こんばんは。
突然ですが……物語を。
『ももたろう』というお話は有名ですよね。
それを『ももたろう』の視点から描かれている作品なので、あえて。
スピンオフな感じで。
『鬼』の視点から描いていきたいと思います。
『ももたろう~スピンオフ鬼ヶ島~』
【秘書の赤鬼】
今宵は良いお天気ですね。
長老さま。
【長老】
そうですね。
今夜の月は何か仰られている。
【秘書の赤鬼】
えっ?
【長老】
遠き国からやって来る若き少年たち。
我らの噂を聞いてやって来るとのこと。
【秘書の青鬼】
もしかして、我ら鬼が「暴れまわっている」「村の人たちから金銀などを強奪している悪者だ」
とか、あんなウソばかりの噂ですか?
そんなことを本当にまた信じて人間が我らの島へやって来るのでしょうか!?
【長老】
そうだ。
それに備えねばなるまい。
あと…
村人たちにも伝えねばなるまい。
きっと怯えるかもしれねが、仕方のないこと。
我らの見た目がこれでは、だれがどう見ても…な…。
怖いツノに大きなキバ。
赤や青。黄色い鬼までいる。
見た目が怖すぎるだけだという理由で…今まで何人我らの島へ人間がやって来たか。
【秘書の黄鬼】
そうでしたね。
我らは戦うつもりは全くないのだから、今回も前回と同じでおもてなしをして、お帰りの際には。
大きな手土産を持たせてやりましょう。
数日後……
お月様のお告げのように、可愛らしい男の子と強そうなおサルさんに優しそうなキジさん、気弱そうなイヌさんの『ももたろう御一行』が鬼ヶ島へやって来ました。
長老を始めとする鬼たち皆は、その御一行様を大歓迎しました。
ももたろうたちは町で聞いていた鬼とは全く違い驚くばかりです。
【長老】
長旅でお疲れだと思います。
今夜はこの宿で疲れを癒して下さい。
(ももたろうは自分たちがここで食べられる。と思い、警戒心むき出し状態のまま。)
【秘書全員】
そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。
私たちはあなた方が思っているようなことは絶対にいたしません。
我々は見た目は、あなた方から見ると凄く怖いと思います。
ただそれだけで、私たちは遠渡遥々からやって来たお人をおもてなしをしたいだけです。
それを信じて下さい。
【ももたろう】
わかりました。
噂を信じて、あなた方は悪い鬼で、人間を食べたりするような怖いイメージでした。
ここに来てわかりました。
あなた方鬼さんたちはお優しい。
そんなことを知らず、見た目と噂だけで『悪い鬼』だと勘違いしてごめんなさい。
【長老】
わかって頂いて嬉しいです。
ありがとう。
今夜はゆっくりと長旅のお疲れを取ってください。
宴も用意していますので。
お楽しみに。
【キジ・サル・イヌ】
聞いてた話とはかなり違って驚いてるけれど……。
ありがとうございます。
楽しみにしています。
楽しい宴が始まりました。
太鼓や笛の音で楽しいメロディーを奏で、赤鬼や青鬼や黄鬼が楽しそうに舞っています。
【長老】
楽しんで頂けていますか?
【ももたろう】
はい。
楽しませて頂いてます。
それに、こんな珍しい。
見たこともない豪勢なお料理まで用意して頂いてありがとうございます。
【長老】
楽しんで頂けて良かったです。
今宵はもう遅くなりましたので、宴はこの辺で。
ゆっくりとこちらでお休みください。
【ももたろう・キジ・サル・イヌ】
ありがとうございます。
おやすみなさい。
翌日の朝
ももたろうたちは帰ることにしました。
【ももたろう】
昨日はありがとうございました。
こんなにも楽しませて貰ってありがとうございました。
こんなにも心優しいの鬼さんたちとは全くしりませんでした。
村に帰って、鬼ヶ島に住む鬼さんたちはとても心優しい鬼さんだと話したいと思います。
【赤鬼】
それはありがたい。
【青鬼】
ですね。
ありがたい。
長老さま、こんな風に言って頂けて嬉しく思いますよね。
【長老】
あぁ〜。
ホントに。
嬉しくて、涙が出ます。
【ももたろう】
では、ぼくたちは帰りますね。
【長老】
お待ちくだされ。
これ。
(赤鬼が金銀財宝をたくさん持って来る)
【ももたろう】
えっ?
これはなんですか?
【長老】
これをお持ち帰りください。
これらは鬼ヶ島の特産品です。
島の皆で作りました。
【ももたろう】
こんなにも。
有難い。
【キジ・サル・イヌ】
…………。
(貰うんかい!!)
【ももたろう】
では、今度こそ。
ありがとうございました。
さようなら。
お元気で。
ももたろうたちが去ったあと
【秘書の赤鬼】
やっと帰りましたね。
今回の人間は、初めは凄く我々のことを疑ってはいたけれど………見た目で判断せず、信じてくださいましたね。
【長老】
あぁ。
本当の鬼というのは、誰しもが抱えてるものだ。
【秘書の青鬼】
はい。
人間は見た目が違う我々のことを怖い鬼だと思っているけれど、本当の鬼は誰の中にも隠れているもの。
【秘書の赤鬼】
隠れて、いつも寝て……封印されている。
封印が解けたとき、人間たちが言う。
恐ろしいことが起きるのですね。
【長老】
あぁ。
我々はそれをよく知ってるから、見た目で判断されないようにしなければならない。
【秘書全員】
はい。長老さま。
【長老】
次にまた、同じように悪い噂を信じ。
我々を退治しに来る者が現れるかわからないから、またいろんなものを日々努力して皆で作っていこう。