学生時代先輩に連れられて行った名古屋大須の小さな劇場(小屋)。
そこで初めてアングラ劇を観た。
(アングラ=アンダーグランド=地下=主流ではないが優れている)
アングラは何が何だか分からないまま終わった、エネルギッシュだったことだけを覚えている。
それから何年後に『THE WINDS OF GOD』金沢公演、今井 雅之作・主演を観ている。
エネギリッシュで熱い声が聞こえてきそうです。
しかし、つかこうへいの戯曲は観ていない。
(深作欣二監督の『蒲田行進曲』は見ている)
「つかこうへい正伝」前文にはつかこうへいの訃報を聞いた元つか劇団の役者達のことが書かれている。
本文より
「つかさんの死が伝えられた日の夜、風間杜夫、平田満、石丸謙二郎、根岸季衣、井上加奈子など、かつての劇団の仲間たちは新宿の飲み屋に集まった。皆が涙に暮れる覚悟でやって来たのに、結局、つかさんの思い出話で盛りが上がることになったという。
傍若無人で小心で、残酷なくせに心優しく、とことん楽感的だと思ったら、死ぬほど悲観的になる……世の中の人間すべてをバカと呼び、稽古場で芝居が気に入らなければ、役者を1日罵倒し続け、取材がはいれば、どの役者よりも目立とうとする……打ち上げで褒めた役者が笑顔でも見せようものなら、激高してテーブルのビール瓶を足で払い、カラオケでマイク握れば、誰にも歌わせず、そのくせ他の客からクレームが来たとたん、シュンとして店を出て行く……。
僕らはもう四十年、会えばいつだってそんなつかさんの話になる。この日も変わらなかった。」
本文より
1982年1月18日、直木賞選考の日、つかは真っ赤なラガーシャツにジーパン、真新しい白のスニーカーで事務所に現れた。初めて見るファッションだった。
「どうだ?受賞会見には、これで出るぞ。新しいとみっともないからよ、一回洗ったんだ」
『蒲田行進曲』フィナーレ(紀伊國屋ホール)
左から榎本明、長谷川康夫(著者)、平田満、根岸季衣、風間杜夫、萩原流行、石丸謙二郎