先日「2012」を観てきました。
この作品を観て率直に思ったことは、CGの素晴らしさとジョン・キューザックのカリスマ性ですね。
とにかく最初から最後までCGが凄いです!
災害のシーンでは、全体の構図を大きく捕らえてスケールのある迫力を演出していますが、よく見るとその大きな構図の中で豆粒程度の人々の逃げまくる姿が、個々に意思を持って逃げ延びようと必死に動く姿を細かく描写されているのに気づきます。
他のパニック・ムービーだと、全員が驚いて立ちすくみ一斉に同じ方向に逃げますが、この作品は違っていましたよ。
スクリーンの端に映っている人でも色々思考しながら逃げているなぁと思わせます。
そのリアルさがさらなる迫力を増す効果を演出しています。
こんな細かいとこまで演出するなんて・・・と思っていましたら、CGのチームを率いていたのは日本人の坂口亮さんというクリエーターでした。
やっぱり、あの細やかな演出は”ほんわさび”と”ねりわさび”の違いがわかる日本人ならではの仕事ですね。
坂口さんは、なんでも高校生の頃、リュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」を見て映像の仕事に興味を持ったそうです。
そして、かっこよくて自分が見て嬉しくなるような映像を作りたいという希望を実現するため、慶応大学湘南藤沢キャンパス在学中にハリウッドの扉をたたいたそうです。
凄いですね。
同じ日本人として誇りに思いますね。
この作品のもう一つの素晴らしさはジョン・キューザックの人間味溢れる演技にあると思います。
どうしてもパニック・ムービーの中の出演者は”生か?死か?”というテーマに縛られ、優等生みたいなセリフばかり並べてしまいがちですが、ジョンの場合は役柄もあってか、このCGだらけの世界に人間味をふんだんに盛り込んで、見事に融合させていました。
しかし、この作品は所々にアメリカらしい演出がされています。
常に作品の中ではジョン・キューザックの必死に家族を守る姿を映し観客へ共感を投げかけます。
しかし、設定は離婚したパパであり新しいパパと一緒に行動します。
新しいパパもいい人なので、子供たちはどちらのパパも愛しています。
作品の中では色々な形で家族愛を映しています。
さらにアメリカらしいのが、ノアの方舟を作っているのが中国人で、「さすが中国人だな、完成まで間に合わないと確実に思っていたが、こんなに早く完成させるなんて・・・」というヨイショなフレーズが所々にでてきます。
アメリカと中国の政治が絡んでいるのでしょうか?
以前にもジョディー・フォスターのフライト・プランという作品の中で、いい感じで話が進んでいたのに、突然犯人役のイラク人をみんなで糾弾するシーンがでてきてジョディーが「私は許すわ・・・」というセリフで強いアメリカを演出するシーンをわざわざ盛り込んでいました。
こういう余計な演出は他国民にはつまらなく映るものですよね。
「2012」に関しては、そういう余計な演出を凌駕するCGに拍手を贈ります。
天晴れですね!
ところでどうしてこんな天変地異が起こったのでしょうか?
マヤ文明の惑星直列説を作品の中では匂わせていましたが、作品の冒頭で太陽から発せられるフレアというエネルギーが、今回は今までよりもさらに膨大な量が地球に降りかかったため、地球のコアが液状化し、プレートが動いたためだと簡単に説明していました。
大陸が何千キロも動き、地球の地軸をズレてしまい、北極はなくなり、海底の地盤も変化したことにより1500mの高さの津波が襲い掛かります。
最後のシーンでは、アフリカ大陸が盛り上がりそこに向かって子孫繁栄の礎を築こうという一縷の希望を持って終わります。
この設定はリアルだなぁと思っていましたら、なんとNASAが発表したことをそのまま映画にしたそうです。
NASAは2012年にこの作品と同じことが起きると警告しているのです。
NASAのホーム・ページには、今でもこの記事は載っているそうです。
英語力がある方はぜひチェックしてください。
しかし、実際に起こりえる話だと思いながら観れば、災害時のシュミレーションとして、さらに興味深い作品になるでしょう。