http://the-liberty.com/article.php?item_id=10234 The Liberty Webより
中国のユネスコ記憶遺産に反論 藤岡信勝、高橋史朗、釈量子各氏が激論 2015.09.24
中国が「南京大虐殺」「従軍慰安婦」資料を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に登録申請している。審査を担うユネスコの国際諮問委員会は、10月4~6日にかけてアラブ首長国連邦で開く予定の最終審議で、その登録の可否を決める見通しだ。
ユネスコが中国のプロパガンダに対してお墨付きを与えるか否か。日本はその瀬戸際に立たされている。これに対し、中国の申請に反対の声を上げている幸福実現党は、昨年7月に1700人規模の抗議デモを行ったことを皮切りに、今年2月には、申請の却下を求める署名約19万筆以上を集め、内閣府に提出した。その後同党は、中国の申請内容に対する具体的な反論書をユネスコ本部に提出し、4、5、7月に却下の申入れを行い、9月15日には、4回目の申入れを行った。一連の反論書には、国内外の有識者延べ100人以上が賛同している。
鼎談で中国の申請内容に反論
最終審議が近づく中、幸福実現党の釈量子党首は、先の反論書に賛同してきた拓殖大学客員教授の藤岡信勝氏と、明星大学教授の高橋史朗氏の3氏で緊急の座談会を実施。多くの日本人の中から、中国の申請に反対の声を上げる人々が出るよう訴えた。
藤岡氏は、中国の記憶遺産申請について、「中国の資料は記憶遺産に登録されるような代物ではない」「南京事件は『なぜ』『どうして』『誰が』『どのようにして』でっち上げたのかという経過がすべて分かっています。日本が真正面から論争すれば、中国に勝ち目はありません」などと指弾。
高橋氏も、「中国は情報戦を仕掛けているのです。日本が先の大戦で負けたのも、情報戦が原因でした」「もし、中国の資料が記憶遺産に登録されれば、安倍談話で『謝罪に区切りをつけた』と言っても、日本人への批判は未来永劫続きます」などと語った。これらの発言を受け、釈氏は、「この国の政治のあり方自体を変えなければいけません。そのためには、まず日本がどのような国であったかという歴史観を正さなければなりません」と述べ、幸福実現党は自虐史観を払拭する運動を続ける意思を示した。
この他にも座談会では、8月に出された「安倍談話」への評価や、日本の誇りを取り戻すための「歴史戦」への思いなどが語られている。この様子は、9月30日に全国の書店で発刊される本誌11月号に掲載されており、そこにはユネスコへの4回目の反論内容も紹介されている。座談会の内容は、発刊に先立ち25日(金)に、本ウェブ上で先行公開する。(山本慧)
釈量子の志士奮迅 [特別編] ユネスコ記憶遺産 緊急座談会 - 中国の「歴史ねつ造」を阻止せよ!
2015.09.25 http://the-liberty.com/article.php?item_id=10192 The Liberty Webより
右から、釈党首、藤岡氏、高橋氏。座談会の一部は、YouTubeのネットオピニオン番組「The Fact」で配信中。
2015年11月号記事
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。著書に『命を懸ける』(幸福の科学出版)などがある。
(ふじおか・のぶかつ)1943年、北海道生まれ。北海道大学卒業後、東京大学教授を経て、現職。保守的な教科書づくりを目指す「授業づくりJAPAN」の代表も務める。著書は『国難の日本史』(ビジネス社)など多数。
(たかはし・しろう)1950年、兵庫県生まれ。早稲田大学大学院修了後、スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員などを務め、現職。著書は『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』(致知出版社)など多数。
画像(1)
日本軍の蛮行を映したとされる「マギーフィルム」。だが、日本軍が中国人を殺害するシーンは一切映ってない。むしろ、笑顔を浮かべる女性の姿が映っている。
釈量子の志士奮迅 特別編
ユネスコ記憶遺産 緊急座談会
中国の「歴史ねつ造」を阻止せよ!
幸福実現党は、昨年の夏以降、中国の「歴史ねつ造」資料を記憶遺産に登録させないよう、ユネスコや日本政府に働きかけてきました。10月の最終審議を目前に控え、問題に精通する藤岡信勝、高橋史朗両先生と緊急座談会を行いました。多くの日本人が声を上げるきっかけになれば幸いです。
釈量子党首(以下、釈): 中国が「南京大虐殺」「従軍慰安婦」資料を登録申請している、ユネスコ記憶遺産の最終審議が近づいています。 これまで幸福実現党が提出した反論書に、ご賛同いただいた拓殖大学の藤岡信勝先生、明星大学の高橋史朗先生と議論し、歴史問題で多くの日本人に声を上げていただくきっかけにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
藤岡氏・高橋氏: よろしくお願いします。
「マギーフィルム」は有名なねつ造映像
釈: 幸福実現党はこれまで3回にわたって(収録当時)、パリのユネスコ本部を訪れ、反論書を提出し、中国の申請を却下するよう訴えてきました。この反論内容を振り返りながら、お二人にお話を伺ってまいります。まずは南京大虐殺の資料です。中国は十数点の写真や映像などの記録物を申請しています。その一つが、「マギーフィルム」と呼ばれる映像です(画像(1))。これは当時、南京にいたアメリカ人牧師のジョン・マギーが撮影したもので、日本軍が南京を統治した1937年以降に、日本軍による中国人への暴行や虐殺などを映したフィルムだとされています。
藤岡氏(以下、藤): これは南京大虐殺の有名な宣伝資料の一つです。マギーは、このフィルムをアメリカ中で上映して回りました。しかし、肝心のフィルムは病院で治療を受ける人々を映しているものに過ぎません。記憶遺産に登録されるような代物ではないのです。
高橋氏(以下、高): この映像には、日本軍が中国軍の敗残兵と市民を区別するために、現地の市民に日の丸の腕章をつけさせている様子もあります。市民を虐殺していなかった証拠です。
「プロパガンダ裁判」
画像(2)
戦勝国の一員であった中国国民党が、1946~47年にかけて谷寿夫中将を裁いた資料。だが、裁判が認定した「大虐殺」の期間である1937年12月12日ごろから21日までの約10日の間、第六師団は南京にほとんどいなかった。つまり、中国は「冤罪資料」を申請している。
釈: 二つ目は、南京軍事法廷に関する資料です(画像(2))。終戦後の1946年、中国国民党は、熊本市を本拠にし、南京戦に参加した第六師団長の谷寿夫中将を起訴しました。この裁判で谷中将は、30万人以上の虐殺を行ったとして死刑判決を受けます。しかし、結論から言えば、谷中将は冤罪です。第六師団は南京攻略後に2、3日しかおらず、その後、同地から約60キロ離れた蕪湖に移動しています。物理的にも時間的にも、虐殺は不可能でした。
藤: それぞれの部隊の行動は、戦闘詳報などの記録に残っています。それを見ますと、釈党首が仰ったように、虐殺を行う余裕はなかった。南京軍事法廷は裁判の名に値しない、プロパガンダのために行われたものでした。
高: また裁判では、日本側の弁護団は反対尋問の機会を与えられず、証人喚問の要請も却下されるなどの問題があります。熊本日日新聞社がまとめた書籍『熊本兵団戦史』でも、第六師団の兵士約100人が大虐殺を否定しています。
藤: そもそも、南京事件は「なぜ」「どうして」「誰が」「どのようにして」でっち上げたのかという経過がすべて分かっています。日本が真正面から論争すれば、中国に勝ち目はありません。
日本軍は慰安婦の人権を守った
画像(3)
日本の憲兵が1943年にまとめた「日本軍犯罪月報」。この中には、慰安婦に暴行した日本兵が取り締まられたとある。逆に、この資料は慰安婦が法的に保護されていた証拠である。
画像(4)
日本軍がつくった上海の慰安所を写した写真。撮影者は天児さんの父・麻生徹男氏であり、撮影日時は1938年2月7日。しかし、中国側は出所を示さず、「著作権は自国にある」と虚偽申告している。
釈: では次に、「従軍慰安婦」資料に移ります。中国は今回、十数点の資料を申請しています。その一つが、日本の憲兵が作成したとされる「犯罪月報」。中国は女性の強制連行などを示すと主張しています(画像(3))。ですが、この資料をよく読めば、「鉄道工場に勤める日本軍の将兵が、酩酊の上慰安所において、慰安婦に暴行し、器物を損害す」とあり、その下には「非違通報」と記されています。
藤: 取り締まられたわけですね。慰安所そのものが、女性を強制連行する場所とは言えません。
高: 日本軍の行動は女性の人権を守ったことを意味し、"性奴隷"の証拠ではないのです。
釈: 続いては、「楊家宅慰安所」と題した写真です(画像(4))。中国側は「強制連行された慰安婦を写した写真で、著作権は自国にある」としています。ところがこの写真は、慰安所を写しただけであり、強制連行を証明するものではありません。写真のネガも、撮影者の遺族である天児都さんがお持ちであり、中国が無断使用していることも分かっています。
藤: 天児さんは、6月に記者会見(注1)をされましたね。そこで「中国は著作権を侵害しており、申請を撤回してほしい」と明言しています。
釈: 無断使用は、ユネスコの規約に明確に反していますから
高: それが一番大きいです。しかし最近では、中国人の学者が「慰安婦40万人説」を唱え始めるなど、慰安婦問題を大きくしようとしています(注2)。日本の学者は逐一反論しなければなりません。
(注1)福岡市在住の産婦人科医・天児都さんが、6月10日に幸福実現党が東京都内で開いた記者会見で、「不正がある」と抗議した。会見には、釈量子党首と、評論家の茂木弘道氏が同席した(本誌107ページ参照)。
(注2)丘培培ら著『Chinese Comfort Women』(オックスフォード・ユニバーシティ・プレス)。
「南京」「慰安婦」資料がアンネの日記と同格にされる
藤: 幸福の科学グループの先駆的な活動には、敬意を表したいと思います。それに及ばずながら、私共もこの問題に取り組み、7月30日に複数の保守系団体を通じて、ユネスコに却下を申入れました。
釈: 確かに、私たちの取り組みは早かった面があります。昨年7月に1700人のデモを行ったり、今年2月には19万人分の反対署名を集め、政府に提出しました。ユネスコ記憶遺産の重要性をご存じでない方もいるかもしれませんが、平たく言えば、記憶遺産への登録は、ナチスから迫害されたことを記した「アンネの日記」と同じ位置づけになるということ。図書館に行けば、誰もが読めるアンネの日記のように、世界中の子供たちが、「日本は悪者だった」と書かれた本を読む未来が起こり得るのです。
高: 中国は情報戦を仕掛けているのです。日本が先の大戦で負けたのも、情報戦が原因でした。この記憶遺産問題については、リバティが詳しく報じていますが、多くの国民はその実態を知りません。ですから日本政府は、中国に申請資料の公開を強く要求しなければなりませんし、一方でユネスコも、日本に反論する機会を与えるべきです。
慰安婦制度は人権侵害ではない
藤: 非常に残念なのは、次期総理大臣の呼び声も高い自民党の稲田朋美政調会長のご発言です。稲田先生は歴史問題に熱心な方ではありますが、最近は「私たちは、慰安婦制度が人権侵害であったと認めている」という趣旨の発言をされています。日本軍がつくった合法的な慰安所が、人権侵害というのは問題です。是非認識を改めていただきたい。
高: 例えば、韓国系アメリカ人が、カリフォルニア州グレンデールに慰安婦の碑をつくったために、日系人への嫌がらせや、いじめが起きています。海外の同胞がどういう思いで生きているのか、日本人は本気で考えているでしょうか。慰安婦の碑ができるだけで、それぐらいの影響が出ているのです。もし、中国の資料が記憶遺産に登録されれば、安倍談話で「謝罪に区切りをつけた」と言っても、日本人への批判は未来永劫続きます。海外の日系人のためにも、政府はしっかりと対応しなければなりません。
安倍談話をどう見る?
釈: 日本政府が歴史問題で対応すべきという意味では、8月に出された「安倍談話」も無関係ではありません。と言いますのも、自虐史観の根源である「河野・村山談話」が白紙にならなければ、政府は十分に反論することができず、歴史戦が際限なく続いていくためです。そのため幸福実現党は、両談話を踏襲した安倍談話の撤回を求めています。先生方は、安倍談話をどう評価しますか。
藤: 安倍政権をつぶす絶好の機会だと手ぐすねを引いている勢力に対し、見事に肩透かしを食らわせました。政治的な対応では成功だったと思います。ただ、東京裁判史観を克服したという人もいますが、それは間違った評価です。東京裁判史観というのは、基本的に「満州事変以降の日本は侵略的な国家だった」というものですから、この自虐史観は安倍談話でも乗り越えられなかったわけです。背景には、東京裁判を全面的に見直す談話を出すと、日米関係が悪くなるという政治判断があり、安倍首相自身の歴史認識を反映させたかどうかは別だったと思います。
高: 政治的には苦渋の決断だったと思いますが、基本的に評価しています。熾烈な情報戦が行われている中で、謝罪し続けることに区切りをつけました。
釈: 私としては、誰もが「あの談話は首相の本心ではない」と分かっていても、それをごまかすことが許される、本音でない政治というものに限界を感じています。それでは日本の政治に未来が開けません。新しい時代には、どのような政治が必要かということをもっと議論していきたいのです。
高: その延長上にあると思いますが、やはり日本のビジョンというものをアジアや世界に向かって、どう発信するかということが大事でしょう。南京大虐殺や従軍慰安婦という戦時プロパガンダの誤解を払拭し、本来日本は何を目指していた国なのか、日本文明の本質とは何かという根っこの部分を、できるだけ英語でしっかりと国際社会に発信していくことが必要です。
釈: これからの日本が下がっていくのか、上がっていくのか。その分岐点が歴史戦だと思います。先生方がつくられた教科書もありますが、そうした正しい歴史観をしっかりと踏まえた上で、日本は世界にどう貢献できるかを打ち出していくべきです。
「この国のあり方を変えたい」
釈: それにしても、日本政府の対応は心もとないです。
藤: その通りです。私共は9月7日に、外務省に行って、ユネスコへの対応を伺ったところ、先方から「数回にわたって反論している」と言われました。「では、その内容を教えてください」と聞くと、「公表できない」と返されました。なぜ公表できないのでしょうか。私はそれを、国会で追及してもらいたいと思っています。
釈: やはり、この国の政治のあり方自体を変えなければいけません。そのためには、まず日本がどのような国であったかという歴史観を正さなければなりません。宗教政党として、この国を守るために戦われた英霊の眼差しというものをいつも感じながら活動させていただいております。世界中の人々が手を握り合う時代をつくるためにも、「正しいことは正しい、間違っているものは間違っている」と認め合うフェアネスの精神を共有したいと考えます。本日は、誠にありがとうございました。
藤・高: ありがとうございました。
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