奈良の地盤を維新にいいように荒らされ、維新に敵対心を持つ高市早苗を使った岸田の万博、そして維新の見事な封じ込め作戦である。
高市早苗の発言に、当然維新は反発し、万博へのこだわりをさらに強める。しかし、そのこだわりが維新の致命傷となる。岸田は、能登半島地震を期に国民の8割方が万博反対に傾きつつあるのを見ている。
かつての松井維新のバックは菅義偉だったが、今の馬場維新は麻生太郎と茂木敏充。維新と万博を潰すことで麻生、茂木と維新の関係を断ち切ることにもなる。
岸田文雄は、麻生太郎の岸田おろしのための訪米を期に反麻生に転じた。
岸田派の派閥解消、それと示し合わせた二階派、森山派の解散、菅義偉シンパの萩生田がリードした安倍派の解散、小渕優子らの茂木派離脱、高市早苗との連携による保守派の取り込み、そして万博の延期アドバルーンからの中止宣言。
おボンボン岸田にしては珍しい電光石火の政治的行動である。
まもなく小渕優子と船田元、青木グループが抜けた茂木派も解散する。麻生派からも河野太郎グループが離反する。
麻生太郎の外堀は完全に埋められてしまった。
この政治的動きのバックにいたのが菅義偉。
岸田は、麻生・茂木から菅義偉、二階、森山総務会長グループ、麻生に潰された旧安倍派に乗り換えることで、8月までの政権維持に成功し、全党員参加の正規の総裁選挙を経て石破総裁、河野幹事長あるいは森山幹事長に繋げる腹なのだろう。
万博中止は、IRカジノ建設中止にもつながる。おそらく、万博が中止になればMGMはIR事業から撤退する。維新が万博を利用して整備するはずの夢洲インフラを自前でやらざるを得なくなるからだ。
そして、そこから次の政治闘争が始まる。
自民党に対抗するのは、立憲民主党を飛び出した小沢一郎グループとれいわ新選組、日本維新からの分派組、そして泉房穂が立ち上げた政治勢力が中心となる新しい野党勢力である。
山本太郎と泉房穂、そして老練小沢一郎。この3人から目が離せない。