自ら国を守る決意なくして国防なし
ま、毎日新聞もどうした。
風知草:決意と連携=山田孝男氏 転載
毎日新聞 2013年03月18日 東京朝刊
自ら国を守る決意なくして国防なし。
領土に対する不当な侵害は、それを認めぬ決意と国際連携を尽くして
はねのけるしかない。国を守る決意は右翼の専売特許ではない。
問われるべきは何が不当かであり、決意を示すことの是非ではない。
安倍晋三首相は2月28日の施政方針演説で「国際法が力の行使に勝たなくては
ならない」という、イギリスのサッチャー元首相の決意を引いた。
「サッチャー回顧録」(日本経済新聞社)に登場するフォークランド紛争
回顧談の一節である。そこを引用して尖閣諸島に押し寄せる中国船をけん制している。
それが、日本の新首相の好戦的な性格を表しているかどうかということが内外
マスコミの関心を引いている。
フォークランド諸島はアルゼンチン沖にある。イギリス系移民3000人が住み、
イギリスが実効支配している。1982年、かねて領有権を主張してきた
アルゼンチンの軍事政権が上陸侵攻、サッチャー政権は艦隊を派遣して排撃した。
この紛争を扱った回顧録の第7章と第8章のうち、経済停滞と国境紛争に
悩まされる今日の日本人の心に強く響くのは、開戦前のイギリス現代史を
振り返る以下の慨嘆だろう。
「56年のスエズ(動乱)の大失敗以来、イギリスの外交政策は長期に
わたって後退を続けていた。(当時の国際社会の)暗黙の想定は、世界における
イギリスの役割は縮小する一方の運命にあるというものだった。イギリスは友からも
敵からも、戦時はおろか平時でも、自国の利益を守る意思と能力のない国
だと見なされていた」
サッチャーは国連や先進7カ国首脳会議の場で各国に働きかけ、支持を
広げつつ、軍事行動に踏み切った。戦勝は、以後9年続く長期政権の基盤に
なったのみならず、冷戦末期の国際関係に大きな影響を与えた。イギリスは
競争重視型の政策で経済成長を追求、福祉切り捨てと格差拡大を招いた半面、
国の内外で威信を取り戻した。
紛争による死者はアルゼンチン649人、イギリス255人に上った。
フォークランド領有に至る植民地主義の歴史認識も絡んで評価は複雑だが、
「戦争は好ましくない」という理由でサッチャーを一方的に断罪することは
できない。国際法にそむいて空母部隊による上陸侵攻を最初に仕掛けたのは
アルゼンチンだったからである。
フォークランド諸島と尖閣諸島は違う。尖閣は無人島だ。中国は経済、
軍事でアメリカに迫る新・超大国である。だが、当時のイギリスと今の
日本が直面する問題は似ている。
相手が強硬だから、失っても損害は少ないからと首をすくめ、国際法無視の暴走
を黙認していいかという問題だ。日米安保条約5条(米国の対日防衛義務)の上に
アグラをかき、当事者である自分はぬくぬくと引きこもっていて日米同盟が
成り立つか、国際社会の共感を得られるかという問題である。
自ら国を守る決意なくして国防なし。
それも「気に食わないから、やっつけろ」式の粗野な決意ではない。
国際法を無視して日本の実効支配を覆す挑戦は認めない決意だ。
同盟国、周辺諸国、国際社会と連携し、「尖閣は中国の核心的利益」という
一方的な宣言に基づく無法を断じて許さない決意である。
私は新政権の経済成長重視路線に疑問を抱く一人だが、
領土をめぐる首相の主張が右翼的だとは思わない。
(敬称略)(毎週月曜日掲載)
http://mainichi.jp/opinion/news/20130318ddm002070084000c.html
http://mainichi.jp/opinion/news/20130318ddm002070084000c2.html
何があった?!(●ω●)
。
失礼なんですけども、米国みたいに大きくないし把握しやすいというかわかり易いというか、そんな感じですね。
個人的にはかなり興味があります。