東証と大証の経営統合を日本経済再建に繋げよ
[HRPニュースファイル103]転載
2011年11月26日
東京証券取引所と大阪証券取引所が、2013年1月1日に
「日本取引所グループ」として経営統合することを
発表しました。
統合後の新会社に上場する企業の株式時価総額は
3億6000ドル(役277兆円)と「ロンドン証券取引所」
を抜き、「NYSEユーロネクスト」と「ナスダックOMX」
に次ぐ世界第3位の規模となります
(国際取引所連合10月末公表データ)。
現物株式の取引で国内シェア9割以上を占める
東証と、デリバティブ(金融派生商品)など
先物取引を強みとする大証が統合することで相互に
補完することとなり、市場規模の拡大と金融商品の
多様化を実現し、魅力ある市場となります。
また、取引を支える高度なコンピューターシステム
への投資や運営コストを年間70億円程度削減する
ことができ、グローバル競争力の強化と利便性を
提供することとなります。
日本においては、2007年には1日平均3兆円を超えて
いた売買代金の市場が、現在では1兆円規模と極端に
縮小しており、地盤沈下に対する危機感をもって
経営統合の判断が下されました。
しかし、市場が経営統合により財務が強化されるだけで、
日本市場が活況を呈することはありません。
実際、経営統合が発表された後、11月24日には、
日経平均株価は年初以来の最安値8100円台を更新
しています。
幸福実現党は日経平均株価株価2万円台を政策目標と
掲げていますが、株式市場の活性化は、日本経済再建
の原動力となります。そのためには、政府としても
株式市場活性化に向けた支援政策が必要です。
市場統合を日本経済の再建につなげるためには、
まずは、大胆な金融緩和によって、「貧血状態」
とも言えるデフレから脱却し、マイルドなインフレ・
トレンドに乗せなければ経済活動の体温は上がりません。
また、証券税制の軽減税率撤廃により、来年2012年1月
より上場株式等の配当および譲渡益の課税が10%から
20%に増税されます。「軽減税率撤廃」によって、
多くの投資家の撤退と株式市場の低迷が懸念されて
います。
中国、韓国、香港、シンガポールなど、
株の譲渡益課税は原則非課税であり、日本だけが
世界の潮流に逆行しています。幸福実現党は株の
配当課税、譲渡益課税の廃止を掲げていますが、
今こそ政府は「株式減税」を断行すべきです。
同時に、法人税の減免、金融商品課税の減免も
大胆に行い、企業活動の重荷を無くし、企業が積極的
に設備投資・金融投資を行う意欲を高めていくべき
です。
特に、法人税の足枷は国際競争力を削ぐだけでなく
、日本企業の海外流出を促し産業の空洞化を拡大
させ、外国企業の投資や誘致を阻害することにも
なっています。実際、東証に上場する外国企業の
数は、1991年に127社ありましたが、現在はわずか
12社しかありません。
また、日本の「縦割り行政」に代表される「経済障壁」
を排除していく規制緩和が必要です。株式や金利は
金融庁、石油は経済産業省、農産物は農林水産省と
いった「縦割り行政」が元凶となって、商品相場に
連動する金融商品の開発が遅れていることは問題です。
さらに「新産業の振興」の育成も必要です。
カネ余りが続く中、資金は新たな「成長株」を求めて
います。政府は大胆な規制緩和と金融政策、インフラ
整備投資によって、企業家精神を促す経済環境を形成し、
「新産業の振興策」を進めていくべきです。
株式市場は日本経済の活力の源泉です。政府は、
東証と大証の経営統合を梃子として、株式市場の
活性化を強力に支援し、「日本経済再建」「新高度経済成長」
を実現すべきです。
(文責・小川俊介)
執筆者:小川 俊介 政務調査会 部長代理
公式サイト:http://ameblo.jp/elplanet777/
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