米海軍の巡航ミサイル潜水艦3隻が同時出現
中国包囲網か
古森義久】米国海軍の巡航ミサイル搭載の新鋭原子力潜水艦3隻がアジアからインド洋にかけて初めて同時に出現し、中国を抑止する構えをとったことが12日までに明らかにされた。最近、増強の顕著な中国海軍への警告も込められているという。
【ワシントン=12月発売の米誌タイムの報道によると、米海軍の潜水艦では最大のオハイオ級改良型「USSオハイオ」が6月28日にフィリピンのスービック湾に浮上。同型の「USSミシガン」も同日、韓国の釜山に寄港した。さらに「USSフロリダ」もこの日、インド洋ディエゴガルシアの米英合同海軍基地に浮上した。
オハイオ級改良型潜水艦は、米海軍の最大最強の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)の核弾頭ミサイル発射機能を、非核通常弾頭の巡航ミサイルのトマホーク搭載に改装した新型で、現在4隻が配備されている。巡航ミサイル潜水艦(SSGN)と称される同型は1隻にトマホーク発射筒22基を装備、1基当たり7発、1隻最大154発のトマホーク巡航ミサイルを搭載できる。同ミサイルは射程約1800キロ、地上、水上の標的攻撃が可能だ。
タイム誌によると、米海軍は欧州方面での緊張緩和に伴い、オハイオ級改良型潜水艦などの戦力配備の比重をアジアに移し、特に中国海軍のアジア太平洋からインド洋での増強に注視、3隻のSSGNを同時に中国の近海域に浮上させることは前例がないという
報道はこの巡航ミサイル搭載潜水艦の動きを「中国周辺での米軍ミサイル配備が(中国への)メッセージ発信」と評し、ワシントンの戦略国際研究センター(CSIS)中国専門家のグレーサー研究員の「米軍は太平洋の部隊を増強する決定を下しており、その動きを中国がまず注意することは疑いがない」というコメントを紹介し、潜水艦3隻の同時登場が中国への抑止効果を狙ったことを伝えている。
中国側では在米中国大使館報道官が「この米軍の動きは地域の平和、安定のためであり、それに反する目的ではないことを望む」と論評したという。
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