心に傷を負った主人公たちを快演。南イタリアで繰り広げられる大人の恋愛模様に、胸が高まる。
<感想>「未来を生きる君たちへ」でアカデミー外国語映画賞を受賞した監督スサンネ・ビア、脚本アナス・トーマス・イェンセンのコンビによるラブコメディーである。それもだいぶお年を召した主人公のピアース・ブロスナンとトリーヌ・ディルホムのお二人さん。これがとっても魅力的で、年老いてもこんなラブロマンスがあったらいいなぁと思わせる極上の作品です。現実ではどんなに妄想抱いても実現不可能だけど、劇場のスクリーンの上でのお話でも、中年のおばさんとしては心がウキウキして、胸がキュンとなり涙が出るくらい素敵なお話です。
トリーヌ・ディルホム演じるイーダが、乳癌の治療も一段落して、娘の結婚式にためイタリアのソレントへ行くことになる。ところが、その前に、病院から家へ戻ると、なんと夫が会社の女と浮気の真っ最中に出くわすわけ。驚くやらどうしていいのか分からず、ただ南イタリアへ行こうと車にのり空港へ。すると空港の駐車場であわてていたので、障害者用のスペースへ停めたため後ろも見ないでバックする。横から来た車にドカンとぶつけてしまい、怒った車の紳士がイーダの髪の毛を掴み、つまり抗がん剤を飲んでいたため頭はハゲ、あわてた紳士は驚いて謝る。
その紳士が実は、娘の相手花婿の父親フィリップだったのです。もちろん飛行機も一緒で、待合室でコーラを満タンにして零すイーダ。家を出るときに夫の嫌な思い出を、イタリアで癒そうと思っていたので、素敵な紳士と親戚になるのは嬉しいですよね。それに、ソレントへ着くとフィリップは優しくて、傷心の彼女を慰めてくれる。
彼女が海で、裸で泳ぐ姿を見つけたフィリップは驚いて駆け付けるのだが、彼女は自分の身体のことは隠したりしない。だからなのか、そういう彼女を守って上げたいと、誰でもそういう気持ちにはならないが、フィリップの場合は特別に彼女に優しく接するのだ。
ところが、夫があろうことか、浮気相手の女を連れて来たのには呆れかえる。それもその女、ずうずうしいことにもう離婚が決まっているとばかりに、婚約したと嘘をついて派手な衣装で奥さん気取りなんですから。そこへ軍隊へ入っている息子も来たのだが、怒り心頭で父親に殴りかかり喧嘩になってしまう。
結婚式前夜の、パーティでは盛り上がってダンスをフィリップと楽しそうに踊るイーダ。それを見てヤキモチを焼く亭主、いきなりイーダの手を引っ張りダンスの相手をさせる。それに、もう一人のお邪魔虫が、亡くなった奥さんの妹というおばさんが、フィリップに夢中でモーションをかけてくる。
そして、結婚する娘と婿どのとの間になにやら険悪なムードが。どうやら婿殿が実はゲイだったということが発覚して、可愛そうなのは花嫁の娘だ。結局結婚式は取り止めになり、みんな帰り支度をする。
デンマークへ帰ったイーダに、あの浮気夫が真っ赤な薔薇の花で絨毯を埋め尽くし、花束をたくさん飾って「やり直そう、君しかいないんだ」なんて甘い言葉につい心を許すイーダ。私なら絶対に許さないし、慰謝料がっぽり貰うのに。優しいのよね、イーダは。まだそんな夫でも愛しているんだもの。だから、せっかく美容院までフィリップが訪ねてきて、プロポーズしてくれたのに、断ってしまうなんて。
彼が帰った後に、大切な人の存在を認識したイーダは、単身ソレントへと向かうのです。良かったです、ここでは中年のラブロマンスを綺麗に表現して、甘くなく、辛くなく、軽やかなのがいい。勇気を持って彼の胸に飛び込んだイーダに幸せあれ!トリーヌ・ディルホムが輝いて見えた。
とにかく南イタリアの風景が素敵で、まぶしい太陽と緑の葉のレモンの木と黄色い果実たわわに実る道、そして斜面に立つ大きな屋敷。何度も映す朝日が昇る景色と夕日が沈む景色も、秘密の場所の入り江も、夜の港の灯りもロマンチックで絶妙ですね。
原題は「愛は君が必要なすべて」っていうのですが、邦題の方が分かりやすくていい感じですね。
2013年劇場鑑賞作品・・・107 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>「未来を生きる君たちへ」でアカデミー外国語映画賞を受賞した監督スサンネ・ビア、脚本アナス・トーマス・イェンセンのコンビによるラブコメディーである。それもだいぶお年を召した主人公のピアース・ブロスナンとトリーヌ・ディルホムのお二人さん。これがとっても魅力的で、年老いてもこんなラブロマンスがあったらいいなぁと思わせる極上の作品です。現実ではどんなに妄想抱いても実現不可能だけど、劇場のスクリーンの上でのお話でも、中年のおばさんとしては心がウキウキして、胸がキュンとなり涙が出るくらい素敵なお話です。
トリーヌ・ディルホム演じるイーダが、乳癌の治療も一段落して、娘の結婚式にためイタリアのソレントへ行くことになる。ところが、その前に、病院から家へ戻ると、なんと夫が会社の女と浮気の真っ最中に出くわすわけ。驚くやらどうしていいのか分からず、ただ南イタリアへ行こうと車にのり空港へ。すると空港の駐車場であわてていたので、障害者用のスペースへ停めたため後ろも見ないでバックする。横から来た車にドカンとぶつけてしまい、怒った車の紳士がイーダの髪の毛を掴み、つまり抗がん剤を飲んでいたため頭はハゲ、あわてた紳士は驚いて謝る。
その紳士が実は、娘の相手花婿の父親フィリップだったのです。もちろん飛行機も一緒で、待合室でコーラを満タンにして零すイーダ。家を出るときに夫の嫌な思い出を、イタリアで癒そうと思っていたので、素敵な紳士と親戚になるのは嬉しいですよね。それに、ソレントへ着くとフィリップは優しくて、傷心の彼女を慰めてくれる。
彼女が海で、裸で泳ぐ姿を見つけたフィリップは驚いて駆け付けるのだが、彼女は自分の身体のことは隠したりしない。だからなのか、そういう彼女を守って上げたいと、誰でもそういう気持ちにはならないが、フィリップの場合は特別に彼女に優しく接するのだ。
ところが、夫があろうことか、浮気相手の女を連れて来たのには呆れかえる。それもその女、ずうずうしいことにもう離婚が決まっているとばかりに、婚約したと嘘をついて派手な衣装で奥さん気取りなんですから。そこへ軍隊へ入っている息子も来たのだが、怒り心頭で父親に殴りかかり喧嘩になってしまう。
結婚式前夜の、パーティでは盛り上がってダンスをフィリップと楽しそうに踊るイーダ。それを見てヤキモチを焼く亭主、いきなりイーダの手を引っ張りダンスの相手をさせる。それに、もう一人のお邪魔虫が、亡くなった奥さんの妹というおばさんが、フィリップに夢中でモーションをかけてくる。
そして、結婚する娘と婿どのとの間になにやら険悪なムードが。どうやら婿殿が実はゲイだったということが発覚して、可愛そうなのは花嫁の娘だ。結局結婚式は取り止めになり、みんな帰り支度をする。
デンマークへ帰ったイーダに、あの浮気夫が真っ赤な薔薇の花で絨毯を埋め尽くし、花束をたくさん飾って「やり直そう、君しかいないんだ」なんて甘い言葉につい心を許すイーダ。私なら絶対に許さないし、慰謝料がっぽり貰うのに。優しいのよね、イーダは。まだそんな夫でも愛しているんだもの。だから、せっかく美容院までフィリップが訪ねてきて、プロポーズしてくれたのに、断ってしまうなんて。
彼が帰った後に、大切な人の存在を認識したイーダは、単身ソレントへと向かうのです。良かったです、ここでは中年のラブロマンスを綺麗に表現して、甘くなく、辛くなく、軽やかなのがいい。勇気を持って彼の胸に飛び込んだイーダに幸せあれ!トリーヌ・ディルホムが輝いて見えた。
とにかく南イタリアの風景が素敵で、まぶしい太陽と緑の葉のレモンの木と黄色い果実たわわに実る道、そして斜面に立つ大きな屋敷。何度も映す朝日が昇る景色と夕日が沈む景色も、秘密の場所の入り江も、夜の港の灯りもロマンチックで絶妙ですね。
原題は「愛は君が必要なすべて」っていうのですが、邦題の方が分かりやすくていい感じですね。
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