財務省の絶対権力化を許してはならない
[HRPニュースファイル380]転載
◇増税の悪影響を直視しよう
8月10日に消費税増税関連法案が成立し、税と社会保障の一体改革の
流れは加速していくことになります。
消費税だけではなく、所得税の最高税率の引き上げや相続税の強化も
検討されています。加えて、毎年1.3兆円のペースで増加する
社会保障問題があります。
本来ならば、「社会保障の選択と集中」と呼ばれるリストラが
されてこそ、一体改革としての意味をなすわけですが、政府は
社会保障関連の見直しを先送りし、増税だけが先行しました。
仮に今後も増税だけが先行したらどのようになるのでしょうか。
社会保障が専門の学習院大学の鈴木亘教授の見解によると、2025年
には消費税率は25%程度、50年には40%近くになると主張。
加えて、年金保険料の上昇が加わり、国民生活に多大な負担がかかる
点を指摘しています。(4/13 産経「金曜討論」)
※ただし、鈴木教授は、消費税増税と社会保障への目的税化に反対は
しているが、相続税や固定資産税と金融資産への課税強化を主張して
いることには注意。
大和総研の試算によれば、年収500万円の世帯では4年後には年間
34万超の負担となることも明記されています。
過去の消費税増税の際には所得税減税などの軽減措置がありましたが、
今年から始まった復興増税や社会保険料の上昇、そして子育て世代に
重くのしかかる住民税の年少扶養控除も廃止されました。
(8/11 夕刊フジ「消費税増税で年34万円の負担増!年収500万円の4人家族」)
要するに、今回は軽減措置もない純粋な増税だということであり、増税
の悪影響が出るということです(これまでの動きを見る限り、日銀の
金融政策が増税の緩和措置になることはあまり期待できない)。
もちろん、税金は公共サービスを運営するための必要経費です。
税率が低く、経済活動に目立った悪影響を及ぼさなければ租税は適切
だと言えますが、必要以上に税率が高くなると生産と消費は縮小します。
極端なケースは100%の課税です。
いずれにしても、限度を超えた租税は市場経済の破壊手段になり
かねません(ミーゼス『ヒューマン・アクション』748p参照)。
新聞紙上では、ようやく増税の悪影響が報道され始めましたが、
まだまだ「増税やむなし」だと考えている国民はたくさんいます。
法案が可決されたとはいえ、事実を伝える努力はやめるべきではありません。
◇財務省の絶対権力化に警戒せよ
現在、野田首相の問責決議に血道をあげている野党の自民党と公明党は
増税政党です。次の選挙で政権交代が起きても、増税に反対する勢力が
多数を占めない限り増税路線は踏襲、財務省の思うつぼとなります。
換言すれば、財務省は霞が関と永田町で絶大な力を権力を持ち始めた
ということです。
財務省が絶対権力を持つと、更なる重税国家となることは自明です。
そして、政治家は彼らの傀儡にしか過ぎません。既に、このような
傾向は出ています。
野田政権は「直勝内閣」とも呼ばれ、勝栄次郎顧問の操り人形だと
揶揄されるほどです。今後も、財務省寄りの人材=増税論者が総理と
なり続ければ、財務省の絶対権力化は一層強化されることになります。
政府には課税権がありますが、実質上の実務を握っているのは財務省です。
財務省は選挙によって選ばれた代表者ではないため、権力が集中
することは危険です。
リバタリアンの最高に位置するノーベル経済学者のハイエクは、
「単一計画に役立てるように権力を集中すると、権力は単に移転
するのではなく、限りなく強大になる」とも指摘します
(『隷従への道』184p 東京創元社)。
また、イギリスの歴史家でもあり政治家でもあったアクトン卿は
「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という
格言を残しています。
これを現代に当てはめると、財務省と政治家の癒着構造という
ことになるでしょう。
さらに言えば、増税で調達された資金を補助金として拠出される
業界との既得権益が強化されます。永田町と霞が関、そして
関連業界の「鉄のトライアングル」が形成されるわけです。
その結果、ますます政府は肥大化し、日本経済には競争力のない
産業が温存されることになります。
◇減税路線=小さな政府への転換を
逆説的ではありますが、現在の日本の肥大化する政府を転換するには
減税路線しかありません。
幸福実現党が主張する本格的な減税路線には、不要な税金を
排除する「廃税」を含みます。
(参照:[HRPニュースファイル205]日本で減税路線は可能か
⇒ http://www.hr-party.jp/new/2012/21417.html)
複雑で重い税金から、簡素で安い税金へと変えていかない限り、
「財務省栄えて国滅ぶ」というシナリオが現実化してしまいます。
その意味で、「財務省からの自由」「重税からの自由」を実現する
ためにも、増税に反対する議員や経済に強く経営感覚のある議員
ならびに候補者が国会に行かなければなりません。
幸福実現党は、その一翼を担うべく、今後も努力精進していく次第です。
(文責・中野雄太)
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