震災から確実に復興する方法(2)
http://kasamaki.com/?p=1014 転載
2011年4月14日 作成者: 笠巻 健也 氏
昨日は、日銀による20兆円の復興国債の引受けが
震災復興の最善策であることを述べましたが、日銀に
よる国債引受け(もしくは紙幣発行)という錬金術は、
学校で習ったことがないので、どうも納得がいかない
という方もいらっしゃると思いますので、海外の事例や
歴史をご紹介します。
国家には、貨幣発行権と徴税権がありますが、日本は
戦後、インフレを恐れて、貨幣発行権を行使していま
せんが、戦前の経済史を見ると、折々にこの
伝家の宝刀が抜かれています。
・ 一番直近では、昭和恐慌に対して、高橋是清蔵相時に、
日銀による国債引受けがありました。当時は、世界恐慌
の発生で、世界的にも大変な状況のなかで、日本が
いち早く不況から脱したことで、高橋是清の積極政策
と国債引受けという政策は世界でも高い評価を得ています。
・ アメリカでも、リーマンショック後の危機に対応すべく、
14ヶ月で1.1兆ドル(約100兆円)つまり日本の国家予算
90兆円以上のお金を発行して、乗り切っています!
もちろんお金の発行ですので、国債や増税ではではありません。
・ 日本でも明治政府は、維新直後は、脆弱な基盤で
税収が十分に上げられなかったために、「太政官礼」
(政府紙幣)を発行し、王政復古から明治2年までの期間の、
財政支出の94%を賄っていました。その後、徐々に税収
が増えていきましたが、明治5年段階で貨幣発行益が
政府収入の約30%ありました
(日銀が設立されたのは明治15年)。
・ もう一つ興味深い事例として、「暴れん坊将軍」と
して有名な将軍吉宗の時代の「元文の鋳造」があげられます。
当時は今と同じく、幕府の財政危機と災害の発生が重なり、
危機的状況にありました。最初は質素倹約のいわゆる
「享保の改革」を行いましたが、更に不況が深刻化して
逆効果でした。
そうした中、逆転の一手「元文の改鋳」が
断行されました。それは、小判を集めて溶かして、金の
量が半分の小判を2倍つくり、その金の量が半分になった
小判も同じ1両としたのです。つまりお金を2倍に増やした
のです!旧小判100両を幕府に持っていくと、新小判
165両を交換してもらえます。つまり、市民は65両もうかり、
政府は35両の貨幣発行益を得ました。それによって、
貨幣供給量が増え、深刻なデフレ不況から脱却
することができました。
公共投資を減らして、財政均衡を図る財務省の政策は、
まさに質素倹約の「享保の改革」と同じく間違った
政策です。今必要なのは、貨幣の流通量を増やす
金融政策と、公共投資を活発にする財政政策の両方が
必要です。
つまり震災から確実に復興するために、日銀に
よる20兆円の復興国債の引受けを実行すべきです。
混沌とした時代には、学校で習った「常識」だけ
では、通用しません。
白紙の目で、「何が正しいのか」を問い続ける
姿勢が必要です。
震災から確実に復興する方法(1)
http://kasamaki.com/?p=1011
震災から確実に復興する方法(3)
http://kasamaki.com/?p=1019