まねき猫舎

博多人形師が語る博多山笠・2

「博多山笠は職人が作る山。山笠は財産を与えてくれる」。
暗幕が張られた博多小学校・表現の間の舞台で、
山笠の写真をバックに当番法被姿でマイクを握る亀田さん。

今でこそ博多山笠を作ることは博多人形師のステイタスですが、
バブルの頃までは
「なぁ~んで、あがん儲からんとに山笠人形ば作らなんとや」と
博多人形師の間では言われていたそうです。

その理由は、人形師は人形だけを作ればいいのではなく、
そこに着せる洋服や周りの装飾まで
全て一手に引き受けるからです。
山に飾った時に、遠くからでも栄えて迫力があるように…。
かつ品があり、そして大衆的であること。
それが博多山笠の博多人形なのです。
例えば、人形に着せる生地の場合、予算を決めて出かけても、
隣に少しいい生地を見つけると「せっかくだけん」と手を伸ばし、
またその隣にいい生地があると「こんぐらいなら」と手を伸ばし、
気がつけば1m6000円の生地を買って帰ることもたびたび…。
その調子で“山”作りにのめり込んでゆくので、
気がつけばプラマイゼロは当たり前。
時には、赤字で作り上げる事も。

「だけん職人とです。金の計算は後! 
     よかもんば作りとうなっとですよ」。

そんな“のぼせもん”の亀田さんの1年の計はもちろん山笠にあり。
「カレンダーがくっでしょうが。
そしたら、まず7月15日ば見っとですよ」。
“山”を基準にめくる亀田暦。
頭の中でも常に“山”のことがチラチラ。

竹と和紙で人形本体を製作するのが伝統の山笠人形。
しかし、その技法で作ると、
どうしても人形の柔らかさが出てこない…。
ん~と悩み始めた頃に出会ったのが“発砲スチロール”。
自然な丸みと細かい部分にはピッタリ! 
と翌年から早速山笠人形に導入。
諸先輩から「お前は伝統山笠の作り方も知らんとかー!」と
怒鳴られながらも
まずは挑戦。すると、まぁきれいな博多人形が。。。
以後、伝統山笠の作り方は発砲スチロールになったそうです。
また、人形の服も全て手縫いやミシンだったのを
強力両面テープでピッピッ。
そしてこちらも伝統に。

「これが博多ですたい」。
博多は捨ててゆく文化、別名壊す文化と語る亀田さん。
一基作るのに一千万円近くかかる山笠の山しかり、
どんたくの傘鉾しかり、
祭りが終わると壊し、また来年に向けて作成します。
「博多は大陸からどんどん新しい物が入ってくるので、
新し物好きなんです。
過去に捕われず、新しかもんばどんどん取り入れる。
出来上がりがよければ何も言わん。
それで2~3年もすればそれが伝統になる」。
反対に、東北は、京都や奈良を経て流れてきた文化を
大切に保存する『冷凍の文化』と言うのだとか。

そして山笠も大切な博多の文化。北海道へ流れていったのです。
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