昔々、20年近く前のこと、あるところにポジティブおばけのポジティブさんがいました。ポジティブさんは、ポジティブなことばかり言っていました。もちろんポジティブは良いことですよね。
ある日、ポジティブさんはお友だちのネガティブさんとおしゃべりをしていました。ネガティブさんは、『なまける』と言う言葉を使いました。そうするとポジティブさんは『なまけるという言葉は良くない言葉、使わない方がいいよ』といいました。
ネガティブさんは、はて、なまけると言う言葉は悪い言葉なのかしら?私はそうは思わないけれど…なんとなく、なまけると言う言葉にいやされるネガティブさんでした。
そのあともポジティブさんとネガティブさんはおしゃべりを続けていて、ことあるごとにネガティブさんの発する言葉にポジティブさんは、『この言葉は悪い言葉、使わない方がいいよ』と言いました。ネガティブさんはせっかく出来たお友だちだけど、なんか落ち着いておしゃべりも出来ないな、なんか疲れるなと思いました。
あるときポジティブさんは、ネガティブさんに、小さい小さい人形をあげました。ポジティブさんの入っている宗教のお守りのようです。でもネガティブさんは、しばらくしてその小さい小さい人形を近くの河に投げてしまいました。
それからネガティブさんはポジティブさんと距離を置くようになりました。
あれから20年近く、近所に住んでいるはずなのになぜだろう?なぜかしら?偶然にも一度も会ったことがありません。
風のうわさには、ポジティブさんは嘘ばかりついていたということです。ネガティブさんは嘘をつくという気持ちがさっぱりわかりませんでした。彼女の言っていたあのこともこのことも嘘でした。小説で賞をとり、100万円もらったとか、あの先生は私のこと好きだとか、この人がポジティブさんのことをすごいと言っていたとか、全て嘘でした。
なぜポジティブさんが嘘をつくようになったのか、それは、注目されたい、認められたいと言うこと、なぜ注目を浴びたいのか、それは子どもの頃のことと関係しているようでした。
今頃ポジティブさんは元気で暮らしているだろうか、だったらいいなとネガティブさんは思いました。