【日本の解き方】防衛省の資料作成、重箱の隅つつく野党の批判 暴走ではなく法の枠組み内
2015.08.22 zakzak
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150822/dms1508221000003-n1.htm
防衛省が安保関連法案の成立を前提にしたような内部資料を作成していたとして、民主党や共産党が問題視した。省庁が法案成立を前提として資料を作成するのは異例のことなのだろうか。
事の発端は、国会のお盆休み前、11日に共産党が内部資料を独自に入手し、参院特別委で取り上げたことだ。その内部資料には、案の成立や施行時期、新たな法制に基づく部隊運用の見通しなどが示されていたという。
一般的に法律は「企画」「国会提出」「成立」「運用」という4段階がある。安保関連法案については2013年2月28日、安倍晋三首相の施政方針演説で、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の場で検討することが明らかにされた。14年5月15日、同懇談会は報告書を安倍首相に提出した。その後、安保関連法案の具体的な作成作業に入り、1年後の15年5月14日に安保関連法案を閣議決定、翌15日に国会に提出された。その後、衆参の特別委で審議されている。
一般論としていえば、国会提出前の企画段階で、政府内の法案作成部署以外で、法案の成立を前提とする議論が行われることはまずない。
ただし、法案作成部署では、法案の成立後に制定する政省令のイメージをつかむために、それらの研究をせざるをえない。政省令をまったく白紙にして、何でも書き込めるようにしたら、それこそ法律の抜け穴、白紙委任法となって、国会統制が有効でなくなるからだ。つまり、白紙委任にさせないために、法案の成立後の政省令を考え、その範囲内で法案を作成するのである。
法案を閣議決定し、国会に提出した後なら、誰でも法案を見ることができるので、勉強や研究をすることはありえる。関係者であれば、法案成立後にスムーズに仕事をするために、いろいろなシミュレーションをしておく必要がある。これは法案の成立を前提とするとはいうが、国会での審議状況に影響を与えるものではない。
今回の内部資料は、自衛隊統合幕僚監部が5月に作成したようだ。そこには法案が8月成立、来年2月ごろ施行との見通しが示されているが、それは既に事実でないので、防衛省の組織全体ではなく、一部署の勉強のための資料であることを示唆している。
民主党の枝野幸男幹事長は、この件について「統幕監部の暴走ともいえる」と言ったらしいが、「暴走」の意味を取り違えている。「暴走」というのは、法の枠組みを無視することであるが、この場合、安保関連法案の具体的な適用を勉強していただけで、法の枠内にとどまっている。「暴走」というより、法の枠組みをよく勉強しているということではないだろうか。
安保関連法案については、戦争リスクを減少させるという世論の理解が増えてきている中で、野党は重箱の隅をつついているようだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
自衛隊の内部資料をどのように入手したのか、日本共産党を追求すべきだ。
食い止めるのに必死な勢力が・・・