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【TVチェック】NHK職員は江戸川コナンくんなのか?
事件・事故現場に偶然居合わせスクープ映像をものにする「謎」に迫った…
産経新聞 5月28日(土)18時40分配信
テレビから流れてくる衝撃的な事件・事故、災害の映像。これらの映像を、偶然その場に居合わせたNHK職員が撮影し、ニュースで放送する-というケースをたまに見かける。他のテレビ局と比べると、この「独自映像」率は高く、インターネット上では、殺人事件にいつも居合わせてしまう人気漫画の少年探偵になぞらえ、「NHK職員=江戸川コナン説」というネタも飛び交っている。(本間英士)
■ネット発で話題に
5月18日、東京都板橋区で起きた東武東上線の脱線事故。他のテレビ局がツイッターなどを使って映像提供を呼びかける中、電車に偶然乗り合わせたNHK職員が、車内の乗客が避難する様子や、車輪が線路から外れている様子などの映像を撮影。ニュースでこれらの「独自映像」を放送した。
このように、NHK職員が事故などに遭遇したケースは、これまでにも多く見られた。平成5年の北海道南西沖地震では、教育番組の制作スタッフが被害の大きかった奥尻島にいたため、そのまま中継などを担当した。24年の中央自動車道笹子トンネル(山梨県)天井板崩落事故では、乗用車で移動中の記者が間一髪で生還。このほか、26年の御嶽山(長野、岐阜県)噴火でも、山の魅力を紹介する番組の制作スタッフが8合目付近で取材をしていた。
以前からNHK職員の事件・事故遭遇率の高さは一部ネットユーザーの間で話題となっていた。中には、人気漫画「名探偵コナン」の主人公にちなみ、「NHK職員=江戸川コナン説」を唱えるユーザーも。今回の東武東上線事故の報道を受け、「NHK職員、もしやあの名探偵コナンなのでは」「NHKの職員とコナンと金田一とだけは旅をしたくない」などと反応する“ネタ投稿”がツイッターなどで見られた。
■職員の数がダントツ
こうもNHK職員が事故現場に居合わせてしまう最大の理由は、「職員数の多さ」にあるとみられる。NHKによると、同局の平成27年度の職員数は1万242人。関連団体も含めると、約1万6千人の“大所帯”となる。
他の主な民放キー局・新聞社とも比較すると、その母数の違いは一目瞭然だ。各社の公式サイトなどによると、民放で社員が最も多いのがフジテレビの約1400人、最少がテレビ東京の約700人。新聞(全国紙)の場合は、最多の読売新聞が約4700人(3本社の合計)で、最少の産経新聞は約1900人。民放キー局よりは多いが、NHKと比べると半数以下だ。一口に「マスコミ」といえど、その母数には大きな違いがある。
さらに、NHKは国内で唯一の「全国47都道府県に放送拠点を持つ」テレビ局でもある。情報番組や自然番組などの撮影で、国内外の各所でロケを行っている。近年はスマートフォンの普及により、カメラマンや記者以外の職員も動画を撮影し、アップロードしやすくなったことも大きな要因とみられる。
■「ちょっと複雑」「不安です」
NHKによると、記者職以外の職員が事件や事故、災害に遭遇した場合、動画の撮影は義務づけられてはいない。ただ、NHKが運営する動画・写真投稿サービス「スクープBOX」などへのアップロードは呼びかけているという。また、職員以外の業務提携するスタッフが現場に居合わせた場合、動画の提供を求めることがあるという。
「NHK職員=江戸川コナン説」について、男性職員の一人は、「当たり前の話だが、NHK職員もほとんどの事件・事故現場には居合わせていない。視聴者の方々に映像提供を呼びかけているのが実情なので、(江戸川コナン説は)ちょっと複雑」と回答。一方、別の女性職員は「『いざとなったらスマホで撮れ』とは上司からいわれているけれど、実際の現場で撮れるかどうかはちょっと不安です」と語った。
最終更新:5月28日(土)19時55分