http://guevara3d.xsrv.jp/tradeblog/chelsea-manning-released-today/ より
チェルシー・マニングが釈放される日が来た。アメリカ機密文書を漏洩したトランスジェンダー
2017年05月17日 16時14分 JST ハフポスト日本版
2012年4月撮影 米軍人ブラッドリー・マニング当時
チェルシー・マニング(29、出生時の名がブラッドリー・マニング)は元アメリカ陸軍の情報分析官で、2010年におよそ75万ページの機密文書を内部告発サイト「ウィキリークス」に漏洩し、実刑判決を受けた。
マニングのリークをきっかけに、ガーディアンやニューヨーク・タイムズ、ウィキリークスがアフガニスタンやイラクの戦争に関する一連の機密情報を公表した。
マニングはスパイ活動法に違反した罪で2013年に有罪判決を受け、禁錮35年の刑を言い渡された。その直後、マニングはトランスジェンダーであることを告白し、男性ではなく女性として生活することを公言した。
チェルシー・マニングがTwitterを開始:ウィキリークスで膨大な機密文書を漏洩
マニングは動機について「自国への愛と他人への義務感から」文書を漏洩したと供述している。
元CIA職員のエドワード・スノーデン氏と並ぶ超ビッグな「内部告発者」である。
彼女(あるいは彼か)から漏れた情報、とりわけ外交上の電文は、2010年12月に始まったアラブの春の触媒となっており、評価は歴史に委ねなければならないだろう。
バラク・オバマ前大統領は1月、大統領としての最後の執務の1つとして、マニングに減刑の恩赦を与えた。ドナルド・トランプ大統領はマニングを「恩知らずの裏切者」と呼んだ。マニングは5月17日にカンザス州のレブンワース陸軍施設から釈放される予定で、当初の刑期より30年早い。
個人が国と対立した場合はどうすべきなのか。
無思慮に国から押し付けられた愛国心を信じ込み行動するのは馬鹿げたことだし、最後は良心に従って真の愛国心を発揮すべきだろう。
そしてチェルシー・マニングの釈放を彼女がトランスジェンダーであるからという理由で捉えてはならないことも確かである
内部告発サイト「ウィキリークス」に70万点にも及ぶ軍の機密情報を漏らしたとして服役していたアメリカ陸軍の元上等兵が釈放され、アメリカのメディアは史上最大規模の情報漏えい事件の当事者が釈放されたとして大きく伝えています。
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チェルシー・マニングとは?
2013年の有罪判決のあと公開されたチェルシー・マニングの2010年の画像。HANDOUT . / REUTERS
チェルシー・マニング(29、出生時の名がブラッドリー・マニング)は元アメリカ陸軍の情報分析官で、2010年におよそ75万ページの機密文書を内部告発サイト「ウィキリークス」に漏洩し、実刑判決を受けた。
マニングのリークをきっかけに、ガーディアンやニューヨーク・タイムズ、ウィキリークスがアフガニスタンやイラクの戦争に関する一連の機密情報を公表した。
マニングはスパイ活動法に違反した罪で2013年に有罪判決を受け、禁錮35年の刑を言い渡された。その直後、マニングはトランスジェンダーであることを告白し、男性ではなく女性として生活することを公言した。
マニングは何を漏洩したのか?
このアメリカ軍の映像の一場面では、バグダッドで軍のヘリコプターが2人のジャーナリストを含む一般市民を攻撃している。
マニングは2007年に陸軍に加わり、2年後にイラクに送られた。マニングは2010年、戦場の動画やアメリカ大使館の外交公電を含む75万件のファイルを空のCDにコピーし、基地から持ち出した。
マニングはこれを当時まだ知られていなかったウィキリークスに提供した。最も有名なのは、アメリカ軍の対地攻撃ヘリコプター(通称アパッチ)が2007年7月にバグダッドで民間人を攻撃した映像で、ロイター通信のジャーナリスト2人を含む9人以上が死亡した。
ウィキリークスによると、チュニジアなどの国家の腐敗を暴露したことで、2011年に北アフリカや中東で一連の革命「アラブの春」を促したという。
ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジは、漏洩はあらゆる人にとって無害だと主張する。しかしアメリカ政府は、漏洩によって、抑圧的な政権下でアメリカに協力している人々の信用が損なわれたと批判している。
フィリップ・クローリー元広報担当国務次官補によると、アメリカの国家安全保障への最終的な被害は「限定的」だが、漏洩の結果として死者が出る可能性は「非常に高い」という。クローリーは「確かなことは言えません。ジュリアン・アサンジは誰にも被害は及ばない、と何度も発言していますが、彼にも断言はできないはずです」と語った。
なぜマニングは漏洩したのか?
判決を受けるために出廷するブラッドリー・マニング。KEVIN LAMARQUE / REUTERS
2014年のニューヨーク・タイムズによると、マニングは動機について「自国への愛と他人への義務感から」文書を漏洩したと供述した。マニングによると、アメリカ軍は戦争の遂行について報道を規制していたという。「現在、報道の自由に対する制限と政府の過剰な秘密主義のせいで、アメリカ国民は自分たちが出資している戦争で何が起きているのか十分把握できていないと思います」と、マニングは上申書で述べた。
マニングは2013年に判決を言い渡される前、自分はアメリカを「傷つけた」と話した。判決のとき、マニングは裁判官に「人々を傷つけて申し訳ありません。アメリカを傷つけて申し訳ありません」と述べた。
マニングを支援したのは誰か?
PACIFIC PRESS VIA GETTY IMAGES
マニングが投獄されると、内部告発者の権利を擁護する人々の間で議論が巻き起こった。ジュリアン・アサンジだけでなく、マニングは1970年代に機密報告書「ペンタゴン・ペーパーズ」を漏洩した内部告発者ダニエル・エルズバーグから支援されていた。バンド「R.E.M」のマイケル・スタイプやデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドなどの有名人もマニングを支持していた。マニングの減刑をオバマ前大統領に求める署名は請願時点で10万人に達していた。
オバマ前大統領の任期終了間際に減刑への期待が高まる中、同じく内部告発者のエドワード・スノーデンはTwitterで次のように書いた。「大統領、もしあなたがホワイトハウスを去るときに1つだけ恩赦を与えるなら、どうかチェルシー・マニングを釈放してください。彼女の人生を救えるのはあなただけです」
マニングはいつ釈放されるのか?
バラク・オバマ前大統領は1月、大統領としての最後の執務の1つとして、マニングに減刑の恩赦を与えた。ドナルド・トランプ大統領はマニングを「恩知らずの裏切者」と呼んだ。マニングは5月17日にカンザス州のレブンワース陸軍施設から釈放される予定で、当初の刑期より30年早い。早朝に釈放される見通しだ。マニングは7年間服役していた。
マニングは独房からガーディアンに「春の暖かい空気を再び吸えるのを楽しみにしています」と語った。
「レーザーワイヤや面会ブースなしに人々や自然と再びつながるという、言葉で表せない感情を求めています。家族や友人と再び抱擁できることを望んでいます。そして水泳です。泳ぎに行きたいです!」
(敬称略)
【社説】オバマ大統領恩赦の茶番劇
機密情報漏えいで禁錮35年のトランスジェンダー元米兵を減刑
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RR069_2ROjr_M_20170117172724.jpg?width=1260&height=838
トランスジェンダーとして収監されているチェルシー・マニング受刑者(写真)に対しオバマ大統領は減刑措置を発表
2017 年 1 月 18 日 14:34 JST
バラク・オバマ米大統領は17日、告発サイト「ウィキリークス」に大量の米軍機密情報を漏えいした罪で禁錮35年の判決を受けたトランスジェンダー(性転換者)の元米兵、チェルシー(旧名ブラッドリー)・マニング受刑者の減刑を発表した。カンザス州の米軍刑務所に女性として収監されている、この善意の内部告発者の裁判が茶番劇だったことを示す証しとして、左派はこの決定を祝うだろう。だが本当の茶番劇は、何百もの人命を危険にさらし世間の注目を浴びた、この進歩的な行為に対して寛大さが示されたことだ。
おさらいしておくと、マニング受刑者は下級情報分析官としてイラクに派遣され、そこで大量の機密情報へのアクセス権を手に入れた。2010年以降、ジュリアン・アサンジ容疑者が創設したウィキリークスに75万件近くに及ぶ書類を漏えいした。その中には、国務省の機密の公電や、イラクやアフガニスタンでの戦争に関する大量の軍事情報が含まれていた。アサンジ容疑者は複数の報道機関の記者と協力して文書を公開した。透明性の美徳に対する自己満足のためにだ。
米外交・軍当局者は厳しい見方をしたが、それには理由があった。国務省の公電は外交上のゴシップ程度のものが多かったが、中には米国の外交官と圧政を行っている国の野党リーダーとの間のデリケートなやりとりも含まれていた。機密情報の漏えい後、ジンバブエの最大野党、民主変革運動の党首を務めるモーガン・ツァンギライ氏(2009年~13年に首相)は、ロバート・ムガベ大統領が率いる独裁政権から捜査を受けることになった。同国の司法当局は「ジンバブエの地元住民と攻撃的な国際社会の間に背信的な癒着」があったと説明した。
もっと危険だったのは、軍事作戦に関する機密情報が公開されたことだ。そこにはアフガンの反政府武装勢力タリバンと戦う多国籍軍のためにひそかに情報提供者として動いていたアフガン人の名前が含まれていた。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害するため2011年にパキスタンの潜伏先を急襲した米海軍特殊部隊「SEALs」の隊員の1人は、マニング受刑者が漏えいした情報が同容疑者のコンピューターの中に見つかったと証言した。
LGBT団体が恩赦を嘆願
当時、オバマ大統領が「ウィキリークスによる嘆かわしい行為」と非難したのは不思議ではない。ヒラリー・クリントン国務長官(当時)は漏えいされた文書は「人々の命を危険にさらし」ており、「米国の外交政策に対する攻撃」でもあると批判した。検察当局は当初、マニング受刑者に終身刑を求刑した。22の罪に問われていた同受刑者は2013年、最終的にスパイ行為や窃盗を含む17の罪で有罪判決を受けた。
判決が下ってから24時間もたたないうちに、マニング受刑者はホルモン治療の開始と、チェルシーへの改名を求めた。陸軍は昨年、同受刑者の性同一性障害の治療にかかる費用負担で合意した。昨年12月、米自由人権協会(ACLU)や数多くのLGBT(性的少数者)団体がマニング受刑者への恩赦を求める書簡をオバマ大統領に送った。同受刑者が自殺を試みた後、独房に収監されていることも理由の一つだった。
今回の減刑措置は、不満や他の問題を抱えているかもしれないが、国の機密情報は盗んでいない兵士たちに恐ろしいメッセージを送ることになった。性同一性障害やその他のポリティカルコレクトネス(人種・性別などの違いによる差別をなくすこと)を根拠に主張できるものを何か持っていれば、国を裏切ったとしても軽い刑で済むということだ。
オバマ大統領は17日、米政府に対して「扇動的な陰謀」を企てた罪で有罪判決を受けたプエルトリコ人のテロリスト、オスカー・ロペス・リベラ受刑者の減刑も発表した。同受刑者は1974~83年に米国内で70回を超える爆発事件を起こしたFALN(プエルトリコ民族解放軍)のメンバーだった。これらの爆発事件では5人が死亡、数十人が負傷した。ミュージカル「ハミルトン」の脚本・音楽を手がけたリン・マヌエル・ミランダ氏は1981年から収監されているリベラ受刑者の解放を、友人であるオバマ大統領に訴えていた。爆発事件の犠牲者の遺族に対してオバマ氏が事前に通知していたかどうかに関して、ホワイトハウスは言及していない。