今から15年ほど前、当時、所属していた事務所のM社長が
ライターかけだしの私に
読んだ人を行った気分に、食べた気分にさせなさい。
写真に頼らず、文章を読んで情景が味が浮かぶように書きなさい。
と口をすっぱくして言っていた。
150文字の文章の中にもそれを織り込めと言われ続けた。
何があっていくらでという情報を流すだけはレポートだと。
昨日、同世代の女性と雑談をしている時に
「いつもデ○す○楽しみ読ませていただいています。
いろいろなお店が載っていて楽しいですよね。
でも、どんな味がしたのかどういう感じだったのかが欲しいです。
どのお店も、メニューの紹介があって美味しかったでまとめてあるから。
特に私は、主人の介護で思うように外に出られないので、
あーいう情報誌を読んで行った気分を味わっているんですよ」
13年近く続いているす○○すのレギュラーコーナーを担当した時、
当時の編集長で、今は後見人のKさんも
「このコーナーは、育児とかで思うように外出できない人達が
これを読んでお出かけした気分になるようにしたい」と言われた。
だのに、今の私は…。
デスクの好みにあわせ、情報を羅列しているだけの原稿を書いていた。
レポート原稿は、サラリと取材をし資料をもらえば、
後はパズルのように組み合わせてゆけば書ける。
でも、M社長やKさんが言う原稿を作るには、
取材中、相手の一語一句に敏感になり、
その中からピンとくるものがあると、そこから話を引っ張り出さないといけない。
ものすごい集中力とアンテナが要求される。
一つの出来事を書くのに10以上の情報を必要とする。
今まで封印していた蓋がパカンと開いた。
読者は見ている。見られている。そしてわかっている。
今朝の朝日新聞に
『世の中は後ろからではなく、読者とともに正面から動かしたい』
という一文があった。
読者とともに
今日から、また初心に戻ってスタートだ。
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