スーさんの樹木医日記

日々の樹木医活動の日記です。日本樹木医会千葉県支部所属で、活動エリアは主に千葉県。

ナラ枯れその後

2021-02-08 14:08:11 | 日記

夏にマテバシイとコナラに多くのナラ枯れが発生していた船橋市の公園に出かけてみました。
日曜日ということもあり、公園は多くの家族でにぎわっていました。ほとんどの人がマスクを着用していました。

この公園ではナラ枯れ発生後の伐採対応は早かったものの、大枝を切り落としたままのものも多く残っています。

幹部分が残っているものが数多くあります。枯れたものについては、早期に撤去されるものだと思われます。

被害にあっていない樹木には薬剤を注入したようです。この薬剤は2年の効果があるようです。
春の芽出しの頃に再度、確認に行きたいと思います。

カワラヒワによるソメイヨシノの開花不良

2020-12-24 17:10:20 | 日記

随分と季節外れな画像ですが・・・・
成田市で撮影した2018年4月1日の画像です。
ソメイヨシノの開花不良です。
2017年に県支部の仲間から、開花不良の連絡を受けました。野鳥のカワラヒワによる食害ではないか?との連絡でした。
ソメイヨシノなど桜花芽の食害はウソによるものが知られています。
連絡を受けた段階では、カワラヒワがソメイヨシノの花芽を食べることはあるだろうが、開花不良となるほどに食害するとは信じられませんでした。
野鳥の会の仲間に話しても、そんな例は知らないとの意見が多数でした。
しかし、調査すると明らかにカワラヒワによる食害によるものと判明しました。
支部の研修会では報告しましたが、野鳥関係にも知ってもらうことが必要と考え、我孫子市鳥の博物館に調査報告を提出しておきました。
我孫子市鳥の博物館調査研究報告
http://www.city.abiko.chiba.jp/bird-mus/info2/list.html
この報告の段階では、いろいろと不明な点もあったので12月6日に現地に出かけてみました。
◎いつ頃から食害が始まるのかがわかりませんでした。
12月6日に行ったときには既に食害が始まっていました。


調査したのは何度か調査している成田市と横芝光町です。
両方とも既に食害が始まっていました。成田市では十数羽、横芝光町二十数羽が飛来し冬芽を食べていました。年内には食害が始まっていることがわかりました。
食害の跡です。

地面に落ちた芽鱗

日本のカワラヒワもは周年観察されるカワラヒワと冬鳥として大陸から飛来する亜種オオカワラヒワがあり、この食害がどちらのものなのかわかりませんでした。

今回、撮影した鳥を見ると亜種オオカワラヒワであると考えられます。
千葉県ではこの2か所の他にも佐原市での報告があります。
カワラヒワはとても一般的な野鳥なのでこの被害が広がるとウソによる食害のレベルではなくなる可能性もあります。
今後、ソメイヨシノの鳥類による食害が疑われる事例ではカワラヒワについても考える必要があると思われます。


南房総のナラ枯れ

2020-10-01 08:38:08 | 日記
千葉県のナラ枯れ被害は、2017年9月に鴨川市でマテバシイの被害が確認されたものが初めてのものとなります。主に県南部地域で被害が報告され広がりを見せていましたが、今年一気に広がった感があります。昨日、南房総市に行く機会があり遠景ですが写真を撮影しました。

所々に今夏枯れた木が茶色になって目立ちます。

少しアップにすると既に枯れて葉を落としているものもわかります。

既に枯れたマデバシイは撤去されることなく枯れ木だけが残っています。台風による降雨の影響もあるでしょうが、土砂が流れ出しているところもあります。緑の山がかなりまだらのはげ山になってしまいそうです。

カシノナガキクイムシ

2020-09-19 17:31:07 | 日記

市川市内でのナラ枯れはその後の調査でもいくつか見つかりました。最初に見つけた場所で原因害虫のカシノナガキクイムシを捕獲しました。被害が多く見られ、フラスが新しい場所に粘着版(コキブリ用を活用)を設置して捕獲しました。体長約5㎜、写真はメス(左)とオス(右)です。

メスをアップで撮影。前胸背に数個の小孔が確認できます。ここに菌を保有し伝播させるとのこと。

オスには小孔はありません。

粘着版についたカシノナガキクイムシ。赤茶色のものはゴキブリ用の餌です。

自宅の船橋市でもナラ枯れが猛威を振るっていた。この都市公園ではマテバシイが多く被害を受けていた。

勿論、コナラも被害を受けていました。この公園では既に被害木の撤去が始まりました。

まだ気づいていない被害木がありそうです。今後の広がりが懸念されます。

ナラ枯れ猛威⁉

2020-08-29 12:38:47 | 日記

市川市の里山を歩いていると、コナラの根元に細かいたくさんのフラス(木くず)が落ちていました。

大きなコナラですが上の方を見ると半分ぐらいの葉が茶色になっていました。観察した経験はありませんが、ナラ枯れに間違いないようです。
千葉県では数年前に県南部でマテバシイに発生していることは知っていましたが・・・。市川市での記録はなかったはずです。
ナラ枯れはカシノナガキクイムシが媒介する菌によるものです。ブナ科の樹木が被害を受けます。

気になって何か所かの公園や里山を回ってみると、他でも同様の症状が!
やはりコナラです。既に枯れていて管理者によりテープが巻かれていました。

やはりフラスがたくさん出いました。アップで撮影すると小さい穴がわかります。

違う場所ではシラカシからフラスがでていました。しかし、まだ枯れていません。

このシラカシは継続的に観察してみる予定です。
改めて千葉県のHPを確認すると昨年迄には市川市での発生例は報告されていなかった。今年、一気に広がったようだ。
知り合いに確認すると今年はいろいろな場所で発生が見られている。気候のせいかもしれないが、今後、留意が必要だ。