パピとママ映画のblog

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女神は二度微笑む ★★★

2015年04月22日 | ま行の映画
インドで消息不明となった夫を捜す女性をヒロインに、失踪(しっそう)と地下鉄テロの二つの事件にまつわる壮大な謎を、多彩な伏線を張り巡らせて描いたサスペンス。イギリスで暮らすインド人女性が、インドへ行ったまま連絡が途絶えた夫を見つけるべく、妊娠中の身でありながら壮絶な捜索劇を繰り広げる。主演は、ボリウッドを中心に活躍しているヴィディヤ・バラン。監督は『アラジン 不思議なランプと魔人リングマスター』のスジョイ・ゴーシュ。謎が謎を呼ぶストーリーと衝撃の展開に驚かされる。
あらすじ:イギリス・ロンドンに暮らすヴィディヤ(ヴィディヤ・バラン)は、インドへ行ったまま行方不明となった夫のアルナブを捜すためにコルカタにやって来る。しかし、宿泊先や勤務先にアルナブがいた痕跡はなく、やがてアルナブに非常によく似た男が国家情報局に追われていることが判明。ヴィディヤは危険を冒してでも、アルナブの行方を捜そうとするが……。

<感想>最近のインド映画は、歌や踊りのないサスペンスもので、ヒロインが臨月の超タフな美人ときた。好き嫌いは別として、最後のどんでん返しにいたるまでの話を、過剰に詰め込み、民族色豊かなお祭りでクライマックスを飾り立てるのだ。

そして、舞台となるコルカタよりもカルカッタ、ムンバイよりボンベイの方が、未だに何だかエキゾチックな親しみがあるインドの地名呼称変更である。コルカタの猥雑な路地にサスペンスの網を張りめぐらせ、IT関係と祭礼が主人公のアイデンティティを、何重にも宙ズリにする作劇になっている。
ですが、日本でもあった地下鉄サリン事件のような、コルカタの地下鉄でも同じようなテロによる無差別に一般市民を巻き添えにするのはどうかと思う。赤ん坊を抱いた母親らしき女が、途中の駅で降りる時に鞄を忘れていく。中には、哺乳瓶にミルクが入っており、そのミルクが床に落ちて破裂して、サリンと同じ効力を発揮するのだ。

いやはや、むせかえるような群衆の表現に舌を巻いた。舞台のコルカタも一般道路ではなく、路地裏という未知な場所をよく撮影していて、これもサービス満点ですが、ややカットが速すぎて、じっくり観たいと思う観客にはちと欲求不満な感じがした。
もはや踊らないのではなく、ポリウッドの伝統とは画した地点で、撮られているようにすら見えるわけで、グローバルな人口流動が真に21世紀的な映画を生んでいると思った。これからのアジア映画はこの方角へと向かうのではなかろうか。

配役のヒロインのヴィディヤ・バランをはじめとし、殺し屋のメガネデブ、頭の上がハゲの保険調査員に、新人警官のラナの優しさもいい。臨月まじかのヒロインが探偵まがいの頭の良さで、奔走するシーンにハラハラさせられ、クライマックスのラストシーン、ヒンドゥの「戦いの女神」ドゥルガーを乗せた山車と、それを取り巻く赤白のサリーの女性の群れ。上手く逃げ延びるすべを知っているのだ。

途中で、どうして臨月まじかの女性が、夫を探しにこんな危ないことをするのか、と思ったのだが、ラストの種明かしになるほどと納得がいく。
後半の怒涛の展開がやってくるまでの長い時間に、薄々感じていたある伏線が、「やっぱり」という結論」に結びつくのが残念なきがした。しかし、ハリウッドリメイク決定なのも頷ける作品。いやはや、見応えがありました。
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