『TSUNAMI-ツナミ-』などのユン・ジェギュン監督がメガホンを取り、『傷だらけのふたり』などのファン・ジョンミンを主演に迎えた感動の家族史。朝鮮戦争や軍事政権、ベトナム戦争など動乱の時代を家族のためにささげた一人の男の足跡を活写する。主人公の妻を『ハーモニー 心をつなぐ歌』などのキム・ユンジンが演じ、『パパロッティ』などのオ・ダルスらベテランが脇を固める。時代の波に翻弄(ほんろう)されながらも、たくましく生きる人々の姿に泣き笑いする。
あらすじ:朝鮮戦争中、父親と末の妹と生き別れたドクス(ファン・ジョンミン)は、母親と2人のきょうだいと一緒に避難民として釜山で暮らすことに。まだ幼いながらも家長として家族を守ることを心に誓った彼は、自分のことは後回しにしていつも必死に働いてきた。その後、西ドイツの炭鉱で働き、ベトナム戦争に従軍するなど、ドクスは何度も命の危険にさらされる。
<感想>朝鮮戦争から30年間にわたる激動の時代を、家族のために必死に生きてきた一人の男の姿を通して描き出す感動の大河ドラマである。釜山の繁華街、国際市場で小さな店を営む老主人のドクスが、自分の波乱に満ちた人生を回想する。1950年、朝鮮戦争の戦火を逃れて、故郷を脱出した少年のドクスは、混乱の中父と妹とはぐれてしまう。
母と幼い弟妹と共に釜山に辿り着いたドクスは、叔母の店に身を寄せて、靴磨きをしながら家計を助ける。「家族を守れ」という父の最後の言葉を胸に刻んで。
1963年青年になったドクスは、肉体労働をしながら懸命に家族を支えていた。ドウル大学に合格した弟の学費を工面するために、親友のダルグと西ドイツに鉱員として出稼ぎに行く。そこで、彼は看護師の卵であるヨンジャ(ユンジン)と出会う。ドイツの鉱山での落盤での死との瀬戸際が描かれるも、あの世に行く前に息を吹き返すドクス。
やがてヨンジャと結婚したドクスだったが、それは出来ちゃった結婚であり、その後も様々な困難が彼らの前に立ちはだかる。家族を守りたい一心で、それらを必至で乗り越えてきたドクス、そして、あの日から30年が経った1983年、信じられない奇跡がドクスに訪れる。生き別れになった妹がアメリカへ里子に出されており、奇跡の再会を果たすのだ。
ラストで、母親が亡くなり、父親の幽霊が出てきて、ドクスが父親に涙ながらに今までの苦労を話すシーンには、涙が止まらなかった。原題は「父への賛歌」
朝鮮戦争の以後を描くこの映画は、韓国の人たちにとって本当に特別な映画だろうと思います。もちろん、他の人たちにも訴えかける普遍的な物語でもあります。
第二次世界大戦後の日本にも、無数のドクスと同じ過酷な運命と生涯を送った人たちがいた筈です。映画自体は「このシーンはこういうことが起こるであろう」とか、「このシーンはこういう風に撮るだろう」とすべて予想したとおりに進んでいく王道の展開なっている。
ですがこの場合、そのベタさが正解なのだと思います。国民的映画として記憶の共有と継承を促す使命を、おのずと帯びている映画なのだから。
韓国の歴史と、家族の歩を重ね描いた作品ですが、甘くて郷愁バンバンなものにしていないのがいい。題材として取り上げられる時代のエピック群は、ことごとくエモーショナルで、ヘビネスでエキサイティングである。
そんなわけで、主要キャラや脇キャラのみならず、ボブキャラまで哀しみまくるのだが、その涙もとことんしょっぱくて苦いようだ。正直そんなノリに戸惑うところもあるし、ふいにアクション調になったり情緒的にして盛り込みすぎるところもある。
スケールは雄大で、映像は美しく、我が国よりさらに過酷な戦後の歴史を生き抜いてきた隣国の、同世代人の生涯が心を打つのだ。それでも、残念なのは、韓国の現代史が背景にあるにもかかわらず、政治的な状況とそれと、主人公との関わりがほとんど描かれていないことだ。そこが描かれていれば、更に骨太な大作になっていただろうにと思った。
2015年劇場鑑賞作品・・・153映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:朝鮮戦争中、父親と末の妹と生き別れたドクス(ファン・ジョンミン)は、母親と2人のきょうだいと一緒に避難民として釜山で暮らすことに。まだ幼いながらも家長として家族を守ることを心に誓った彼は、自分のことは後回しにしていつも必死に働いてきた。その後、西ドイツの炭鉱で働き、ベトナム戦争に従軍するなど、ドクスは何度も命の危険にさらされる。
<感想>朝鮮戦争から30年間にわたる激動の時代を、家族のために必死に生きてきた一人の男の姿を通して描き出す感動の大河ドラマである。釜山の繁華街、国際市場で小さな店を営む老主人のドクスが、自分の波乱に満ちた人生を回想する。1950年、朝鮮戦争の戦火を逃れて、故郷を脱出した少年のドクスは、混乱の中父と妹とはぐれてしまう。
母と幼い弟妹と共に釜山に辿り着いたドクスは、叔母の店に身を寄せて、靴磨きをしながら家計を助ける。「家族を守れ」という父の最後の言葉を胸に刻んで。
1963年青年になったドクスは、肉体労働をしながら懸命に家族を支えていた。ドウル大学に合格した弟の学費を工面するために、親友のダルグと西ドイツに鉱員として出稼ぎに行く。そこで、彼は看護師の卵であるヨンジャ(ユンジン)と出会う。ドイツの鉱山での落盤での死との瀬戸際が描かれるも、あの世に行く前に息を吹き返すドクス。
やがてヨンジャと結婚したドクスだったが、それは出来ちゃった結婚であり、その後も様々な困難が彼らの前に立ちはだかる。家族を守りたい一心で、それらを必至で乗り越えてきたドクス、そして、あの日から30年が経った1983年、信じられない奇跡がドクスに訪れる。生き別れになった妹がアメリカへ里子に出されており、奇跡の再会を果たすのだ。
ラストで、母親が亡くなり、父親の幽霊が出てきて、ドクスが父親に涙ながらに今までの苦労を話すシーンには、涙が止まらなかった。原題は「父への賛歌」
朝鮮戦争の以後を描くこの映画は、韓国の人たちにとって本当に特別な映画だろうと思います。もちろん、他の人たちにも訴えかける普遍的な物語でもあります。
第二次世界大戦後の日本にも、無数のドクスと同じ過酷な運命と生涯を送った人たちがいた筈です。映画自体は「このシーンはこういうことが起こるであろう」とか、「このシーンはこういう風に撮るだろう」とすべて予想したとおりに進んでいく王道の展開なっている。
ですがこの場合、そのベタさが正解なのだと思います。国民的映画として記憶の共有と継承を促す使命を、おのずと帯びている映画なのだから。
韓国の歴史と、家族の歩を重ね描いた作品ですが、甘くて郷愁バンバンなものにしていないのがいい。題材として取り上げられる時代のエピック群は、ことごとくエモーショナルで、ヘビネスでエキサイティングである。
そんなわけで、主要キャラや脇キャラのみならず、ボブキャラまで哀しみまくるのだが、その涙もとことんしょっぱくて苦いようだ。正直そんなノリに戸惑うところもあるし、ふいにアクション調になったり情緒的にして盛り込みすぎるところもある。
スケールは雄大で、映像は美しく、我が国よりさらに過酷な戦後の歴史を生き抜いてきた隣国の、同世代人の生涯が心を打つのだ。それでも、残念なのは、韓国の現代史が背景にあるにもかかわらず、政治的な状況とそれと、主人公との関わりがほとんど描かれていないことだ。そこが描かれていれば、更に骨太な大作になっていただろうにと思った。
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