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幸福実現党
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.59
2016年2月2日発行
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログ
http://enatsu-masatoshi.com/
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「中国の海洋進出の真相―本気で尖閣を奪いに来ている」
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先般、沖縄で幸福実現党の大川隆法総裁が「真実の世界」という演題で、講演会を行いました。
内外からの反響も大きかったようで、各方面に影響が出てくるものと思われます。その中で、国防・外交の重要さも述べられました。
今回は、中国がなぜ、あれほど東シナ海、南シナ海に進出して来ているのかを述べてみたいと思います。
●中国の国家目標
中国の習近平主席は「中華民族の偉大な復興」「人民解放軍は戦争に打ち勝つ軍事目標を持つ」として“海洋強国化”を唱え、
東シナ海と南シナ海を“中国の海”とするために活動を活発化しています。
その目的は、アメリカと肩を並べる超大国として、アジア・太平洋地域、少なくとも西太平洋の覇権を獲得することにあります。
日本国民は、中国が日本の領土・領海を侵食してくる野心を持っていることを知らねばなりません。
好むと好まざるにかかわらず、中国はやってきます。
●1980年代後半につくった中国海軍建設計画
1980年後半に、トウ小平は劉華清に命じて、第一列島線および第二列島線を戦略的抵抗線として重視した計画を策定しました。
もともと列島線とは、旧ソ連や中国などの東側諸国を封じ込めるために西側諸国により提唱されたものです。それを中国が自国の戦略的抵抗線として再定義しました。
おおまかなイメージとして、第一列島線は、その内側に敵軍の侵入を阻止しうる能力を持つということ。
中国にとっての絶対国防圏として、米国や日本の行動を拒否、排除することを目的としています。
第二列島線は、敵が第一列島線内に接近することを阻止するためのバッファー・ゾーンです。
●A2/AD(近接阻止・領域拒否)
A2/ADという言葉を聞いたことがあるでしょうか。中国が、米軍が第一・第二列島線内に入って来られないようにする戦略・作戦のことです。
米軍がその地域に侵入すると危ないと思わせるまで、軍事力を強めておく考えです。
なぜ中国は、このような戦略を取っているのでしょうか。
●1996年の台湾海峡危機
それは、1996年の台湾海峡危機にあります。台湾の自由投票による総統選挙の際に、中国は選挙を妨害するために、台湾周辺にミサイルを撃ち込み、恫喝しました。
中国は強気で「米軍が介入したら、米国西海岸に核ミサイルを撃ち込む」とまで言いました。
しかし、米国はインディペンデンスとニミッツの二個空母部隊を派遣。中国は沈黙し、台湾の総統選挙は無事に実施されたのです。
この事態を中国は屈辱として、米国に対抗できるために何をすべきかを考えたのです。
●SLBMと空母保有を決意
中国が米国に負けたのは、核抑止力において米国が中国を圧倒していたと感じました。
そのために確実な核抑止力を獲得することが至上命題となりました。その次に、敵空母の接近を拒否するためには、自らも空母を持たねばならないと決意したのです。
中国にとっての確実な核抑止力とは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)です。SLBMは敵の核の第一撃から生き残れる確実な方法です。
例えば、地上の核ミサイルは、第一撃で殲滅されたら報復できません。
しかし、潜水艦から核ミサイルを撃てれば、その潜水艦を撃滅しない限り、最初に核ミサイルを撃った国も、反撃されて多くの国民の命を失ってしまうからです。
ですから、SLBMを持てば、米軍といえども、やすやすと接近して圧力を加えられないと考えたのです。
中国は既に空母を持ち、SLBMの開発、改良を続けています。
●南シナ海に固執する理由―原潜の展開場所
このSLBMを搭載した原子力潜水艦を展開させるためには、南シナ海がどうしても必要なのです。黄海や東シナ海では、水深が浅すぎて展開が難しいのです。
陸上基地からの防衛が受けられる沿岸海域で、十分な水深があって、周囲を島嶼で囲まれた南シナ海が、原子力潜水艦を展開するのに必要不可欠なのです。
だから、現在、南シナ海に岩礁を埋め立て、軍事施設をつくり、フィリピンやベトナムの反対に意を介さずに、中国の海にしようとしているのは、
米軍に対抗するために国家戦略だからです。
このまま南シナ海の中国の聖域化が進めば、米国の核の傘の信頼度が相対的に下がり、中国が核恫喝を行った場合、米国が介入をためらう事態も考えられます。
すなわち、それは地域紛争が起こりやすくなるということです。
●中国にとっての絶対国防圏―東シナ海と南シナ海
中国側から見ると、北京の河北地域、上海の長江デルタ地域、香港の珠海デルタ地域は、政治経済の中枢であり、絶対に守らなければならない重要地域です。
それぞれに北海、東海、南海の各艦隊が配備されており、防衛とともに外洋進出をするためには、
第一列島線に含まれる黄海、東シナ海、南シナ海は敵の侵入を許してはならない「絶対国防圏」に当たるのです。
●南西諸島は絶対国防圏の壁
ですから日本の沖縄を中心とする南西諸島は、中国にとっては「絶対国防圏」を守るための壁であり、
同時に西太平洋で航空優勢を獲得するための出城として必要不可欠な島嶼なのです。
南西諸島を確保できて、アジア・太平洋地域で覇権を確立することができるのです。
●尖閣諸島は南西諸島進出の足掛かり
その中で、尖閣諸島は、中国が南西諸島を獲得するための足掛かりと言えるでしょう。
1960年代後半に、尖閣諸島近辺に豊富な地下資源が眠っているという報告がなされてから、中国は「尖閣諸島は中国領である」と盗人のように言っています。
これも中国の尖閣奪取の大きな理由なのですが、中国海軍にとっては、米軍を阻止し、SLBMによる核抑止力の向上がもっと強い関心事なのです。
●中国は挑発しつつ島嶼を奪取するつもりである
このように、中国にとって、南西諸島を無力化し、自国のコントロール下に置くことがアジア・太平洋地域の覇権獲得のために必要不可欠と考えているのです。
逆に言えば、日米は南西諸島を守り抜くことで米軍の来援を確実にし、中国を封じ込めることができるのです。
ここは踏ん張りどころです。尖閣諸島は、中国にとって南西諸島を占拠するための足掛かりであるので、「核心的利益」と宣言しています。
中国は尖閣諸島の奪取を断念することはあり得ないと思っておいた方が良いでしょう。
今後、中国は尖閣諸島周辺で挑発行為を繰り返し、隙を突く機会をうかがっているのです。
日本国民は島嶼防衛の重要性を、もっと真剣に持たなければなりません。
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2、編集後記
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仕事柄、離島に行くことも多いです。
そこに素晴らしい生活があり、美しい自然もあります。
国境を接している離島は、国防という観点から、地域振興をする意義があります。
離島振興、離島防衛にもしっかりと対応していきたいと考えています。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
http://enatsu-masatoshi.com/profile
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