<iframe id="google_ads_iframe_7" class="i-amphtml-fill-content" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="320" height="100"></iframe>
【国際情勢分析】世論調査に表れた日本人の中国不信 「良い印象」たったの15%
2019.12.11 09:00
15%-。9月に実施された世論調査で、中国に「良い」印象を持つと答えた日本人の割合だ。日中両国は6月の首脳会談で、「自由で公正な貿易体制」を協調して発展させることを確認し、「世界の平和と安定」に肩を並べて貢献していくとうたった。にもかかわらず、この数字である。世論調査の細目から読み取れるのは、国際規範を逸脱した行動を繰り返す中国を本当に信頼できるのか-という日本人の素朴な疑問だ。(外信部 平田雄介) https://www.sankei.com/world/amp/191211/wor1912110001-a.html
■国賓訪日を前にショック
「とても低くてショックでした」。11月8~9日に参加した在日中国大使館と日本人記者の交流合宿で、中国外交官のこんな声を聞いた。
世論調査は「言論NPO」が18歳以上の男女を対象に日中両国で行ったもので、有効回収標本数は計2597。中国に「良い」印象を持つ日本人の少なさとは対照的に、日本に「良い」印象を持つと答えた中国人の割合は45・9%と高く、調査を始めた2005年以降で最も高い数値となった。
中国に「良い」印象を持つ日本人の割合15%は、低いながらも4年連続で上昇(16年=8%、17年=11・5%、18年=13・1%)している。それでも先述の中国外交官がショックを受けたのは、今年を両国の「青少年交流推進年」と位置づけて友好事業に力を入れてきた上、来年春に予定される習近平国家主席の「国賓」としての訪日を前に、もう少し数値が改善するのでは-という期待があったためだ。
この外交官は、日本人の中国への好感度が低い原因として「日本の新聞やテレビでは中国に関するマイナス報道が多い」ことを挙げた。さらには「メディアには社会に対する責任があり、中日関係の改善と発展に向けて建設的な役割を果たしてほしい」と言う。
しかし、マイナス面の報道が多いのは、日本国内のニュースでも同じことだ。「悪いニュース」として表れる世の中のひずみを伝えることで、その改善に向けて読者や視聴者が政治参画する際に必要な材料を提供するのは、日本のメディアの大切な役割だ。
■印象「良くない」は84%超
日中双方の関係者による長年の熱心な努力にも関わらず、日本人の中国への好感度が低いのは、むしろ、日本人が中国に対して「怖さ」や「不安」を感じているからではないか。
こうした意見が交流合宿に参加した日本人記者から相次いだ。
世論調査によれば、日本人が中国に「良くない」印象を持つ理由のトップ3は、(1)尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本領海や領空をたびたび侵犯しているから(51・4%)(2)共産党の一党支配という政治体制に違和感を覚えるから(43%)(3)国際的なルールと異なる行動をするから(42・7%)-というものだ。中国に「良くない」印象を持つ日本人の割合は84・7%に上っている。
最近、中国の「怖さ」を日本人に感じさせた出来事の一つが、学術機構・中国社会科学院の招きで訪中した北海道大の岩谷將教授が滞在先のホテルで身柄を拘束された事件だろう。
発覚当初、身柄を拘束した理由の説明は「中国の法律に違反した」という外交部スポークスマンの言葉のみ。学術交流は停滞し、中国研究の第一人者である東京大の高原明生教授や川島真教授、政策シンクタンクの日本国際問題研究所が相次いで懸念を表明する事態となった。
幸いにも岩谷氏は解放され11月15日に帰国したが、2015年以降、スパイ行為に関与したなどとして中国当局が事実関係を明らかにしないまま拘束した日本人男女は少なくとも15人に上る。
■「弾圧なんてない」
教授拘束事件の衝撃が冷める間もなく、中国の「怖さ」を感じさせる出来事が新たに起きた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した中国政府の内部文書に基づき、監視カメラや顔認証システム、人工知能(AI)などの先端技術を利用して多数のウイグル族を「要注意人物」と決めつけ、裁判を経ずに「職業教育訓練センター」と称する収容所に送り、中国化教育を強要している-と広く報じられたのだ。
中国政府によるウイグル弾圧をめぐっては、国連人種差別撤廃委員会が昨年8月、テロ対策を名目に100万人以上が強制的に収容されていると指摘。民族的に近いトルコのほか、ポンペオ米国務長官も「中国は宗教や民族の独自性を消そうとしている」と厳しく批判してきた。
ICIJの報道前に催された交流合宿でも当然、このことが話題になった。
だが、中国側の反応は「弾圧なんてありません。監視カメラのおかげで新疆ウイグル自治区の治安はとても良くなりました。今はもうテロの心配もなく、安心して旅行が楽しめます」とあっけらかんとしたもので、あまりに大きな認識の違いに私は愕然(がくぜん)としてしまった。
6月の日中首脳会談で確認されたように、中国は今や多国間主義と自由貿易の擁護者となり、さらには世界の平和と安定に貢献する-との意欲をみせている。しかし、中国を“協力して国際秩序を担うパートナー”として迎えようとする日本政府の姿勢と、中国の印象を「よくない」と答える日本人の意識の間には簡単に埋められない溝がある。
.