2008年2月 刊 表紙はアトス半島を行く著者
ギリシャ編とトルコ編で構成。
アトスー神様のリアル・ワールド
ギリシャ正教の聖地、アトス半島を巡る。
この半島は修道院が自治権を持っていて、一般者の滞在期間4日以上は認められていない。
その僅かな期間で7つの修道院を回る徒歩で。
どっちがリアル・ワールドなんだ⁉︎
トルコ編
チャイと兵隊と羊ー21日間トルコ一周
本文より
遺跡を見たあと海岸で少しを泳いだ。そしてそのまま、トルコでは泊まらずにギリシャに戻ってきた。
でもその時以来、僕はトルコと言う国に対して強い興味を抱くようになった。それがどうしてかは自分でもよくわからない。僕を引きつけたのは、そこにあった空気の質のようなものではなかったかと思う。そこにある空気は、他のどことも違う、何かしら特殊な質を含んでいるように僕には感じられたのだ。肌触りも、匂いも、色も、何もかもが、僕はそれまでに吸ったどのような空気とも違っていたのだ。それは不思議な空気だった。
旅行と言うのは本質的には、空気を吸い込むことなんだと僕はそのとき思った。おそらく記憶は消えるだろう。絵はがきは色褪せるだろう。でも空気は残る。少なくても、ある種の空気が残る。