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先日山梨県水産技術センターの方に、アユは濁りの中でどれくらい生きられるのか聞いてみたのです。すると、“ちょうど佐野さんの知りたいことが書いてある論文がありますよ” とFAXで送ってくださいました。3章を読めば良いとのアドバイスを受け、さっそく読んでみました。
論文のタイトルは
この論文はwebでも見られます。タイトルをクリックしてご覧ください。
3章 高濃度の濁りによるアユの斃死に関する研究 では
異なる数種の懸濁物質が入った濁水の中でのアユの生存時間、生存率を調べる実験を行っています。(懸濁物質とは2mm以下の水に溶けない物質)
実験では鬼怒川系の養殖アユと那珂川の濁りを経験していない継代アユを供しています。
懸濁物質の違いや濃度により、生存時間と生存率に違いがあるのはもちろんですが、濁水で死亡したアユと生存するアユのエラを調べてみると、エラに付着しやすい特定幅の粒子の大きさ(大体19~68μm)があり、その範囲の粒子の含有率が生存時間や生存率に大きく影響することが明らかになったと書かれていました。
この実験で用いられた濁水はかなりの高濃度で、生存時間が長くても8時間という短さです。実際、高濃度の濁水は、河岸崩壊や災害時だけでなく、ダム排砂システム運用時にも発生する可能性があるそうです。
果たして富士川の濁っている状態が、論文中の実験濃度とどれくらい違いがあるのかわかりませんが、1ヵ月も2ヵ月も続いていた昨年の富士川の中がいかに過酷だったか想像できます。運が良いアユは支流の綺麗な川へ逃げられたかもしれません。この論文の結果を見ると、力尽きて死んでしまったアユがほとんどでしょう。
台風や大雨で川が濁るのはどうにもならないことです。自然の力による濁りに対しては、アユも釣り人も諦めるしかありません。しかし、それに便乗した工事による濁りなどもってのほか 絶対に防がなくてはならないと思いを強くしました。
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