16日未明の地震後、温泉のゆう出が止まり露天風呂の湯が張れなくなっている「宝湯」=阿蘇市内牧
内牧温泉で“枯渇”相次ぐ 黒川など風評被害も
2016年04月23日http://kumanichi.com/news/local/main/20160423033.xhtml
阿蘇市の内牧温泉の旅館やホテル、公衆浴場など複数の施設で熊本震災後、温泉湧出[ゆうしゅつ]が止まる事態が起きている。変わらず出ている所もあるが、建物や設備の被害も深刻で、多くが利用客を受け入れられない状況だ。一方、黒川温泉(南小国町)など被害が少なく、営業可能な施設でも風評被害によるキャンセルが増加。大型連休を前に、経営者らは対応に苦慮している。
阿蘇温泉観光旅館協同組合によると、加盟21軒のうち内牧地区に泉源を持つ施設は14。そのうち、5軒で温泉が出なくなり、湯量の減少も5軒確認されている。建物も含めて被害がなかったのは1軒だけという。
このうち「蘇山郷」は、停電が解消した19日以降、地下約150メートルの泉源からくみ上げを試みたが、出なかったという。永田祐介社長(43)は「泉源が使えなくなった可能性が高い」と肩を落とす。建物にも一部被害があり、5月末までの休業を決定。月末からの大型連休の予約客約500人に断りの連絡をし、ホームページでも現状を伝えた。給料が支払えないため、従業員25人はいったん離職手続きをし、再開時に再雇用するという。
立ち寄り温泉の「宝湯」も湧出が止まった。「地震前は地下8メートルで行っていたくみ上げの配管を、50メートルまで下ろしたが出なかった」とオーナーの坂本信幸さん(74)。「温泉が止まるなど予想もしていなかった。掘り直すとなると、費用や手続きで頭が痛い」
泉源の湯量や温度に変化がない所もあり、今のところ原因は不明だという。
建物が傾くなど、大きな被害が出ている施設もあるが、利用可能な加盟施設は、復旧支援で訪れている電力会社や医療スタッフらの宿泊場所として提供。現在、同組合加盟の6施設で計400人を受け入れている。
一方、南小国町の黒川温泉(29軒)では露天風呂の損壊などの被害はあったが、18日から順次営業を開始。ただ、黒川温泉観光旅館協同組合によると、宿泊客のキャンセルが相次いでいる。小国町の杖立温泉(18軒)は、半数の旅館が素泊まりのみで営業中だ。
産山村の阿蘇やまなみリゾートホテル&ゴルフ倶楽部(鄭永眞[チョンヨンジン]社長)は、ホテル内の大理石の柱が割れたり、ゴルフコースに岩が散乱したりした。キャンセルも出ているが、29日の再開を目指し、従業員総出で片付けに当たっている。
阿蘇地域は、2012年7月の豪雨災害で多くの施設が長期休業し、14、15年には中岳噴火の風評被害に苦しんだ。今回、国道57号が寸断され、JR豊肥線も復旧に時間がかかる見込みで、観光への影響が懸念される。
阿蘇プラザホテルの野口敏浩副支配人は「ようやく回復しつつあったのに…。今後がまったく見通せない」と不安げだ。
蘇山郷の永田社長は「交通アクセスが完全復旧するまでに阿蘇地域全体で観光客を受け入れられる体制を構築できるかが大切」と前向きに話した。(上杉勇太、後藤仁孝、岡本幸浩、山本遼)
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http://www.scienceplus2ch.com/archives/5214100.html