この魚と水鳥とは、一見、バラバラに描かれているように見えるが、よく見ると両者は、実は棒状の紋様で結ばれている。しかも、その線は水鳥を貫いて魚の口の中に入り込んで消えている。棒のように見える線の一方の端には、「矢」をかたどったものが刻まれている。この線は、一体、何を表しているのか、諸説があるが、すくなくともこの線が、魚と水鳥そして矢との間にある何らかの関係を暗示しているのであることは確かである。
ここで指摘したいのが、「矢」というモチーフは、古代バビロニアや古代中国ではシリウス星を意味する符号である。黄金の杖は実用の道具として用いられたとは到底考えられない、権力の象徴として、最高権力者の持ち物であると考えられる。
三星堆遺跡に残されている、数多くの「三星」が付いている地名はドゴン族の伝承を思い出させる。少なくとも三星堆遺跡は時空を越えて「三星」と「目」、「魚」、「矢」、「水鳥」などを結び付いてくれた存在である。これらの要素はドゴン族の伝承の中でも極めて重要なモチーフであり、すなわちドゴン族の伝承そのものである。