香港の格付けを「AA」に引き下げ、デモ長期化で=フィッチ
[6日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスは6日、香港の外貨建て
長期発行体デフォルト格付け(IDR)を「AAプラス」から「AA」に引き下げたと発表した。
抗議活動による政情不安が続いていることが理由。見通しは「ネガティブ」。
フィッチは、香港に高度の自治を保障する「一国二制度」の枠組みは維持される見込みとした上で、
デモ参加者の一部要求に当局側が最近、譲歩したものの、市民の不満は残る可能性が高いと指摘した。
香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日、中国本土への容疑者の引き渡しを可能とする
「逃亡犯条例」改正案の正式撤回を表明。ただ、一部の民主派は改正案撤回だけでは満足しておらず、
今週末もデモが実施されるとみられる。
香港格下げ、政治混乱で「一国二制度」の枠組みに疑義-フィッチ
Tian Chen、Eric Lam.https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-06/PXE6W26JTSE901
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「AA」に引き下げ、従来「AA+」-見通し「ネガティブ」
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フィッチによる前回の香港格下げは中国に返還される前の1995年
格付け会社フィッチ・レーティングスが香港の外貨建て長期発行体格付けを「AA」に引き下げた。
このところの政治的混乱が香港統治の枠組みについて疑義を生じさせると指摘した。
大規模な抗議行動と混乱が投資家を不安に陥れ、香港からの資本逃避の懸念も生じている。
香港経済は既に、米中貿易戦争によって打撃を受けている。
フィッチは発表資料で、「数カ月に及ぶ対立と暴力は、香港と中国本土の関係を規定する
『一国二制度』の枠組みの限界とその柔軟性を試練にさらした」と説明。
「香港の中国本土との経済、金融、社会政治的つながりの段階的強化は、香港が中国の国家的統治システムに
組み込まれていく持続的プロセスを示唆し、制度と規制の面で長期的により大きな問題を提起する」と分析した
本土へのより密接な統合は中国と香港の格付けの差が縮小することにつながるとフィッチは説明した。
同社は現在、中国の格付けを「A+」としている。見通しは「ステーブル(安定的)」
フィッチはさらに、「現在起こっていることはまた、香港の統治システムと法の支配の質と有効性に対する
国際的な見方に長期にわたるダメージを与え、香港のビジネス環境の安定性とダイナミズムに疑義を呈した」指摘した。
一方、S&Pグローバル・レーティングは先週、混乱にもかかわらず香港の格付け「AA+」と見通し
「ステーブル」は安泰との見方を示し、「所得が高水準の香港経済や政府の多額の財政準備金、香港経済の
強力な対外ポジション」が現行格付けを支えるだろうとキム・エン・タン氏らアナリストがリポートに記していた。
ただ、「景気の弱さが続き、財政の柔軟性とパフォーマンスが構造的に損なわれれば、
強い信用ファンダメンタルズが時間と共に失われ得る」と指摘した。
原題:Fitch Downgrades Hong Kong for First Time Since 1995 on Turmoil(抜粋)