中国を激震させる男「日本の皆さんこんにちは。私が郭文貴だ」
男の名は郭文貴。中国で政商として莫大な財をなすも、権力闘争の余波を受け、摘発対象に。2014年、粛清前に米ニューヨークに身を寄せた。 中国共産党の暗部を知ることから、習近平が今も動向に気をもむ男である。 国際情報誌SAPIOが郭氏に連載を申し込むと 快諾。そしてひと言──。「中国政府に巣食う盗国賊をぶっ潰すためなら」。中国共産党激震必至のリポートである。
* * *
日本のみなさんこんにちは。私が郭文貴だ。
今年3月に発表された中国憲法の改正(注1)、王岐山(注2)の国家副主席への就任、そして今後の日本が置かれる立場について私見を述べさせていただきたい。
【注1/中国憲法は今年3月に改正された。国家主席と国家副主席の任期規定を削除して習近平の事実上の終身独裁を可能にした点、全公職者の汚職を取り締まる「国家監察委員会」を憲法上の機関として設立することなどが定められた。】
【注2/王岐山は習政権第1期に党紀律検査委のトップとして辣腕を振るった。郭文貴の「宿敵」。政権第2期でも国家副主席に就任して権力を維持。】
まずは今回の改憲だが、実に不当と言うよりほかなかった。習近平と王岐山は、政権のスローガン「中国の夢」が、自分たちが一生引退しないことでこそ実現できると思い込ませようとしている。彼らが目指すのは、全共産党員のみならず、中国の全国家・全国民を政治・経済などのあらゆる面で党の指導に従わせること。すなわち習近平と王岐山の指導に従わせることである。
この2人が目指すものは、事実上の皇帝政治の復活だ。今回の改憲の目的は、中国の権力の私有化と、国民の財産の公有化を目指すものと言っていい。腐敗の摘発を名目に収公された財産は、結果的に権力者たちが私物化することも申し添えておこう。
これはワイマール体制の末期のヒトラーや、戦前の日本にも似ている。極端な軍国主義とナショナリズムと権力欲にもとづく、完全に、世界の他の文明国家の常識とは異なる政治の革命がおこなわれているのだ。
習近平は生涯に亘り引退せず、2035年までに党と国家のすべてを支配下に置くことを目指している。そして2050年までに世界各国に中国型の社会主義を輸出し、全世界を「中共化」。すなわち中国共産党の影響下に置くことを考えている。
手近なところでは、まずは香港・マカオ・台湾である。中国共産党はいま現在も、これらの地域の政治・経済・資源に厳格なコントロールを加えて、「中共化」をどんどん進行させている。この3地域は中国の対外拡張のプラットフォームなのだ。
そして、先進国のターゲットとして欧州・北米・日本が設定されている。中国共産党は各国に対して、私の言うところの「BGY」(青金黄色)とも呼ぶべき工作を仕掛けて「中共化」を進めていく。
昨年まで、私が西側各国の人間に対してこうした話をしても誰も耳を傾けなかったが、今年に入りアメリカを含めた数か国の政府関係者から尋ねられるようになった。では、このBGYとは何を指すか?
Bは青色。すなわちサイバートラップであり、中国による軍事面も含めたハッキングだ。
Gは金色。中国による経済や市場を通じた支配だ。特にアメリカと欧州ではマーケットの利益をエサに大企業家たちに言うことを聞かせており、欧州はこの点で陥落寸前だ。さらに各国の政治家や官僚への買収もある。中国人観光客を引き揚げるといった脅しも可能だろう。
Yは黄色。中国本土や香港・マカオに来た各国の議員や大企業家に対しておこなわれるハニートラップだ。隠し撮りしたベッドの映像を用いて脅すのである。
次の5年、こうした中国の対外拡張に最もおびやかされるのは東アジアの諸国・諸地域である。香港や台湾は言わずもがな、日本も大きな圧力を受けていく。大きな混乱が広がるかもしれない。
なにより、日本はかわいそうな立場だ。中国は対外拡張の過程において、まずは国内の矛盾の解消が必要だが、そこでナショナリズムが持ち出される。中国人の8~9割は、釣魚島問題(=尖閣問題)や歴史問題を持ち出されると激しく憤る。日本の過去の侵略行為が大きな過ちであるのは事実なので、中国人の心情を利用するにはもってこいである。
日本は中国にとって最も挑発しやすく、スケープゴートにされやすい。だが中国が対外拡張の手段としてナショナリスティックな情緒を利用している問題について、日本の官僚や政治家が十分に意識しているとは思えない。日本はまだ心の準備ができていないのだろう。だが、戦後の日本を覆っていた「よき日々」はすでに終わっている。
現在の日本の経済的な実力は、すでに中国との間に大きな懸隔がある。日本は文明的な国家として国際社会からリスペクトされる国だが、かえってそれゆえに、中国のようなヤクザじみた体制、ヤクザじみた独裁者の政治への免疫がない。私は今後、日本が従来想像もできなかったような巨大な試練と脅威に直面すると見ている。この点は疑いがない。
もっとも、日本のみなさんにご理解いただきたいのは、ああしたヤクザじみた連中や、私の敵である王岐山をはじめとした盗国賊どもは、中国人のごく一部を代表するに過ぎないという点だ。多くの中国人は日本に対して友好的だ。
日本のみなさんがハッピーで健康な毎日を過ごし、もっとクレバーになり思考を国際化して、今後も中国と友好的に付き合ってくださることを望んでいる。もっとも、かの盗国賊どもに対しては容赦なく叩いていただいて構わないのだが(笑)。
謝謝(シェシェ)。
【プロフィール】かく・ぶんき/山東省出身。国有企業職員を経て、不動産会社オーナーに。政府とのコネを利用して大成功。個人資産は最大時で約180億元(約3000億円)とも。2014年から米国に滞在。2015年1月、親交の深い馬建・国家安全部副部長(当時)の失脚後、中国には戻れなくなった。以後、中国高官のスキャンダルを告発。中国外務省は2017年4月、国際刑事警察機構(ICPO)に国際指名手配を要請。同時期、郭氏が出演した米政府系メディアのネット放送が突然打ち切られ、中国政府の圧力も疑われた。
◆構成/山久辺参一(ジャーナリスト)
※SAPIO 2018年5・6月号
中国共産党が恐れる郭文貴を直撃 「宿敵・王岐山を絶対潰す」
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