奥さまから連絡がありました。
「今日でいよいよダブルベッドとお別れです」
結婚してからずっと
寝起きはダブルベッドだったというご夫婦。
末期ガンのご主人。
先日から抗がん剤の種類が変わり、
その副作用のためか
全身に力がなかなか入らなくなってしまったそうで
ひとりで起き上がれなくなったとのこと。
幸い、発熱や吐き気はなく
あれが食べたい、これが食べたい、のリクエストに追われる喜ばしい日々だそうです。
ただ、体のだるさはかなりのようで
「つらい、つらい」と
奥さまに甘えっぱなしだそう。
先日、耐えられないとの訴えに
病院に連れて行ったところ
「入院しましょう」と言われ
「それほどでもない、家で大丈夫!」
と急に言うことが変わったそうで
「入院は絶対に嫌だ、えっちゃん(奥さま)と一緒にいる!」と言い張り、自宅に戻ったとのこと。
「ラクになる薬でももらえると思ったんでしょうけど、入院なんていわれたもんだから、急に“大丈夫”になったのよ」と
あまえんぼうのご主人を
献身的に支えてる奥さま。
今まで出来ていたことが
どんどん出来なくなっていくのを
見ながらの生活は正直ツラい、と言います。
病院からはホスピスのカタログを渡され勧められているそうですが、
本人が絶対に嫌だと言うので
「自分が手助けするしかないわ」と。
自分がひとりになる日がくるなんて
まったく想像もできない、という奥さま。
「もう二人で同じ布団に寝ることはないのね」
そう言って布団の中に潜り込んだら
「えっちゃんが「へんなおじいさんが寝てる」って言うまで頑張って一緒にいるから大丈夫だよ」とご主人は言ってくれたそう。
すぐにメソメソしてしまう奥さまに
「別れがとてもつらいのは、それまでがどんなに楽しくて充実していたかだから」
ご主人はいつもそう言うそうです。
近々お宅に伺う約束をしています。
介護ベットが入り、
手すりが付いて、車椅子が置かれ、
家の中がどんどん病院ぽくなってきた、
と奥さまはおっしゃいます。
ご主人は
「俺はもうおせちは食べられないかもしれないから、食べておきたい」
と言うのだそう。
そんなこと言われたら、と
奥さまは黒豆を煮て、
数の子も取り寄せて。
「お正月用の真っ赤な酢だこ、パパはあれが好きなんだけど、なかなか売ってないのよ」
以前、都内のデパ地下で買ったという情報をもとに
「じゃあデパート行って買って持っていく!」
そう約束した私であります。
さっそく探しに行ってきます( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧
今日の写真は
その奥さまが送ってくれた「十月桜」。
十月に木の一部だけ開花して、
残りはちゃんと春に咲くのだそうです。
どういう仕組みになってるんでしょうね、
割り当てとかあるんでしょうかね、
なんて
奥さまと話しておりました(*^^*)