小さな音風景

乾きゐる音を曳きつつ枯れ椿転がりゆけり風の吹くたび 

謎の手帳

2011年01月01日 18時24分49秒 | 小さな日記
私には、忘れられない思い出がある。それは私がまだ社会人になりたての事です。
その頃、社内で優秀な成績を上げているベテランの営業社員がいました。

別の所課の所属ではありましたが、時折私の居る事務所に立ち寄る事がありました。
その社員が来ているとき、上司が皆で○○の爪でも煎じて飲まなければいけないなと言っていたら
本当に事務員が爪切りを持ってくる事もありました。

ある時、私の仕事の最中、その営業社員が近くに来られしばらく話をする事になりました。
話を終えその社員が帰ると、手帳を忘れて帰っているのにのに気がつきました。
どうしょうと思っていたら本人から電話があり明日取りに来る預かっていてくれという事になりました。

私は、人の手帳を覗き見するのはいけないと思いながらもトップセールスの手帳とはどんな物なのか
興味津々、恐々と見てしまったのです。
見る前の予想と違い、いざ手帳を開くと・・・

そんなバカなそんな事はないだろうと最初からもう一度見直したのです。
手帳は使い込んだ感がありページはやわらかくなっていました。

毎日忙しく動き回り、毎月優秀な成績を上げているのにと不思議に思いました。
別に持っているのかなとも思ったのですがそれも考えられない事でした。

次の日、取りに来られ何も聞かずに渡しましたが「お前、中見ただろ、いいか誰にも言うなよ」
と言う様な表情で手帳を上着の内ポケットにしまうと帰って行きました。

今では、本人しか見えない書き方で書いていたんだなと思うようになりました。

手帳は、・・・真っ白で何ひとつ書いていなかったのです。

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