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この時代に焚書の異常、文化を後退させる中国の愚策
有名な作家の章詒和は次のように焚書を厳しく非難した。「整理の名の下、学校でスタートさせた中国文化の生命線を毀損する全国的な焚書は、全国自民代表大会において挙手で通過しなければならない。今度の焚書は、一体、誰が承認したのか? 誰がサインしたのか?」。
そして、章は、雒樹剛・文化観光部部長と直接話をしたという。「図書館も本を燃やしていますが、図書館は文化部に属しています。文化部からそのような通達を出しましたか? 雒部長」と。
中国共産党が焚書を行う理由は?
ところで、焚書は歴史や文化を抹殺する行為である。焚書によって、書物が焼失したら最後、後世に残すべき貴重な情報が失われる事になる。明らかに、焚書は文化を後退させる“愚策”と言えよう。
歴史上、有名な焚書事件は、秦の始皇帝による「焚書坑儒」(宰相の李斯の提言だとされる)とナチス・ドイツによる「非ドイツ的な魂」に対する抗議運動である焚書が挙げられるだろう。
また、中国では「反右派闘争」時や「文化大革命」時、一部焚書が行われたという。
現在、中国共産党は、何のために焚書を行っているのか。国内に「習近平思想」を流布させるためか。それとも、他に書物があると同党の存続に都合が悪いのだろうか。
仮に、今後、中国全土で焚書の嵐が吹き荒れれば、貴重な書物が大量に焼失するだろう。中国共産党は、このようなイデオロギー優先政策で、本当に米国に追い付き、追い越せると考えているのだろうか。大きな疑問符が付く。
[筆者プロフィール] 澁谷 司(しぶや・つかさ)
1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。2004~05年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011~2014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、同大学海外事情研究所教授。
専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)等多数。
◎本稿は、「日本戦略研究フォーラム(JFSS)」ウェブサイトに掲載された『澁谷 司の「チャイナ・ウォッチ」 -415-』を転載したものです。
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