第二章 おじさんAとB
ワクワクして夜更かしをして
起きたのはお昼はとっくに過ぎた13時
『初めての方は30分前に到着すること』
とあった。
私の想像では学生やら主婦やらで
学校の教室くらいの部屋で研修などが
あるのだろうと考えていました。
ワクワクしながら準備をして
動きやすい私服で大丈夫でした。
服の上からツナギを着るらしく
ジーンズで大丈夫!
ご飯を食べていざ!おむすび工場へ!
到着は考えていたよりも随分早く着いてしまい、遅いよりは良いかと
さっさと中へ入ってみました。
インターホンを鳴らしてみると
返事が有り鍵が開くらしい。
すみませーんと言うと返事がありました。
はーいとおじさんの声。
どうぞーと言われたので入ろうとしたら
『聞こえてます?』
って。
はあ?
返事しましたよおじさん。
まっ
入ってみました。
上へ上がると事務所らしき場所があり
おじさんと目が合い挨拶しましたが
何も言わないのでそのまま奥へ。
『どちらさん?』
はあ??
どちらさんじゃねーよ
会社と名前を言うと
『あーはいはい。』とおじさん。
(以下おじさんA)=Aっさん
少し早く着いた旨を話すと着替えて
待てと。
休憩室に入ると
外国人女性に3度見される。
しばし待つと
Aっさんが
つぎのおじさんを連れてきた。
Bのおじさんである。
(Bっさん)
Bっさんは
とにかくデカく、そして舌たらずの
慌てん坊らしい。
その後、何を言ってるのか
不明な時間が多々出てくる。
Aっさんはちなみに
ただのリーマンおじさん。
特徴は特にない。なすび顔かな。
基本、2人とも忙しそうでイライラしている。
Aっさんにツナギと帽子を渡されたが
ツナギにはサイズが表示されていた。
XLと。
はあ?
私、かなり前にメールでサイズを連絡しましたよ。
Mサイズをね。
まっ
まあ
大は小を兼ねますが
じゃあ聞くなよ。
ってなるよね。
その後、Bっさんに案内され
靴を取りに行くが
メールでサイズを聞かれたのも
関係なく、自分で適当なのを探して履くというスタイル。
誰がいつ
どれだけ履いたのか神のみぞ知る
水虫待ったなしスタイル。
軽い潔癖の私には少々キツイスタイル。
(ちょっとラップ調になった。)
とにかく中へ中へと潜入。
Bっさんはとにかく舌足らずで
説明下手で分かりにくいが
ついていった。
その間、私の頭には
『こりゃあ今日だけだな。』
と言う言葉が何度となく流れた。
とにかく説明下手で舌足らずで
デカイBっさんは忙しそうでイライラしていた。
エレベーターの説明にも
何もかもにイライラしているようだ。
さて、
広い部屋に到着。
そこはテレビで見たことがあるような
ザ!流れ作業システム部屋であった。
おむすびや弁当が流れていた。
私は
わあー‼️
と思い
興奮気味にどのゾーンをやるんだろうと
ワクワクした。
さあ来たぞ
おむすび工場🍙‼️
Bっさんの後ろを歩き
どのゾーンに行くのか
ニマニマしながら歩いた。
XLというバカデカいツナギをまとい
私は歩いた。
しばらくすると
Bっさんとエレベーターへ。
ちなみに
何も言ってこない。
きちんとした説明もなし。
説明があったとて
舌足らずで分からない。
着いて行った先はまた広い部屋であった。
何て部屋だろ?
未だに分からないが
配達用のおむすびが集まる最後の部屋?
Bっさんの舌足らずでイライラしながらの
説明によると
ただ運べと。
おむすびを。
は?
作るんじゃねーのかよ。
書いてなかったぞ
そんなこと。
まっ仕方ない。
やるしかないのだ。
台車に積み上げられた
箱に入ったおむすびを
運ぶ。
それをエレベーターを使い往復する。
おむすびを運ぶ
空箱を運ぶ
おむすびを運ぶ
空箱を運ぶ…
これを
50往復くらいしただろうか
時間は
まだ1時間しか経っていないことに
気づく。
ちなみに
持ち物の中に
飲み物と軽食、筆記用具とあったが
一つも使っていないし
必要ない。
飲み物は持って入れないので
その後、私はおむすびに触れることもなく
飲み物も飲めずただただ運んだ。
『いったい私は何をしているのだ』
という言葉が止まらない。
が、そんなことよりも運ぶのだ。
出来上がったおむすびを。
🍙
周りを見渡すと
薄っぺらい
XLのダサいツナギを着ているのは
私だけだと気付く。
そう、おむすびを作っているのは
社員である。
今日来たダサいツナギを着ている私には
おむすびは作れないのである。
気分的だが
100往復くらいした時に
エレベーターの中では
文句が言い放題と気付く。
カメラが付いていようがマイクが付いていようが構わない。
だって
今日だけだからな。
1度くらいこんな経験するのも
良いかもね。
でも、続けられる仕事じゃない。私には。
と確信した。
続ける気はもともとないが。
気分的に200往復した頃、
エレベーターである女性が
乗ってきて2人きりになった。
業務用のエレベーター、
そして、工場内の機械の音はとても大きくて話し声がかき消される。
女性C『^~#|#|#~>++$=$=』
私『はい??』
C『助かってますよ。運んでくれて』
私『はあ。あーそですか。』
助かってますよ、運んでくれて。
一見、優しい言葉だが
言い方もあり、見た感じCは20歳か
もしくは未成年かもな。
そこで
私はやはり
今日だけだなと確信する。
XLのダサいツナギを着た私は
社員であろう20そこそこの小娘に
助かってますよと言われた時に
気付くのだった。
私の仕事はこれではないと。
まあ、何事も経験である。
これを1日乗り越えたら
何か私のいつもの仕事の方が楽しいし
楽であることに気付いた。
そして工場よりも
改めて接客業が私には合っていると分かった。
早く行っても研修などなく
イライラ気味のおじさんの説明、
そして、他の同じバイトの姿はまったくいなかった。
仕事のスタートが早くなっただけ。
薄っぺらいダサいツナギを着ているのは
私1人だった。
次回
『第3章 イライラババアとの出会い』
に続く…