【木村智重のMirai Vision】
航空・宇宙・国防などに集中投資を
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100226/mca1002260502000-n1.htm
2010.2.26 05:00
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ボーイングの次世代中型機「787」は、機体などを日本企業の技術力が支えている(AP)
■21世紀の基幹産業を生み出せ
「世界一になる理由は何ですか。2位じゃだめなんですか」。昨年11月、行政刷新会議が行った事業仕分けで民主党の蓮舫参院議員が口にしたこの言葉は、みなさんの記憶にも新しいでしょう。
この言葉は、文部科学省が予算請求した次世代スーパーコンピューター研究開発費(267億円)に対するものでしたが、鳩山政権の科学技術に対するスタンスを垣間見た気がします。先週、私は「GDP(国内総生産)世界一を目指すべきだ」と提言し、それは、21世紀の新たな基幹産業を生み出せるかどうかにかかっていると述べました。私たち幸福実現党は、その分野として、航空・宇宙産業、国防産業、海洋開発、新エネルギー開発などの分野を重視しています。
航空・宇宙産業や国防産業といえば現在、米国がナンバーワンです。米国は国家戦略として、国防総省と航空宇宙局(NASA)に巨額の予算を付けて、民間企業や大学に基礎研究を行わせ、最先端の技術や産業を派生させてきました。それが米国の国力の源泉となってきたのです。
◆「世界の空」を支える日本の技術
ところが米国政府は近年、航空・宇宙や国防関連の技術開発投資を減らしてきています。スペースシャトルは2010年での全機の退役が確定しています。オバマ大統領は20年までに月への有人飛行・探査を行う計画の打ち切りを決め、ステルス戦闘機F22Aラプターも生産中止。ミサイル防衛の予算も大幅に削減されています。
米国に代わって宇宙開発や国防に集中的に投資を行っているのが中国です。中国政府は有人月面着陸や宇宙ステーションの計画を進めています。海洋進出にも熱心で、10年代に空母を建造・配備する計画です。このままでは、「中国の宇宙」「中国の海」が実現してしまいます。
実は、日本の企業が米国の航空・宇宙産業や国防産業の“縁の下の力持ち”になってきたという事実があります。
例えば、昨年12月にテスト飛行を行った米ボーイング社の最新鋭中型機「787」(定員約250人)は、日本の素材メーカーの技術力が支えています。機体の軽量化に東レの炭素繊維が使われ、主翼は三菱重工業、前方胴体部は川崎重工業、胴体と主翼とつなぎ目は富士重工業が受け持ったとのことです。これはヨーロッパのエアバス社製の旅客機も同じです。つまり、日本の技術が「世界の空」を支えていると言っていいわけです。
◆空、海、宇宙のフロンティアを目指せ
米国が航空・宇宙、国防といった分野から退いていこうとしている今、高度技術を持つ日本が進出していっても、何らおかしなことではありません。海に囲まれた日本としては海洋も、空や宇宙に並ぶ重要なフロンティアです。日本近海には「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートや、マンガンなどのレアメタル(希少金属)が豊富に眠っています。これを開発するときに、これも日本の強みであるロボット技術が不可欠です。
航空・宇宙、国防、海洋開発、新エネルギーなどの分野を基幹産業とできるよう、政府としてここに資金を集中投資したいと考えています。
産経BiZ
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