(試合直後、グラウンドに整列し校歌を歌う成章の選手たち)
やったぞ、初勝利―。第80回記念選抜高校野球が22日に開幕し、36年ぶり2回目出場の成章は開幕直後の1回戦第一試合に登場、持ち前の「ひたむき野 球」で駒大岩見沢(北海道)を終盤逆転し3-2で下した。創部102年にして甲子園初勝利。東三河勢の甲子園勝利は1953(昭和28)年春の時習館以 来、55年ぶり。勝利の瞬間、6000人の大応援団は沸き返った
「果敢」にして「ひたむき」。成章らしい勝利だった。
前半、足を使ってかき回すはずが、盗塁死したり、投手牽制で刺されたり。それでも積極果敢に次の塁を狙った。
守っても前半、よもやの失策が相次いだが選手たちはひるまず打球に向かった。打っても5回まで毎回の7三振を奪われたが、空振りを怖れず鋭いスイングを重ねた。
成章は初出場の1972年、初戦で諫早(長崎)に3-5で敗れており、今回が初勝利(夏の大会は出場ゼロ)。東三河勢の甲子園勝利も1953年に時習館が市岡(大阪)に3-1で勝って以来55年間途絶えており、糟谷寛文監督は「本当にうれしい」と涙ぐんだ。
応援席もチームを支えた。バスだけで4000人、列車を含めれば約6000人が陣取った。アルプススタンドでは収容しきれず、主催者側は急きょ外野席に「臨時アルプス」を増設したほどだった。
2回の先制、8回の逆転、勝利の瞬間、球場全体を揺るがす大声援が3度にわたって起きた。試合後、糟谷監督は「大声援が選手を励ましてくれた」と感謝した。
2回戦は27日の第一試合(午前9時)に平安(京都)と。これまで東三河勢は今大会の成章を含め春4回、夏3回甲子園に出場しているが1勝を上げたのは1953年の時習館のみ。勝てば、東三河勢初の大会2勝となる。
開幕試合に先立ち、開会式が行われ、出場36校の選手648人が胸を張り堂々と入場行進をした。
主催者を代表して北村正任毎日新聞社社長が「いま、私たちは誰もが共有できる感動を求めている。選手、応援団、観客、郷里の人たちで感動のときをつくろ う」と呼びかけ、来賓の渡海紀三郎文部科学相は「全国高校球児の代表としての誇りを胸に、悔いのないプレーをしてください」と励ました。
中京大中京の矢沢英典主将が「感謝の心を忘れず、はつらつとプレーします」と選手宣誓を行い、始球式では選抜第1回大会に優勝した高松商(香川)の松井章悟主将がマウンドに立った。