香港警察が放水する青い液体 人体に有害な化学物質が含まれる=環境団体
国際的な環境団体は、香港警察の高圧放水車が放つ青い液体には有毒物質が含まれている可能性があると主張している。
容疑者引き渡しを可能にする条例改正案の反対に端を発する香港のデモ行進は4カ月続いており、収束する様子はない。香港警察は8月下旬から高圧放水車両を投入して、青い液体をデモ隊にかけている。放水は、デモの前線部隊からのブロック投げや火炎瓶に対抗するためだとしている。
国際環境保護団体、非政府組織(NGO)グリーンピース(GreenPeace)は25日、入手した青い液体のサンプルを分析した結果を発表した。それによると、青い液体には染料、接着剤のほか、催涙スプレーに使用されるペラルゴン酸(ノナン酸)バニリルアミド、クロロアセトフェノン、2クロロベンジリデンマロノニトリルといった、人体には有毒な化学物質が含まれていることがわかった。
グリーンピースは報告作成にあたり、立法会(議会)の文書、科学専門家の意見、化学兵器の取り扱い説明書、そして実際に青い液体を浴びた人々からの体験を引用した。
グリーンピースによると、青い液体に含まれる化学物質は致死率は低いものの、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。医学文献を引用して、唐辛子スプレーと催涙スプレーに含まれる化学物質は眼を傷つけ、皮膚を刺激し、呼吸器系に炎症を起こす可能性があるという。
香港警察は26日の記者会見で、青い液体は「非毒性の着色物質」であり、「人体に無害」であると述べた。色の液体を使用する目的は、抗議者を特定するためであるという。
いっぽう、涙液スプレーに含まれるペラルゴン酸バニリルアミド溶液について、一時的な不快感しか引き起こさず、浴びた部分を洗い流し空気にさらせば、10〜15分で不快感は止むと述べた。
2018年、香港政府は2700万香港ドル相当の高圧放水車を3台購入すると発表しました。民主派の議員は放水車の用途の説明を要求したが、公表されたことはない。
(翻訳編集・佐渡道世)
【台湾有情】降りかかった「香港の青い水」は強い痛みを伴った
9月末の日暮れ時、香港・金鐘の政府庁舎前でデモ隊が火炎瓶や石を投げる様子を写真に収めていると、警察の放水車がバリケードで囲われた敷地の際まで乗り出してきて放水を始めた。「強制排除が始まったな」。そう思い撮影を続けていると、放水銃が上を向いた次の瞬間、少し離れた高架にいる記者(田中)の周りにも、「青い水」が雨のように降り注いだ。
違法デモの参加者を見分けるために着色すると聞いていたので「ああ、やられた」くらいの気持ちだったが、すぐ異変に気がついた。腕や首に刺すような痛みが出始めたのだ。顔全体を覆う簡易ガスマスクをしていたのが幸いした。横目で見た男性は激しくせき込み、座り込んでいた。
現場を離れてウエットティッシュで拭いても全く落ちず、痛みは強まる。どこかの記者に写真に撮られても、構っていられない。取材をあきらめて地下鉄でホテルに戻る途中、見ず知らずの男性が「大丈夫ですか?」と腕を拭いてくれた。
水をかけると痛みが増すのでシャワーを浴びることもできない。結局、消毒用アルコールで拭いて治まったものの、腫れは一晩近く続いた。写真はブレていて使い物にならなかった。「痛み」を言葉で伝えるのは難しい。香港の人々の痛みや苦しみは、正しく伝わっているのだろうか。(田中靖人)
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