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産経新聞2015年2月24日
http://www.sankei.com/politics/news/150224/plt1502240056-n1.html
【国基研シンポ】ウォルドロン米ペンシルベニア大教授基調講演 「日本は最小限核抑止戦略を」
残念ながら日本は現実的な戦争の可能性に直面しているのではないか。
その戦争をどうやって回避するかについて話したい。
1971年、当時のニクソン米大統領は世界をあっと驚かせた。中国共産党が中国を支配して以来、疎遠になっていた中国を訪問すると発表したのだ。当時の米国人は「冷戦が終わり、米中という2大国が再び友人になり、平和裏に共存できるのではないか」と希望を感じた。
だが、現実は違った。
中国は巨大で強力な軍を有し、2010年ごろから非常に強い態度で領土・領海の主権を主張するようになり、周辺国はおびえるという残念な状況だ。私は小さな軍事的衝突が起き、誰も予期しない深刻な戦争に発展する事態を心配している。アジア全体を巻き込むような、壊滅的な戦争に発展する可能性さえある。
現在の米中は相互依存度が非常に高い。13年の2国間の貿易総額は5620億ドル。中国政府は米国債を1・3兆ドル保有している。13年から14年にかけて、米国への留学生は88万6千人だったが、その4分の1が中国から来た。
ところが米中両政府の関係は決して緊密ではない。
国連で米国が推す政策に関し、中国は必ずと言ってよいほど反対する。中国の軍備増強は明らかに米国を標的としている。中国メディアにはほぼ連日、事実と異なる下品な誹謗(ひぼう)中傷記事を掲載している。米中はいつか大変な衝突を起こすのではないかと感じている。
中国は非常に広範な地域で主権を主張している。インド北東のアルナチャルプラデシュ州から大きな弧を描いてインドネシア、フィリピン、日本など各国と係争地を抱え、韓国の離於島(イオド)や南沙諸島も自分の領土・領海だと主張している。
このような主張に歴史的な根拠はないが、中国は「記憶にないほど太古から中国の領土・領海であったから、その主権を主張するのは当然だ」と言っている。困ったことに多くの中国人はそう信じている。
1994年、長年中国の外相を務めた黄華氏と話した際、彼は「南シナ海に大きな岩とか環礁が点在しているが、いずれ中国は1つずつ拾っていきますよ」と言っていた。
特に2010年以降、中国は軍事力で領土を獲得しようという意図を示している。ベトナム、インド、フィリピンと衝突し、定期的に日本を脅かしている。米国の通常の合法的な軍事行動にも介入し、妨害しようとしたりする。
中国が戦略的な核保有国であることも忘れてはならない。300~3000の核弾頭を有しているといわれており、周辺諸国だけではなく米国にも弾頭を送り込む能力を持っている。
では、なぜ中国はこのような歴史的神話に基づく危険な政策を進めるのか。
中国は独裁政権が支配する。国内の不満を押さえ込むため、領土拡大プロジェクトを進めることにより、国民の怒りを米国や日本、その他の国に向かせようとしているのではないか。
中国の核の脅威にさらされても平和主義と戦争回避を貫く日本の政策はもはや現実的ではない。
米政府は表向き、日本が攻撃されたら必ず守ると公言してきたが、私はこの言葉を信じない。嘘だと思う。東京が攻撃されたら米国は核ミサイルを本当に発射するか。米本土が攻撃されていないにもかかわらず、大統領が核兵器を使うことはまず絶対にない。米国は「核の拡大抑止」「核の傘」という言葉を使ってきたが、これは神話だ。
つまり各国は自分の核を持たない限り、最終的に1国だけで侵略国に立ち向かう状態になってしまう。
英国とフランスは米国の同盟国だが、最終的に米国が守ってくれるとは思っていないので「最小限核抑止戦略」をとっている。少数の原子力潜水艦が核ミサイルを搭載し、もし自国に攻撃があれば、何千マイル離れていても核弾頭を相手国に発射する態勢を整えている。
英仏の核抑止力は自ら戦争を始めるには小規模すぎるが、自国への攻撃を抑止するには十分だ。
私が日本人であれば、英仏のような最小限核抑止戦略をとるべきだと思うだろう。そうすれば侵略から自国を守ることができ、日本自身が侵略国になることもない。日本が核を保有することに米国は反対するかもしれないが、アジアと世界の平和は強化される。
逆に最小限の核を持たなければ、他国に攻撃された時、日本は完全に孤立してしまうであろう。
◇
アーサー・ウォルドロン 米ペンシルベニア大教授。アジア、特に中国史、戦略研究が専門。ボストン生まれ。米ハーバード大を首席で卒業。国際評価戦略センターを創立し、副理事長に就任。他のシンクタンクや大学でも活躍しており、米中央情報局(CIA)の特別委員会外部専門家も務める
ニュークリア・シェアリング
ニュークリア・シェアリング(Nuclear Sharing)とは、「核兵器の共有」という北大西洋条約機構(NATO)の核抑止における政策上の概念である。
NATOが核兵器を行使する際、独自の核兵器をもたない加盟国が計画に参加すること、および、特に、加盟国が自国内において核兵器を使用するために自国の軍隊を提供することが含まれている。ニュークリア・シェアリングの参加国は、核兵器に関する政策に対して決定力をもち、核兵器搭載可能な軍用機などの技術・装備を保持し、核兵器を自国領土内に備蓄するものとされる。
- 目次
加盟国[編集]
NATO内の核保有国である三カ国(フランス、イギリス、アメリカ)のなかで唯一アメリカだけがニュークリア・シェアリングのための核兵器を提供している。現在ニュークリアシェアリングを受けている国は、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダである。
また、カナダ(1984年まで)、ギリシャ(2001年まで)、トルコ(2005年まで )もかつて加盟しており、ニュークリア・シェアリングのホスト国(核兵器の共有を受け、軍備を提供し、核兵器を自国内に備蓄する国)になっていた。
イギリスは自ら核兵器保有国であったが、1992年までアメリカの戦術核兵器の提供をうけており、提供された核兵器は主にドイツ国内に配備されていた。
核兵器の管理方法[編集]
平時においては、核兵器非保有国内に備蓄された核兵器は、アメリカ軍により防衛され、核兵器を起動する暗号コードは、アメリカのコントロール下におかれる。
有事にあっては、核兵器は参加国の軍用機に搭載され、核兵器自体の管理・監督はアメリカ空軍弾薬支援戦隊(USAF Munitions Support Squadrons)により行われることになっている。(この部隊は、NATOの主作戦基地内で、ホスト国の軍隊と一緒に行動・勤務する。) 戦時に於いて核戦力の行使はNATOの総意とされるが、最終的な判断はあくまで核兵器提供国にある。そのため、たとえ他のNATO加盟国全てが同意しても、アメリカが拒否すれば核兵器は使用できない。
歴史[編集]
2005年までに、480基の核兵器がヨーロッパに展開していたと思われる。また180発のB61戦術核爆弾が、ニュークリア・シェアリングのために提供されたといわれる。
これらの核兵器は、アメリカ空軍が採用している航空機用掩蔽シェルター(WS3システム USAF WS3 Weapon Storage and Security System)の中に備蓄されていた。また投下に用いられる軍用機として当初はF-104Gのような高速戦闘機が、のちにはマルチロール化したF-16とパナビア・トーネードが採用されていた。
シェアされた核兵器は、爆弾に限定されたわけではない。たとえばギリシャはナイキ・ハーキュリーズ地対空ミサイルとA-7攻撃機を保有し、カナダは対空核ミサイルやオネスト・ジョン地対地核ロケット弾やAIR-2空対空核ロケットおよびCF-104とCF-104用戦術核兵器を保有していた。
ソ連崩壊以後、NATOでシェアされていた核兵器は削減されており、現在では旧式化した戦術核爆弾だけが残っている。
ドイツ国内唯一の核基地がルクセンブルク近郊にあるブューヒェル(Büchel)に存在する。基地内には、WS3で装備された11個の航空機用掩蔽シェルターがあり、核兵器備蓄用に使われている(最大備蓄数は、44発)20発のB61核爆弾が備蓄され、ドイツ空軍のトーネードIDSを装備する第33戦闘爆撃戦航空団(JaBoG 33 =Jagd Bomben Geschwader 33) が投下任務にあたっている。
NPTをめぐる考察[編集]
非加盟国とNATO内の批判として、NATOのニュークリアシェアリングは、「核兵器国」と「非核兵器国」相互での核兵器の直接および間接的な移転、および受け入れの双方を禁じている核拡散防止条約(NPT)第一条と第二条に違反しているとする見解がある(ちなみにNATO加盟国のうちドイツとイタリアが「非核兵器国」)。
これに対してアメリカ政府は、以下のような解釈を取っている。
- 核爆弾および核コントロールの移転は許されない、
- ただし許されないのは「戦争勃発の時点までであり、戦時にはNPT条約の規制は及ばない」
- したがって、NPTに違反はしない
とする。しかしながら、核兵器を「保有していない」NATO各国のパイロットおよび人員はアメリカの核爆弾を投下するために配備されており、技術的な核兵器に関する情報の移転が含まれている。
仮にアメリカの主張が法的に正しいものとしても、平時におけるそのような作戦は、NPTの精神と目的に反するように思われるとする議論がある。実質的に、核戦争のための準備が非核兵器保有国によって行われていると主張している。
NPT条約の交渉中、NATOのニュークリア・シェアリング合意は秘密事項であった。これらの議論はいくつかの国には開示され、ソビエト連邦も含まれていた。開示された国との間では、NATOの合意が違反でない扱いを受けることが交渉されていたが、1968年に締結されたNPTにサインしたほとんどの国が、その時点では、合意の存在とその解釈を知ることはなかった。
日本とアメリカ[編集]
1950年代、自衛隊と米軍の間で、アメリカから核弾頭を提供する形での米日間の核共同保有が一時検討されていた。背景にはアメリカが西側防衛のため核兵器への依存を深めていた事情があったとされる。第五福竜丸事件などで日本の反核世論が盛んになっていなかった場合、日本は「核保有国」になっていた可能性も指摘される[1]。
脚注[編集]
- ^ 「米「自衛隊は核武装を」50年代公文書 共同図上演習で原爆」神戸新聞2015年1月18日
関連項目[編集]
日本は、ニュークリアシェアリングシステムを採用してアメリカからいつでも核兵器をレンタルできるようにしてもいいのではありませんか?
日本は国防強化を急げヽ(。´Д`)ノ
・http://blog.goo.ne.jp/sakurasakuya7/e/ce3ccf728928ab713bb9c756d0393d43
地上の軍備は難しくても、地下や海中はいいかもしれない。
ただ、その準備を地上で行うのでどうするかでしょうかね。
あれだ、米国と海中で契約を交わしたらどうでしょうかね。
まぁ、政治は結果責任なので、これが日本を守ったということになれば、賞賛に変わるでしょうね。
政治は結果責任ということは、時間差があるということなので、許容範囲では?