皆様こんにちは。ほんとうに久し振りの当コラムですが、vol.2から何と約2年も経過していてびっくりしました(笑)。さて先月になりますが、5月23日に今年の塩部幼稚園・内科検診を担当させていただきました。
振りかえってみて、本当にみなさん元気でかつ健康なこどもたちばかりでして、いつもながらに感心いたしました。
のど奥の扁桃腺が大きい(「腫大」または「肥大」といいます)こどもさんをときどき拝見しましたが、園児の年代のこどもさんにとっては生理的な、すなわち病的ではない反応であることが多く、成長とともに小さくなっていくのが一般的です。
年中よく風邪を引く(目安として、幼稚園を休むようなノドの風邪を年に5~7回以上)とか、いびきがやたらに大きく(本人の)睡眠や呼吸の障害になっている、などのようなことがなければ、特に心配はいらないでしょう。呼吸音や心音では、今回、病院に行って精密検査を受けた方がよいと思われるこどもさんには当たりませんでした。例えば心臓に何らかの先天的な異常がありますと“心雑音” となって聴診されますが、異常がなくても特に小さいこどもさんでは病的ではない“心雑音”が聴かれることがあります。これを無害性(または機能性)雑音といい、こどもの胸壁がうすいことなどが音の由来となっています。無害性雑音はもちろん放置しておいて構いません。ときに病的な“心雑音”と判断を迷うようなケースもありますが、今回わずかながらに遭遇した“心雑音”は全て無害性雑音と診断しました(よって特に幼稚園の先生方へもコメントしておりません)。
もちろん、聴診は100%ではないので、他のこどもさんと比較して極端に運動能力が低い、疲れやすい、呼吸が苦しそうになる、運動後などに手足の指先や口唇が青紫色になる、などのことがあれば、病院を受診した方がいいでしょう。その他の点では、肘の内側や背中などにアトピー性皮膚炎(様)の所見のあるこどもさんがまれにおりました。そのこどもさんにアレルギーを起こしうる食べ物に注意し、また清潔を保ち乾燥を防ぐことで改善する場合もありますが、改善しない場合は(本人はかゆいのでわかると思います)ひどくなる前に皮膚科や小児科を受診した方がいいでしょう。
いろいろ書きましたが、概してみなさん、健康なお子さんたちばかりでした(英語ではこれを"generally in good health"と書きます)。
これから暑い季節を迎えますが、体調に注意されつつみなさまが益々健やかに育っていかれることを心より願っております。
ハーバード大学マサチューセッツ総合病院
総合内科専門医・循環器専門医 佐原 真