日本と韓国は核抑止力を確保するため、独自に核武装を検討すべきだと主張
在韓米軍が削減されるような事態となった場合を予測し、備えるよう伝えた
【北朝鮮情勢】
【ワシントン=黒瀬悦成】米国のニクソン、レーガン両共和党政権で要職を務め、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の政策方針に大きな影響を与えた保守派の重鎮、パット・ブキャナン氏(79)が産経新聞のインタビューに応じた。
発足から1年を迎えるトランプ政権の北朝鮮政策に関し、日本と韓国は北朝鮮に対する核抑止力を確保するため、独自に核武装することを検討すべきだと主張した。
ブキャナン氏は、「核兵器を体制の安全と生存を保障する手段とみなしている北朝鮮は核と弾道ミサイルを放棄しない」との認識を示しつつ、米国としては北朝鮮が米本土を大陸間弾道ミサイル(ICBM)で核攻撃する能力を確保するのは「許容できない」と強調した。
その上で、トランプ政権の主要な高官と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は双方とも軍事衝突を望んでおらず、対話による事態打開が模索されるとの見通しを表明。米本土に到達可能なICBMを保有しないという条件と引き換えに、北朝鮮が要求する米朝平和条約の締結、在韓米軍の撤退や縮小、朝鮮半島での軍事演習の停止に応じることは「交渉の余地がある」と述べた。
そして交渉の結果、在韓米軍が削減されるような事態となった場合に備え、日本と韓国は北朝鮮の短・中距離ミサイルの脅威に各自で対抗するため「自前の核抑止力(の整備)を検討すべきだ」と語った。
ブキャナン氏はまた、トランプ氏が12月に発表した「国家安全保障戦略」で「ライバル強国」に名指しした中国に関し、「経済ナショナリズム」の立場から米中の貿易不均衡の是正に積極的に取り組んでいることを評価する一方、中国による南シナ海の軍事拠点化に対しては「米国の主権と無関係」として介入に否定的な考えを示した。
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【プロフィル】パット・ブキャナン氏
米ワシントン生まれ。ニクソン大統領の補佐官兼スピーチライター、レーガン大統領の広報部長を歴任した。1992年と96年の大統領選で共和党候補指名争いに出馬し、トランプ氏に先駆けて「アメリカ・ファースト(米国第一)」を唱えて善戦。2016年大統領選ではトランプ氏に頻繁に助言し、同氏の政策方針の形成に大きく貢献した。