http://hrp-newsfile.jp/2020/3914/
トランプ10分スピーチは、対中国宣戦布告
幸福実現党外務局長 及川幸久
◆トランプ大統領10分スピーチの意味
5月29日、ホワイトハウスでトランプ大統領がスピーチを行いました。
わずか10分のスピーチですが、今回はこのスピーチの意義と重要性について共有したいと思います。
ちなみに、この「10分スピーチ」は、対中国宣戦布告というもので、トランプ大統領のTwitterから映像をみることができます。
【5月30日Twitter】Donald J. Trump
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1266455834457968640?s=20
20世紀には歴史的なスピーチがありました。
たとえば、アメリカのレーガン大統領が行った「Mr.ゴルバチョフ、この壁を壊そう」というスピーチは、米ソ冷戦を終わらせるものでした。
また、イギリスのチャーチル首相は、ドイツのヒットラーに対して「我々は絶対に屈服しない」という歴史的な名文句を残しています。
今回のトランプ大統領の10分のスピーチも同じように歴史を刻んだスピーチになったかもしれません。
米国の保守の人たちはものすごい興奮を持って、トランプ大統領のスピーチを歓迎しています。
その背景にあるのは、今のアメリカの深刻な状態です。
◆トランプ大統領スピーチの背景
先日、ニューヨーク・タイムズは日曜版第1面に、「ウイルスによって亡くなったアメリカ人が10万人になろうとしている」という見出しで、その10万人の名前を載せました。
それも名前だけではなく出身地と職業と、例えば「オーケストラの指揮者でたぐいまれな素晴らしい音を聞き分ける耳を持った人」とか、「心からお母さんと国を愛していた」とか、その人の特徴を一言ずつ載せています。
そのウイルスは自然に発生したのではなく、もしかしたら中国によって意図的に広められたものかもしれない。
だとすると、中国によって自国民が殺されたということになるわけです。
◆香港が「一国一制度」になる危機感
その中で中国は香港に対して「国家安全法」という法律も決めました。これは香港の自由を奪い、中国共産党政府に楯突く人は、すぐに逮捕できる法律です。
1997年の香港の返還式の際、イギリス国旗と植民地時代の香港の国旗を静かに下し、中国の国旗と新しい香港の国旗を揚げる儀式が行われました。
10分スピーチでトランプ大統領は、次のようにスピーチしています。
「香港は、中国の未来のはずだった。世界は、『香港を見れば中国の未来が分かる』と酔いしれていた。香港が中国の過去のような姿になるとは思っていなかった。」
そして、トランプ大統領は「香港の一国二制度が、一国一制度になってしまった」と言いました。
◆香港を守るアメリカ議会の気概
トランプ大統領のスピーチ前、5月27日にポンペイオ国務長官もアメリカの議会で重要な報告をしていました。
「香港はもはや中国からの自治権を持っていない。中国共産党が香港に約束した自治を否定する中で、苦しむ香港の人々をアメリカは支持する」と。
この意味は、アメリカの外務省にあたる国務省が「香港の優遇措置は継続困難との見解をアメリカの議会に伝達した」ということです。
国務省が議会に対して「もう香港には自治権はありませんので、香港の自治が前提にあってアメリカ政府が香港に与えていた優遇措置は継続困難」と伝えたのです。
そして議会の了承を取り、その上でトランプ大統領はこのスピーチを行ったのです。
◆香港の「優遇措置を見直し」
優遇措置は、「一国二制度」で香港の自由と自治が守られていることが前提だったのですが、それがなくなったとアメリカ政府は公式に表明しました。それは自動的に香港の貿易上の「優遇措置を剥奪」するということです。
具体的には、香港政府高官の「ビザの制限」や、香港政府高官がアメリカに持っている「金融資産の凍結」です。
さらには、香港からアメリカへの「輸入品に関税を導入」することです。
実は香港の優遇措置の見直しは、中国にとって打撃なのではなく、香港やアメリカの企業にとっても打撃です。
それまで香港にあるアメリカ企業約1300社が香港を中心に東南アジアで利益を上げてきたからです。
つまり、アメリカは自国の企業にとっても大きな打撃があることを分かった上で、香港の「優遇措置を見直し」を発表したわけです。
◆中国の銀行に対するスイフト利用停止
前半では、トランプ大統領の10分スピーチの意味や香港を守るアメリカ議会の気概について説明しました
今回の10分スピーチには入っていませんが、今後入ってくるのではないかと予想されているのは「中国の銀行のスイフトの利用停止」です。
銀行は国際的な資金決済するために、国債銀行間通信協会SWIFT(スイフト)のコードを持っています。これがないと貿易はできません。
この国際的な金融ネットワークから中国を締め出そうという手段が「中国の銀行のスイフトの利用停止」です。今後具体案として出てくる可能性があります。
◆WHO から脱退
もう一つ重要な柱は、「WHO から脱退」をトランプ大統領が明言しました。
WHOは、今回のウイルスに関して国際社会の中で最初にWHOに警告をした台湾の警告を無視し、それから中国国内で勇気を持ってこれを警告した医師も無視しました。
その結果、アメリカでも10万人が犠牲になりました。WHOは中国の完全なコントロール下にあり、WHO にアメリカは年間5億ドルも拠出してきたのです。
アメリカはWHOから脱退し、台湾が参加できる新たな国際的保険機構に軸足を移すことになると思われます。
◆中国人の入国禁止
さらに、「中国人の入国禁止」です。国家安全保障上のリスクがある中国人をアメリカから締め出すということです。
中国の留学生や大学院生、研究者はアメリカ政府からビザを許可されアメリカで生活していますが、彼らがやっていることはアメリカの技術を盗むことです。
彼らは完全に中国政府によって雇われている国家のスパイです。対象者は約3000人いると言われていますが、ビザの停止を行うと言っています。
悪の帝国をいつまでも許さない。国益のためでなくビジネスのために移民を無制限に入れてはならないという考え方です。
ちなみに幸福実現党も、国益のためでなくビジネスの利益のために移民を無制限に入れることには反対です。
◆ビジネスより国益の優先を
幸福実現党の大川隆法党総裁の著作『繁栄への決断』のなかで次のように書いています。
「安い人件費で日本を通さず、ほかのところに売るというのは、企業のグローバル化によって税金逃れの体制を意味します。これを国内に税金を払ってくれる体制と戻す必要がある。薄れてしまった愛国心を企業に取り戻してほしい。」
グローバリズムとは、企業の利益のほうが国の国益よりも上に立つという考え方です。
企業の利益になるのだったら国境がなくてもいいのではないか。そして、人件費が安い国に企業が出て行ってしまう。
結局、税金を自国で払わなくても済むようになる。もしくは、人件費が安いから、外国人にどんどんビザを与えて来て日本に来てもらう。
人件費が安ければビジネスの利益にはなるでしょう。しかし国益にはなりません。
ましてや日本にとって反日的な国からどんどん移民を入れた場合、アメリカと同じように技術や特許を取られ、それで苦しい目に遭っている企業は日本にたくさんあるはずです。
日本の企業に愛国心を取り戻してもらって、安易に海外に出て行くのではなく、日本で日本人を雇ってもらう。幸福実現党はそちらの方を強く訴えています。
これは「愛国心」と「倫理観」の問題です。トランプ大統領が10間スピーチで言っているのは、中国のような「自国民を抑圧する国に対し、お金のために魂を売っていいのか」ということです。
これは日本にとってもいえることであると思うのです。
執筆者:及川幸久
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