名古屋トリプル選の結果を見て、
中央集権の必要を思う。
幸福実現党党首、立木秀学氏のブログから転載します
http://tsuiki-shugaku.hr-party.jp/blog/
名古屋トリプル選の結果は、河村たかし前市長側の完全勝利に
終わりました。
河村氏の、市民税10%減税の恒久化や議員報酬半減という
訴えは、小さな政府を志向するもので、共感できる部分があります。
ただ、議会と徹底的に対立して人気を集め、選挙に勝利する
という政治手法が、長い目で見て賢明かどうかは何とも
言いかねるところです。
閉塞した政治や社会の状況を打ち破ってくれるのではないか
という、有権者の期待感の高まりが今回の結果を導いた
のでしょうが、今後の名古屋市政でそうした期待に応え切ることが
できるのか、そのハードルは相当高いところにまで上がって
しまったように思われます。
むしろ、訴えてきた政策を、議会との妥協によって100%では
ないにしても、そこそこに実現させていれば、それなりに
有権者も満足してくれていたかもしれないものを、お祭りのような
リコール請求や選挙を通じて有権者の期待感を高めてしまったが
ゆえに、その後しっかり頑張って政策を実現しても、
それでも有権者は満足しないということになる可能性もあります。
最近の大阪や名古屋などでの、首長を中心とする地域政党の
盛り上がりは、自分たちの身近なところから政治を良くして
いきたい、自分たちで出来ることは自分たちでやりたい、
という意欲や自立心の表れでしょうから、これを無下に否定する
ことはできませんし、その具体的な提案の中にはもっともと
思われるものがいくつも含まれています。
ただし、行き過ぎないように気を付ける必要はあるでしょう。
例えば、外交・安全保障にかかわる問題は当然のことながら、
特定の地域の住民の意思だけで決定されてよいものではありません。
沖縄の米軍基地の存在は、日本全体の安全保障に関わることで
あり、あるいは日本のみならず広く東アジア地域全体の安全保障
に関わる問題なのですから、沖縄県知事がその県外移設を主張
したとしても、その通り決定するわけにはいきません。
また、中央政府が「地域主権」や「道州制」を言うときには、
中央が政治の責任を回避して地方にその責任を押し付け、
事実上の国家解体を志向している場合があることを警戒すべき
です。例えば、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題で、民主党政権が
よく地元の民意を確認してから処理を進めるとしていたのは、
そのような地方への責任押し付けの傾向の表れといえます。
実は今の日本に必要なのは、中央政府における強力な
リーダーシップです。外交・安全保障の面では、北朝鮮や中国
などの脅威によって、日本を取り巻く国際環境は緊張の度合いを
高めつつあります。経済・財政の面でも、強力な成長政策の実行や
社会保障制度の抜本的な見直しの必要があります。
これらの難題に対応するには、政治の強いリーダーシップが欠かせません。
現在、地方レベルでリーダーシップの強い首長が現れて人気を
呼んでいるのは、中央における強力なリーダーシップが
不在であることの裏返しといえます。
安倍内閣以降、1年かそこらで首相が交代し続けており、あるいは
衆参のねじれ国会が続くなど、中央のリーダーシップは
これまでにないほど弱体化しています。
だから、幸福実現党は、地方自治を尊重しつつも、中央集権の
必要性を訴えています。
そして、その具体的な制度として「新・日本国憲法試案」の中で、
大統領制の導入を主張しています。日本の文化的伝統の象徴と
しての皇室を大切に守りつつも、有権者から直接選ばれることに
よって強い政治的リーダーシップを確立でき、かつ政治や外交の
責任の所在をはっきりさせることのできる大統領制を導入してこそ、
今の日本が直面する難局を打開し、さらに世界最先端の国家へと
一段の飛躍を遂げることができるのです。
地方分権を進めたからといって、日本全体に覆いかぶさる諸問題を
必ずしもうまく解決できるわけでないことを、マスコミを初め
世の人々が気付くのはいつになるのか分かりませんが、その時が
来るまでしっかりと主張し続けてまいりたいと思います。
.2011/02/07