北ミサイルの日本着弾を想定せよ
【ついき秀学のMirai Vision】(1/3ページ~)
□幸福実現党党首
北朝鮮が「人工衛星」と称して、今月12~16日の間に発射する
長距離弾道ミサイルに備え、わが国でも迎撃態勢が整えられつつ
あります。北朝鮮の事前通報によるとミサイルは沖縄県・先島諸島上空
を通過し、フィリピン・ルソン島の東方沖に落下する予定です。
政府は先月30日、安全保障会議を開き、ミサイルの本体・部品が
領土・領海に落下する場合、ミサイル防衛(MD)システムで迎撃する
という対処方針を確認しました。同日、田中直紀防衛相が自衛隊法に
基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を発令し、これを受けて自衛隊は、
東シナ海や日本海に迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦を展開し、
沖縄県と首都圏に地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の
運用部隊を配備しようとしています。
◆ミサイル発射後には核実験か
そもそも北朝鮮に対しては、国連安保理の決議(1718号、1874号)
で弾道ミサイルの発射はすべて禁じられています。加えて今年2月下旬に
北京で行われた米朝協議では、米国が栄養補助食品24万トンを提供する
見返りに、北朝鮮はウラン濃縮活動を停止し、核実験や長距離ミサイル
発射を当面控えることで合意しました。
にもかかわらず、北朝鮮は今回のミサイル発射実験について、宇宙空間
の平和的開発と利用は「国際的に公認された主権国家の合法的権利」
などと詭弁(きべん)を弄して、これを正当化しています。
その狙いは、核弾頭を搭載し、米国本土まで到達する長距離弾道ミサイル
技術の獲得にあると見てよいでしょう。
過去の事例に鑑みれば、06年7月と09年4月のミサイル発射では
いずれもその後、数カ月以内に核実験を行っています。
かねて2012年を「強盛大国の大門を開く年」と喧伝してきた北朝鮮が、
今回のミサイル発射後に3度目の核実験に踏み切る可能性は高く、ミサイル
発射と核の両実験に成功すれば、それらの軍事的能力を振りかざす恫喝
(どうかつ)外交が一段とエスカレートすることになるでしょう。
◆北朝鮮への報復をどうするか
過去の事例に基づき、今回のミサイル発射実験もわが国に危険はほとんど
ないと楽観視する向きもあります。しかし、ミサイルが予定ルートから大きく
逸れて領土内に落下する恐れが全くないとはいえません。
また、想定しなければならないのは、北朝鮮が意図的にわが国領土への着弾を
狙ってくる可能性です。
先方にしてみれば、衛星ロケットの不具合による事故など、いくらでも
言い訳ができます。これまで韓国に対して哨戒艦を撃沈し、延坪島を
砲撃するなどの挑発を行ってきた北朝鮮が、日本に対しては挑発しないという
保証はどこにもありません。むしろ日米安保がどこまで機能するのか
試してみたいという誘惑に、若い金正恩氏が駆られることも考えられます。
その場合、もちろんイージス艦SM3やPAC3で迎撃を試みますが、
必ずしも命中するとは限りません。不幸にして迎撃に失敗すれば、
着弾地点によっては人的・物的被害が出ます。あるいは迎撃に成功したと
しても、今度は“衛星打ち上げ実験の妨害への報復”と称して、北朝鮮が
さらなるミサイルでわが国を攻撃するという展開すらあり得ます。
しかし、平和憲法に基づく「専守防衛」方針によって自衛隊は外国を攻撃
する能力を備えておらず、わが国に被害が出ても、その報復は専ら
米軍にお願いするしかない状態です。
本来であれば、こうした最悪のシナリオに備えて野田首相は、先般の
韓国での核安全保障サミットの機会にオバマ米大統領と正式会談し、
北朝鮮への報復について米国側の言質を取っておく必要がありました。
さらには、この問題の根本的な解決策として、北朝鮮への報復の形を
取りながら体制を崩壊に導く武力行使についてまで検討すべきだった
とも言えます。
ところが実際には、オバマ大統領とはサミット会場でのわずか3分間
の立ち話で済ませたというのですから、野田首相がミサイル着弾の可能性
とその対応について何も考えていないのは明らかです。
野田首相に国民の生命・安全・財産を守る気が本当にあるなら、
消費増税法案はさておき、今からでも至急訪米してオバマ大統領と
この問題について話し合うべきでしょう。
詳細
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120406/mca1204060501002-n3.htm
転載、させていただいた記事です
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